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僕が小説を書くときに気をつけていること②

時々、様々な職種の企業の方とお話をすることがある。

その時、専門的なカタカナ用語が僕にはさっぱりわからないことが多い。最初のうちはもちろん「〇〇って何ですか?」と聞けるのだが、二、三度続くと聞きにくくなる。

向こうも話しの腰を折られるだろうし、こちらもまた聞くのもなんとも気まずいし、小説家のくせにそんな事も知らないのか?と思われるのも嫌だ。

だから、なんとなく相槌を打ちながらわかる単語だけで話の大筋を理解しようとして必要以上に疲れてしまう。

だから、僕は小説を書くときは極力専門用語は使わない、使ってもわかりやすく噛み砕いておくようにする。

このくらい知ってるだろう?と思っても職種による特別な言葉は、それ以外の職種には伝わらない事が多い。

舞台でも「ハケる」とか「バミリ」とか、金槌のことを「ナグリ」と言ったり、尺貫法で寸法を出しても普通の人にはわからない。

だから、専門用語や特殊な道具、作法、ルールなどは何度か繰り返して書くようにしている。

舞台は一度始まれば上演時間中は滅多なことでお客さんが帰ることはない。だから、多少、面白くないシーンが続いてもクライマックスまで見てもらう事ができる。そのことに胡座をかいてはいけないが、それを前提に演出を構成することは多々あることだ。

でも、小説はそうはいかない。

わからない単語が続き、一度本を閉じられたら二度と読んでくれなくなる可能性だってある。

だから、なるべく簡潔に書く方がいい。実はこれ「コーヒーが冷めないうちに」ではまだできていなかった。

本になって、二作目「この嘘がばれないうちに」三作目「思い出が消えないうちに」を書いて、やっとわかった。

だからここに書き残しておく。

簡潔に、わかりやすい文章で書く。一部の人だけがわかっている単語は多用しない。

これは書き続けていると何となくわかってきます。書いて、しばらく置いて読み返してみると、

「なんだこれ?」

「このタイミングでなんでこれ説明してんの?」

とか感じるようになります。

小説って、基本的には読み手に何が書いてあるか伝えるのが基本だから。だから、言いたいことを簡潔に書く。これを僕は気をつけてこれからも書いて行きたいと思います。

川口簡潔俊和