「青春18きっぷは金に困ってる人が乗るもの」と決めつけちゃダメだよ
こんなセリフを聞いたことがある。
「青春18きっぷや夜行バスは効率が悪いから、さっさと稼いで新幹線or飛行機を使うべき」
反論:いや、好きで鈍行に乗ってるんだよ…!
効率厨の人からしたら「移動に時間をかけるのはバカバカしい」「そんなことしてるから金が稼げない」「時間はお金で買って、その分価値を生み出すべき」と感じるのかも。
いや、好きで鈍行に乗ってるんだよ…!
※この文章は「仕事で1件だけ用事があるから目的地にひとっとび」ではなく、「旅としての移動」を前提としています。
私が初めて青春18きっぷを利用したのは2017年夏頃。「毎回新幹線で帰省するのも飽きたし、青春18きっぷとかいうやつで帰ってみるか」
それ以来、秋田や岩手、鳥取、岡山まで青春18きっぷで移動するようになった。所要時間14時間なんて余裕余裕。
青春18きっぷほど心が高鳴るものはなかなかないよ。その理由を考えてみる。6つ思いついたよ。
①県境を越えるのが楽しい
「うおおおおおお、さっきまで東京にいたはずなのに、栃木まで来たー!」「冬の難関、福島と山形の県境をクリアしたー!」
※福島山形間か山形秋田間か忘れたけど、少し吹雪くと電車で県をまたげなくなる。
なぜだか知らないけれど、県境を越えるのは楽しい。「旅してます!」って感じがする。心のメカニズムを説明できないけれど、込み上げてくる「よし!」がある。
②遠い距離を移動してる感じが楽しい
東京〜秋田は距離にして600kmくらいある。
移動時間は下記の通り。
・新幹線:東京〜秋田 3時間45分くらい
・青春18きっぷ(鈍行):東京〜秋田 14時間くらい(季節による)
新幹線と鈍行を比較すると、約10時間も違う…!
これを知ったあなたはどう思うだろうか。
青春18きっぷの効率の悪さに驚くかもしれない。新幹線が予想以上に早く感じるかもしれない。
私はこう思う。「せっかく600kmも移動するのに、4時間で移動しちゃっていいのか。もったいない…!」
とにかく「移動してる感じ」が好きなので、所要時間の長さはイコール楽しい時間になるのだ。
(とはいえ、徒歩や自転車、ヒッチハイクは面倒なことが多すぎるので、電車がちょうどいい。)
せっかく移動してるなら、「移動してる感」を感じながら移動しよう。
③景色が変わる様子をまじまじと見られる
夏でも冬でも景色の変化を確認できるのが面白い。
東京駅を通過するのが朝6~7時頃、人が多い。都会のサラリーマンがたくさんいる。ビルの間を電車が走っていく。
山形に入るのは昼過ぎ。北上すればするほど田んぼが増え、乗客もお年寄りが多くなる。車窓から見える景色は別の国に来たくらい違う。
秋田に入るのは夕方、ちょうど下校退勤ラッシュ。ラッシュと言っても、平気で座れるレベル。懐かしい制服を着た秋田の高校生たちを見ると、「帰ってきたな〜」と高まる。
やばい。書くのが面倒になってきた。
④地元の方言が聞ける
栃木福島あたりまでは標準語率が高い。なぜか山形に入ったあたりから方言が多くなる。しかも、ばあちゃんが電車の椅子に足を乗っけてたりする。電車占有族が増えて面白い。
新幹線は東京、上野、大宮、仙台、盛岡、秋田の順番。だいたい東京〜盛岡、または東京〜秋田で乗車する。都会の人間が田舎に行くので、方言は聞けない。しかも一人で乗る人が多いので、そもそも会話が聞こえない。
一方、田舎のローカルな電車は地元民だらけ。会話が方言なので、楽しいよ。
⑤乗り換えを一度でも失敗すると目的地にたどり着けないハラハラ感
千葉を朝5時に出発しても、秋田に着くのは(順調に行けても)20時過ぎ。一本遅れた場合は23時。
(20時の次が23時ってなんだよ!)
東京で乗り換えを失敗してもリカバリー可能だが、山形で失敗すると終わりだ。最悪の場合、一度のミスにより「今日中に秋田にはたどり着けません」。しかも田舎にホテルがあるとは限らなくて、「ちょっと泊まってから翌日チャレンジ」が気軽にできない。ハラハラするね!
去年の冬、吹雪の日に18チャレンジをした。東京→秋田を目指す場合、福島〜山形〜秋田が最短ルートだ。
しかし、福島〜山形が通行止になってしまった。
仕方ないので、アプリに頼らない独自の判断により福島〜宮城〜岩手〜秋田と迂回して帰省した。無人駅で待ちぼうけを食らった時はめちゃめちゃ寒かったけれど、「どうすんのこれ!?」「ワンチャン帰れないね!!!」「スマホの充電やばい!」というピンチ感も含めて楽しかった。
こうやって記憶にも残ってる。
なぜこの時代に日本国内を移動できるか不安に思わなきゃいけないのかは分からないけれど、まぁ貴重な感覚だと思う。
⑥待っててくれる人が「14時間かかったの!?」とびっくりするので、「そうだよ!!!!!!」と言える。会いに来た感がある
もちろん会いたい人にすぐに会える新幹線は優秀だ。だけど、せっかく距離があるなら「距離を超えて来ました感」が欲しいところだ。便利さとお金によって、距離を誤魔化されてたまるか。
東京と秋田は、ちゃんと遠いんだぞ!ぶっ続けで歩いたら【4日と17時間】かかるんだぞ!
ちゃんと遠いってことを噛み締めつつ、会いたい人に会いたい。
まとめ:便利だからこそ「お金をかけるところ」と「時間をかけるところ」を自分の意思で選びたい
私は移動に「時間をかけたい派」。それは非効率だとかケチだとかそんなんじゃなく、時間をかけたいからかけている。ただそれだけ。
お金をかけて時間を買いたい人は買えばいいし、時間をかけて感覚を味わいたい人は味わえばいいし、お好みの方を選んだら良いのだ。
青春18きっぷを作ってくれたJRさん、本当にありがとう。
お金で買えない感覚を教えてもらった気がする。
つけたし
収入が高くても青春18きっぷを使うぞ!ってことを証明するためにも、月収30万くらいはキープできるようにがんばろ。
サポートはお菓子代になる予定です