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夜行バスの詩

「会いたい気持ち」を30個乗せたロマンを他に知らない。お金がないけど会いたい、どうしても会いたい、眠れなくても、窮屈でも、本当にお金がないけど、それでも会いたいという気持ちが真夜中の高速道路を駆け抜けてゆく。

解放だ、15分の解放だ。少し明るくなる車内で偽物の朝を迎える。降りて見上げた星空で、君のことを考える。今なら一遍くらい詩が詠めそうだ。小学生の頃にやらされたありきたりなストレッチをして寝場所へ戻る。今日の居場所はここ。お尻ひとつ分の空間に乗せられた軽い命ですが大切にしてくれますか。

朝5時前に着いたところで行く宛ては無い。君に会えるのは夕方。僕は所詮金曜の夜に少し会ってもらえるだけの人。一番じゃ無い人。二番だったらいいな。二番だったら十分かな。「一番になったら次に何を目指したらいいか分かんないじゃん」って無理にかっこつける僕は同級生からどんな風に見えている?

幸せな人間よりも「幸せになりたい人間」の放つ異臭は強烈で、あからさまに脳みそ、腐ってる。偏差値60の大学に通う僕の脳みそ、腐っちゃった。センター試験を受けてた18歳の自分に謝りたい。恋愛に脳みそ預けて腐っちゃった。あの人のせいじゃない、からっぽの心を放っておいた自分が悪い。元に戻せないんだって、拡張したら戻らない。

出がらしのお茶っぱみたいな優しさ。使い捨て雑巾みたいな人間関係。ちょっとしたゴミみたいな、なけなしの愛情を大切にして馬鹿みたい。

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