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会ったことのない友だち

私が初めてインターネットにハマったのは2006年、小学6年生の頃。創作キャラクターを使ったチャットが流行っていて、放課後でも学校が休みでも同級生と話せるのが楽しかった。

だけど印象に残ってるのは同級生との会話じゃない。遠く離れた場所に住む、顔も知らない友だちとの関係。

小学6年生の私が一体どんな会話をしていたのか、まるで覚えていない。それでも、秋田県秋田市の田舎に住む私が、愛知県小牧市の小雪ちゃんと話すあの空間はキラキラしていた。

旅行は仙台まで。東京なんてディズニーランドでしか行ったことがない。それより先は社会の授業に出てくる知識だけ。私にとって愛知県のイメージは、2005年に開催された「愛・地球博」。他には何の知識もなかった。

想像もできない場所に住む顔の知らない友だちを持っていることが誇らしかった。

私の「インターネット好き」は拍車がかかり、中学の頃は前略プロフィールにハマった。高校時代はTwitterとアメブロ。学校に通わない時期もあったので、現実世界よりもネットの世界で人と関わる時間の方が多くなっていった。

そして大学を卒業した今、相変わらず引きこもりな私はTwitterやnote、ブログを更新している。稼ぎはWebライティング。ついにはインターネットだけで生活するようになってしまった。

大人になった私は顔も本名も知らない人と仕事をするようになり、インターネット無しではお金も得られない人間になった。

現実世界の中にインターネットが入り込んでいるのか、インターネットの中が私の居場所なのか分からなくなる。

これで良かったのだろうか。小学校の同級生に会う機会はないけれど、インターネットで出会った人に会う機会は数知れず。私は生きてるのか、インターネットに組み込まれた概念なのか、分からなくなる。


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