王家の宝石 | ベルギー王室のナイン・プロヴァンス・ティアラ
概要
ベルギー王妃に代々受け継がれているティアラ。
⑴メアンダー模様のベース、⑵11のダイヤモンドパーツ、⑶後から加えられたアーチ型のパーツの3つで構成されている。
各パーツは取り外して、バンドゥやチョーカーのように使用可能。
なお⑵にある11のダイヤモンドは、当時9つあったベルギーの州(※)および王室と植民地コンゴを表していると言われている。
このベルギー領コンゴで採れたダイヤモンドに、アントワープカットを施したダイヤが使われている。
名称
THE NINE PROVINCES TIARA
起源
1926年、スウェーデン王女がベルギー王室に嫁入りする際、ベルギー国民から贈られた
宝飾メーカー
Van Bever
歴史
①アストリッド・ド・スエード
スウェーデン国王の三男の家庭に生まれました。
1926年、ベルギー王太子と恋愛結婚。
その際ベルギー国民からティアラを贈られました。
なお初期のティアラは、ベースからダイヤモンドがニョキっと生えたような 奇抜 個性的な作りでした。7年後の1933年 アストリッドはアーチ型の追加パーツを作らせ、よりティアラっぽい形にしました。
パーツが追加される前のティアラ
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パーツが追加された後のティアラ
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さてこのアストリッド、ご覧の通り、女優顔負けのチャーミングなお顔立ち。
それに加えて気さくな性格だったようで、ベルギー国民から大変な人気でした。
1934年には、先代王の死に伴い王妃となります。
ところが、即位からわずか1年半後の1935年、アストリッドは不幸な死を遂げます。
スイスで夫が運転する車に乗っていた所、夫の不注意で車が横転。アストリッドは車外に投げ出され、帰らぬ人となりました。
29歳の若さでした。
②リリアン・バエル(レティ公爵夫人)
事故を起こした国王は 怪我を負ったものの生き延び、6年後の1941年に再婚します。
そのお相手が、ロンドン生まれの民間人リリアンでした。
彼女はティアラのパーツをばらして、メアンダー模様のベース部分をバンドゥやブレスレットのようにして使用しました。
またトップにある11個のダイヤモンドを、金のカラーネックレスに下げてチョーカーのようにアレンジしたりもしました。
ちなみにこのカラーネックレスは、ヴァンクリーフ&アーペルのものだそうです。
◇
このようにおしゃれ度が高いリリアンでしたが、ベルギー国民からは不人気でした。
人気絶頂だった先代王妃の後妻という立場ですから、当然と言えば当然ですよね。
(現在のイギリス王妃のようなものでしょうか)
更に夫である国王もナチス寄りの行動が見られたりして、2人への風当たりは強くなるばかりでした。
結局夫は1951年に①アストリッドとの息子に国王の座を譲り、生前退位しました。
それに伴い、ティアラも新しい持ち主に受け継がれることになります。
③ ファビオラ・デ・モラ・イ・アラゴン
スペイン貴族の生まれ。①アストリッドの息子ボードゥアンの妻。
結婚式に際し、亡き義母が使用していたティアラを復活させました。
夫ボードゥアンとの子供には恵まれず、彼の死後は義弟アルベールが国王に即位。
義妹にあたるパオラにティアラを譲りました。
④ パオラ・ルッフォ・ディ・カラブリア
イタリア貴族の娘。ベルギー国王の次男に嫁ぐも長男夫妻に子供がいなかった為、のちに夫が国王になりました。
パオラは海外の王室との交流など、重要な場面で度々このティアラを着用しました。
これはベースをチョーカーにアレンジした写真↓
⑤マティルド・デュデケム・ダコ
④パオラの息子の妻。現在のベルギー王妃。
昨年夫の即位10周年を迎え、公式ポートレートの中でティアラを着用しました。
ベルギー王室公式X
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こちらの方が見やすいです
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おわりに
1991年の憲法改正により、性別によらず最長子が王位を継承することが決まったベルギー。
今の所、マティルド王妃の第一子エリザベート王女が将来は女王として即位する見込みです。
22歳の現在はオックスフォード大学リンカーン・カレッジで歴史と政治学を学び中。
ベルギーの公用語であるフランス語、オランダ語のほか、ドイツ語、英語にも優れ、中国語も学習中とのこと。
いつの日か、女王としてティアラを着用した姿を見られる日が楽しみです!
おまけ
マティルド王妃ファンの方が運営するブログ。ナイン・プロヴァンス・ティアラの画像がたくさんありますので、興味がある方はご覧になってみて下さい。
↓
Queen Mathilde
Jewels: The Tiara of the Nine Provinces
参考
見出し画像:
pixabay
・The Court jeweler
《 THE NINE PROVINCES TIARA 》
・bijouxroyauxenfoliewordpress.wordpress.com
《 The Nine Provinces Tiara 》
・Wikipedia
《 Astrid de Suède 》
《 Leopold III of Belgium 》
《 リリアン・バエル 》
《 エリザベート・ド・ベルジック 》
・elle.com
《 才色兼備さが光る“未来の女王”、ベルギー王室エリザベート王女にフォーカス! 》
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