日々実況
現場っていいな、と常々思う。
お客さんが戻ってきたスポーツ現場のことだ。
数年前のそれとはまだ大きく違うし、大声の迫力というのは戻っていないのだが、人がいる熱気と沸き起こる拍手はジーンとする。
実況アナウンサーとしての仕事が一気に多くなった今年、そこに対して慣れが生まれてくるわけでもなく、
都度新鮮にそれを感じられるのが嬉しい。
まだまだ拙い内容で視聴者の皆さんには申し訳ないところも多いサッカー実況ではあるが、担当試合が増えてきた。
どんな準備をしながら過ごせばよいか、少しずつ明確にもなってきた。
もっと試合の数を多く見て、サッカーを知る作業を怠ってはいけないと心得ている日々だ。
そのサッカーの放送席。
J3北九州の本拠地「ミクニワールドスタジアム北九州」での経験しかないのだが、ここがまた良い。
ジーンとする。
試合前の両チームの練習時間には、両軍のサポーターが太鼓を鳴らし、エールを送りあい、選手に力を与える。
個人的にはこれが”ジーン”。
そういうもんでしょ。
と言われればそうだけれども、放送席とピッチも比較的近く、ピッチと観客席も近い臨場感あるスタジアムである北九州の本拠地は、音がこだまする感覚があって、体にも響く。
勿論、物理的に響いているから”ジーン”としているわけではなく。
ひたむきに上のカテゴリーを目指して戦う選手と、サポーターの関係が見える。
あとはゴールに呼応するスタジアムの空気。
静寂からドーンと突き抜けるような歓声。
あえて歓声としたが、
当然声も出る、というかもう普通に声出していいだろうと僕は思っている。
何がダメで何なら良いのか、不明瞭な基準みたいなのが早くなくなれば、
もっとスポーツも世の中も楽しい。
配信で色々見られたり、
変化して便利な世の中だけれども、
現場で仕事が出来ること、”ジーン”と感じる瞬間をもっと体感して、
良い中継に出来たらな、と最近より思っている。
おしまい。
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