私だって夜中に泣くことがある
退去寸前のシェアハウスに運ばれてきたこたつの中で一人、真夜中に泣いている。生理中だから心のバランスが崩れたのかもしれない。自分の中での大きな仕事が終わった安堵感かもしれない。明日は9ヶ月ぶりのバイトだから?母とLINEをしたせいかも。
なんやかんやで頑張ってきた「現在」と、死にそうな心身で生きてきた「過去」が見事に重なった衝撃でユラユラして涙が出たのかもしれない。
今日は素敵な連絡が2件も届いた。どちらも、以前から「書きたい」と思っていたメディアから。もともとエッセイ調の文章で食べていきたいと思ってた。情報としての文章ばかり書いて、お金を得て、確かに楽な生活はできているけど、それは望んでいた生活ではなかった。
待っていても何も変わらない。好きな人が私を見つけてくれるにはあまりにも人口が多い。思い切ってメディアに直接連絡をした。そしたら、返信がきた。「あちら側の人」と繋がれることは、いつだって心が高鳴る。
手ぶらでフリーランスになって早9ヶ月。スキルなし、残高数百円の私の心はめちゃくちゃで、「んで、どうやって生きる?」「明日何を食べる?」「書きたくもない文章を書いて平気なの?」「やめちゃえ」「やーめた。」「振込予定が永遠にないよ。」
成り立たない生活を成り立たせるのは簡単なことじゃなかった。周りの人に食べ物を恵んでもらったり、無理やり仕事のオコボレをもらったり、夢の代わりにお金をもらったり。人に恵まれてるから簡単だって?そんなこと無い。いくら人にめぐまれていたって、自分が自分を痛めつけてしまうんだから。「お金を稼げないのはダメな人」「お金を稼げないのはダメな人」「お金を稼げないのはダメな人」って、ありもしないボタンを何度も何度も押してしまう。どうして自分の心を痛めつけたがるのだろう。生き方の癖だろうか。
アテにしてたリゾバ。台風の被害で白紙。家賃と食費と給料の全てをリゾバに託していた7月の私は途方に暮れたね。家と食、そしてお金が崩れ落ちる音が聞こえた。
私にできることなんてたかが知れていた。急いでバイトを探すか、死ぬか、嫌なライティングを再開するか。全人類に心を閉ざしていた私に「バイト」の選択肢は無い。嫌なライティングを選ぶしか無かった。死ぬのは面倒だし怒られるから。
ちょうどその頃、好きな男の子(旦那)と北海道旅行の約束をした。うにいくら丼を食べたい一心でライティングを始めた。文字単価1円。一日9時間パソコンに向かう。休みがない。10日で10万字以上納品?できるわけないでしょ。やらなきゃいけないでしょ、やるしかない。3000文字書いたら、美味しいうにいくら丼が1つ食べられるね、って、一人妄想をしては文字を書く。
パソコンの横に「うにいくら丼が食べたい」と貼り紙をして、何とか文字をひねり出す。
クレジットカード?何回止められたことか。
育毛剤?20代の女だけどね。
ウェディングドレス?お金がもったいないから結婚式なんてやらないよ。
無関係で興味もないテーマを執筆する日々は、少なくとも楽しくは無かった。それでも「好きな男の子と、うにいくら丼を食べたい」。
そうやって
こうやって
いつの間にか少しだけライティングができるようになってて
そしたら講師の話がきて
講師なんかやっちゃって
なんか楽しくなって
大好きなメディアに連絡したら返事がきて
舞い上がって
好きな文章が書けるかもしれない。
エッセイ調の文章を載せてもらえるかもしれない。
わからないけど
その可能性があるだけで、わたしは舞い上がる。
いろんなことが頭を過ぎるよ。
お金のない実家のこと。どうしてその年齢で住宅ローンを申し込んじゃったの?
無い時間を切り売りしてお金にしようとする母のこと。ママの1時間は800円の価値しかない、わけがない。
実家が裕福ではない24歳の母は「公務員と結婚したら安泰」とか思って、パパと結婚したのかな。その選択のおかげでわたしが生まれたから良かったけど、男選びはそれで良かったの?24歳の女の子が50歳になったんだもんね、そりゃ時代も変わるよ。
向かない仕事で疲弊する妹のこと。幼い頃から生きづらそうな妹に、どうアドバイスしたら楽に生きてくれるの?
返済までは程遠い借金。
去年死んじゃった犬。
学校に行けなかったこと。
発達障害とわかった時の絶望と安心。今までの生きづらさは発達障害の影響だったんだね。どうして誰も気づいてくれなかったの?
親と暮らせない子供とのお話。ママが嫌いな2歳がいていいはずがない。
1番に選んでもらえない恋愛。
自殺したいセフレ。
結婚を拒絶されたこと。
暴力から始まった恋愛。
残高が700円しか無い気持ち。
「随分と遠くまで歩いてきたなぁ」って気持ちと
「助けなきゃいけない人がたくさんいるなぁ」って気持ちで
心が震えて、涙が出てきたよ。
幸せなことに、味方をしてくれる大好きな人が近くにいる。ご飯や身の回りのことはなんでもしてくれる、穏やかな仏様みたいな人。
仕事を教えてくれる人もいる。
それでも仕事の中心をやり遂げるのは、自分自身しかいない。
自分にプレッシャーをかけたいわけじゃないよ。
ただ、いくら味方や仲間が増えたって、自分は自分でしかいられないってこと。協力はしてもらえるけど、代わりに生きてもらうことはできない。
わたしはわたしを幸せにしなくちゃいけないし、
他人に対してできることはやっていきたい。
そんな星のもとに生まれたから
そんな星がどこかに落下するまで、命をまっとうしないと。
何かを思い出したいわけじゃないのに
あれもこれも押しかけてくる。
そういう夜が、たまにある。
価値あることを提供できるようになったって、
同世代の何倍も稼ぐようになったって、
わたしの心の中心にある「寂しさ」や「溜まらない愛情の通過音」は
きっと変わらないことでしょう。
それでもやれることをやっていくことでしか
物事は1個も進まなくて、
生きていくしか選択肢は無いね。
自分を頼りにして
「あ、ごめん」って自分に謝って
人のこと助けるフリして
結局は何がしたいのか分からないまま
大したことない人生に幕を下ろす。
生まれて死ぬだけのことがこんなにもややこしいだなんて、子供を授かった時には皆、忘れるのだろうか。産み落とされた命の処理は難しい。
サポートはお菓子代になる予定です