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DeNAに新たなDNAを吹き込む男、大橋武尊選手の魅力とは

久々の投稿となります。
3月も半分が過ぎファームも教育リーグが終了し公式戦がスタート。各チーム期待の若手やルーキーが早くもデビューを果たしています。今回はそのルーキーの中でも異色の経歴とスタイルで注目されそうな1人の育成選手についてご紹介させて頂きます。

1: 大橋武尊選手とは
昨年のドラフト、横浜DeNAベイスターズが最後に指名したのが茨城アストロプラネッツの大橋武尊選手でした。正直「誰?」と思った方も多いのではないでしょうか。
それもそのはず、彼の実質的な日本でのプレー経験は昨年在籍した茨城での1年のみ、それまではアメリカのIGMアカデミーでプレーしていました。卒業後、元ベイスターズ監督のアレックス・ラミレス氏の紹介でBC茨城のトライアウトを受けると見事合格。BC茨城の一員となり日本球界でのキャリアをスタートさせて行きます。

2: BCリーグで突出した才能が光り輝く
BCリーグ、茨城アストロプラネッツの一員となった大橋選手。実質日本球界で1年目という事で対応力を試される状況だったと思われますがそこで規格外の結果を残して行きます。
リーグ戦序盤の8試合終了時点での盗塁数16個を記録、1試合2盗塁ペースで盗塁数を刻み続ける超ハイペースで盗塁を量産、途中から警戒され打率も思う様に上がらなかった事からそのペースは急落しましたがリーグ8位の盗塁数28をマーク。序盤から物怖じせずにスタートを踏み切れる度胸のあるプレーが燦然と輝いていました。

その武器は横浜ベイスターズでも健在。育成選手ながらチーム方針で一軍に合流すると3月3日のOP戦では梶原選手の代走で出番を得て二盗三盗を次々に決め犠牲フライで生還。今まで主力選手の長打力を基に打って返す野球の伝統が根強いベイスターズにとって新たな風を吹き込むスタイルの野球で大きくアピールを見せています。

3: ネックだった打力は改善中、見えた力強さ
逆に大橋選手のネックだった点がバッティングでした。
BCリーグの規定打席到達者の中ではワースト6位の打率.217。全34安打中、長打は僅か6本(二塁打5本、三塁打1本)とパワー不足は否めず、長打率も.261でワースト3位。OPSは同8位の.610と成績が伸びて来ず、打順も下位に回される事があるなど打力に関しては決して良い方では有りませんでした。
ただ先日の教育リーグで再び大橋選手を現地で見てその成長振りをしっかりと感じ取れました。
3月15日の教育リーグ、ヤクルト戦では惜しくも武岡選手の好守に阻まれたもののショートへの痛烈な当たりを放ちヒット性の打球が出ていました。翌16日の日ハム戦では代打で出番を得るとレフト前へのタイムリーを記録しています。

(逆方向を中心に強い当たりを放つ大橋選手)

引っ張った打球を見ていませんが逆方向へは快音響かせ最近は見るからに打球速度も速くなっています。バッティング面が不安視されていましたが持ち前の対応力は非常に高く、ファーム開幕戦ではいきなり4打数2安打1二塁打1盗塁1得点と長打も出て、尚且つ持ち前の脚力活かして盗塁も記録。早くもプロの世界に順応しています。

4: 大橋選手が横浜DeNAベイスターズにもたらすもの
今年の横浜ベイスターズのルーキーは脚力のある選手を揃えてきておりドラフト3位の粟飯原選手同6位の梶原選手はいずれも俊足。育成では大橋選手の他にも四国アイランドリーグが誇る韋駄天・村川凪選手(徳島インディゴソックス)が指名されています。梶原選手は神奈川大学野球リーグにおいて7季で通算20盗塁とコンスタントにスチール数を積み上げ、村川選手は大学でも徳島でもリーグ最多の盗塁数をマーク。大橋選手と同じく積極的に走れる選手が並んでいます。

横浜ベイスターズというチームは伝統的に走ってチャンスを作り点を取るというより長打力のある打者で還すスタイルの方が根強く、大洋時代のスーパーカートリオといった例はあるものの走れる選手は多くありません。
ただ優勝するためには得点効率を上げないといけません。そうなると可能な限りアウトカウントを増やさずに次の塁を狙いに行く必要があります。
またバントでアウトを1つ与えて塁を進めるのではなくのではなく、盗塁や走塁で1つでも先の塁を取る事が出来れば自由に使えるカウントと打席が増えます
攻撃時の効率化・選択肢を増やすという意味で今のベイスターズに必要なピースとなるのが盗塁・走塁面と言えるでしょう。そこにピタリとハマるのが梶原選手であり村川選手であり、そして大橋選手だと言えます。

中でも大橋選手は積極性があり、年齢も他の選手に比べて若いのでどんどんチャレンジが出来る選手。またBCリーグ時代からアグレッシブなプレーが光りそれはプロの舞台でも遺憾なく発揮されています。一軍のオープン戦では連続して盗塁を決め、ファームでも早くもマルチ安打に初盗塁をマークする等ここまで結果を示しています。
彼の物怖じせずグラウンドを駆け回るスタイルが浸透していけばこれからの横浜DeNAベイスターズに多大なる影響を与えていくと考えられます。
まずは二軍で成績を残した上で支配下を勝ち取る事が求められますが非常に才能のある選手なので支配下に昇格し、再び一軍の舞台で躍動すればチームは必ず活性化する事でしょう。
指名は育成3位と最も下位で指名された選手ですがチームのこれからを左右する可能性のある逸材、早期の支配下登録へ期待が膨らみます。

おわりに
今回は横浜DeNAベイスターズの大橋選手のお話をさせて頂きました。
個人的にもBCリーグ時代から何度か観てきた選手でプロ入りするのは感慨深いものがあります。ドラフト指名前まではバッティング面に不安があるのでどうなるかと思いましたが1年でストレートにNPBへ。この前の教育リーグでバッティングも成長が見られていて今後が物凄く楽しみな選手の1人です。
余談ですがこの大橋選手、BCリーグ時代のルーティンも特徴的でかつ魅力が溢れていました。憧れのイチロー選手になぞらえたバットを立てる仕草を見せており、このルーティンも楽しみの一つでした。
この前の教育リーグではルーティンをやめてしまっていましたが一軍の舞台でレギュラーを張った際にはこのルーティンの復活も是非期待したいところです。

今回はここまでとさせて頂きます。
次回も是非ご愛読下さい。
                   了

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