小説を書くことは難しい

数日前から1日1時間、小説を書き始めた。

応募したい賞がいくつかあり、一覧表にしたので、さっそく書き始めてみた。

これが思った以上に難しい。

本は好きだけど、普段から小説を大量に読むわけではない。大学で文学について勉強していたわけでもない。感性が特別豊かなわけでもない。小説を書くための偏差値があったら、48〜52あたりをうろうろしているだろう。そんなレベル。

それでも小説(みたいなもの)を書くのがとっても楽しい。これは発見。

わたしは「文学とエッセイで生計を立てたい」と夢だけ描く、しがないライターだ。社会の隙間で生きている。Webライティングで収入を得ている。別にライティングが好きなわけじゃないけれど、在宅ワーク可能、なおかつ苦痛が少ない仕事なので渋々続けている。

文学とエッセイとライティング。全て「文章を書く」点では共通しているけれど、明らかに方向性や毛色が違う。

ライティングはやりたいわけじゃないので、時々無性に嫌になる。ライティングをしている自分にも腹が立つ。「なんでこんなことしてるんだよ、自分!」と苛立つ。

だけど小説を書き始めたら、ライティング的文章の楽さにありがたい気持ちがわいてきた。これはこれで有りだわ、休憩になるわ、と思った。

ライティングはほとんど口語文みたいなもので、普段使う文章と大して変わりない。ああ、なんて楽な仕事なのだろう。日本語を日本語としてまとめるだけ。何も難しいことはない。

学生の頃、「数学の勉強の休憩として社会を勉強する」ような人間だった。同じように、「小説の休憩としてライティングをする」なら気持ちが楽だ。小説だけを書くよりも、ライティングだけをするよりも、両方やった方が楽だと思われる。

小説は、何もかもが難しい。どんな流れで会話が始まるのか、場面の転換はどんな手法を使うのか、感情表現はどこに織り交ぜたらいいのか、会話の長さは?比喩表現がベタすぎる……

イメージするストーリーや景色はあるのに、それを文章だけで表現するのはこんなにも難しいものか。

ライティングのような「情報の文章」は、情報を情報として一方向から書けば済む。そこには時系列や感情が必要ない。

だけど小説は、その世界すべてを文章に起こす必要がある。時系列や感情、景色、匂い、音、空気、温度。時間の流れと心、五感を文章に起さなければいけない。

一方向どころか、立体でなおかつ時間の流れが存在する。現在だけを描けばいいわけでもないし、過去から未来の方向とも限らない。縦横無尽に駆け回る必要性が出てくる。

文章を操るのは難しい。表現するには、あまりにも語彙力が足りない。経験も足りない。

難しい。だけど、それがとても楽しい。

わたしは飲み込みが早い方なので、たいていのことはすぐにコツを掴む。ライティングだって、最初の月から10万円くらいは稼げていた。ピアノだって、習う前から弾けた。

だけど続かない。できてしまうから、続かないのだ。

小説は、正直まったくできない。難しすぎる。「こんなにも書けないものか」と辟易する。

それが楽しい。

周りにあるあらゆるものを細かく描写してみようとしたり、

自分の気持ちをすべて比喩表現であらわそうと試みたり、

語彙を増やすために辞書を読んだり、

好きな小説を「どうやって会話に繋げてるのかな?」という目線で読んだり、

生活全体が「小説のため」になっている。

たった数日のことだけど、「やりたいこと」が生活に入ってきて楽しい。

思えばここ1年、「やりたいことは文学」と心に決めていたくせに、それをスルーして過ごしてた。

一応やりたいことがあるんだから、やればよかったのに。余裕がなかったのだろう。そういうことにしておこう。

小説で実績をあげるのは、簡単なことではない。書き続けても、結果が出るとも限らない。だけどこの数日で、「これは頑張りたい」と前向きな気持ちになれた。冬が苦手なわたしにとって、冬に頑張りたいことを発見するのは希望になる。

なかなか結果が出ないだろうから、やる意味がある。もう少し生きて、やることやってやろうと思う。

「なかなか結果が出ないけど続けたい気持ち」って、珍しい。

いつも、「すぐできるから飽きる」or「まったくできないからすぐ辞める」のどちらかだ。

「できないのに楽しい」って、いい感覚だなぁと思う。純度100%、自分の言葉で世の中に表現していく。

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