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COVID−19 Report 2023 Week 7&8-パンデミックが終わらない

WHOのテドロス議長が新型コロナのパンデミックを宣言してから3年になろうとしている。日本の新規陽性数は急激に下がっている。また、世界全体でも減少が続いている。これで長かったコロナ禍も終わりと考えている人も多いと思う。一方で、ヨーロッパを中心に新規陽性数の増加の始まったあるいは減少が止まった国領土が増えている。これまでの研究から、コロナは常に世界のどこかで増加しており、それが他地域に広まるという感染パターンをとる。実際、新規陽性数や治療者数が0人になったにもかかわらず、再び感染が始まることも少なくない。なぜ、いつまでも感染が続くのかを論理的統計的に考察する

1。新規陽性0人になっても終わりではない

新規陽性数が0人が数週間続いたからと言って、翌週も0人であるとは限らない。例えば、エジプトでは22年16週(4月16日~22日)以降、新規陽性数0人が42週間続いていたが、23年6週に43週間ぶりの新規陽性が確認され、翌7~8週も増加が続いた。また、23年7週はギニアビサウで7週間ぶり、マヨットで6週間ぶり、コモロ、ミクロネシア、北キプロスで4週間ぶりの新規陽性があった。さらに、8週もカメルーンでおよそ3ヶ月ぶり、クウェートでも1ヶ月ぶりの新規陽性患者が確認された。

1A. 新規陽性0人が3週以上続く確率は約1%

ある週の新規陽性数が前週から減少して0人になったケースは、2022年に135国領土で計625回あった。ただし、前週から引き続き0人が続いてた場合を含まない。下のグラフは、新規陽性数が減少して0人になった回数が何国領土あったかを示している。

22年に1週でも新規陽性数が減少して0人になったところは136国領土あった。1回だけあったところは18国領土で、2回あったところは30国領土、等々となっている。最多はサンバルテルミー、サンマルタン、ケイマン諸島で、22年に14回も新規陽性数が減少して0人になった。ガボンが13回、マヨット、ベナン、グアドループが各12回、マルティニク、ガンビア、中央アフリカ、カメルーンが各11回、ギニア、ミクロネシア、タンザニアが各10回と続いている。新規陽性数が0人になったことがあることが10回以上になったの国領土はカリブ海(5)、アフリカ(8)、オセアニア(1)に分布している。新規陽性数0人になる回数が増えると、国領土数は減少傾向になる。22年に新規陽性数が0人になったことが1回もないところも99国領土あった。

仮に全ての国で1年間新規陽性数が0人だったとしたら、QRが集計しているところは235国領土なので、総数は1万2220回になる。故に、2022年にある週の新規陽性数が前週から減少して0人になる確率は、5.1%ということになる。つまり、平均すると、どこでも1年のうちに2~3回は新規陽性数が減少して0人になることがある。しかし、ダイエットや禁煙のように、新規陽性数0人を何週間も続けることはちょっと難しいようである。

下のグラフは22年中に、新規陽性数が0人になった後も引き続き0人が続いた週数の頻度である。

一旦新規陽性数が0人になった後、その翌週も新規陽性数0人が続いたケースは計246回(105国領土)、3週新規陽性数0人が続いたケースは181回(97国領土)あった。10週以上続いたケースも41国領土で47回あった。

下のグラフは、新規陽性数が0人になった時にその後も引き続き0人がn週数続いた確率(青)と、新規陽性数が0人になってからも引き続き0人がn週数続いた確率(赤)である。

新規陽性数が0人になった時に、2週続けて0人になる確率は39%になる。さらに3週連続とで0人となる確率は29%になる。新規陽性数が0人になる確率は5.1%なので、一旦新規陽性数が0人になってからそれが2週続く確率は2%に、3週続く確率は1.5%になる。新規陽性数が0人になったとしても、それを長く維持するのは難しようである。

下のグラフは22年に、新規陽性数0人が続いた週数の頻度である。

頻度には重複を含む。例えば、ある国で新規陽性数が5週連続で0人だった時、5週連続が1回起こったと数えることに加えて、4週連続が2回、3週連続が3回、2週連続が4回起こったというように数えている。このように数えると、新規陽性数0人が発生したケースは2058回あった。先ほどと同じように計算すれば、新規陽性数0人が起こる確率は約17%である。同様に新規陽性数0人が3週続いたケースは1124回で、その確率は約10%である。

下のグラフは22年に、新規陽性数0人が連続して起こった時に、その次の週も0人になる確率である。

新規要請数が2週続けて0人だった時に、3週目も0人になる確率は80%でる。3週続けて0人だった時に、4週目も0人になる確率は85%に上がる。新規陽性数0人が数週続けば、その次の週も0人になる確率は高い。しかし、先の結果から、次の次の週も0人を維持するのは難しい。

1B. アフリカ、カリブ海、オセアニアで0人が多い

過去に一人でも感染者を出した国の中で22年中に新規陽性数0が3週以上続いたケース(ただし初感染以前の0は含めない)は下の98国領土で確認された。

( )内の数字は新規陽性数0が続いた週数、複数回ある場合は最長のもの、を表す。背景がピンクのところは人口1000万人以上、白色のところは、人口が10万人以上1000万人未満、黄色のところは人口が10万人未満である。青字のところは2022年のブースター回数が100万回未満、緑字のところは22年にブースターを一回も接種していない国領土である。# のところは前回重症者数を正しく数えてない国としてリストしたところ、* のついたところは治療者数を報告していないところである。また下線を引いたところは、2022年に新規陽性0人が26週以上続いたところである。

連続新規陽性数0人の最長は西サハラの52週、つまり、22年は新規感染者が0人だった。2番目はバチカンの49週連続だった。ベラルーシ、ジブチ、エジプト、フェロー諸島、グリーンランド、タジキスタン、セントヘレナ、ウォリスフツナでも半年以上連続で新規陽性数0人を記録した。これらの国地域では、エジプト、セントヘレナ、ウォリスフツナを除いて23年8週時点で新規陽性数0を継続している。

分布を見れば、アフリカ、カリブ海、オセアニアに多く、アジア、ヨーロッパ、アメリカで少ない。カリブ海やオセアニアは人口の少ない国領土が多い。人口が少なければ、必然的に新規陽性者も少なくなるので、0人になりやすいとは言えるだろう。

一方、アフリカは人口の多いところも少なくない。ナイジェリアやエジプトは1億人以上いる。下のグラフは、大陸別の22年の新規陽性数の推移である。


アフリカでは基本的に新規陽性者が少ない。人口が2億人以上のナイジェリアの22年の新規陽性数はわずか2万4000人でしかない。

従って、当たり前と言えば当たり前であるが、新規陽性数が少ない国の方が新規陽性数0人を続けやすいといえる。実際、22年新規陽性数が世界平均の約160万人を超えたところは、北朝鮮(477万人)、トルコ(759万人)の2国のみ。10万人以上のところも、ベラルーシ、モルドバ、エジプト、リビア、ボツワナ、コスタリカ、バハマ。ドミニカ共和、グアドループ、マルティニクだけである。

また、ブースター回数が少ない国領土が多い。オセアニアではリストされた国領土全てで、カリブ海ではドミニカ共和以外の全てでブースター回数が100万回未満だった。アフリカでも過半数がブースター回数が100万回未満だった。0回のところも多い。

1C. 治療中の患者も少ない

下のグラフは22年中に新規陽性数0人が3週間以上連続した国領土で、その期間の最終週の治療中の患者の数の分布である。

97国領土で135回のうち、約3分の2にあたる93回で治療者数1000人未満だった。0人も15回(11%)あった。最も多かったのはマルティニクの15万2223人で、10万人以上はここだけだった。他に、フェロー諸島、ジャマイカ、コスタリカ、マヨット、サンマルタン、サモアで1万人以上の治療中の患者がいた。

下のグラフは22年の1日平均の治療中の患者の数の分布である。

治療者数1000人未満の国領土の割合は38%で、新規陽性数0人を3週以上続けているケースよりもかな少ない。治療者数0人の割合も3%で、3分の1以下となった。従って、新規陽性数が0人を続けている間は、治療者数が通常よりも少なくなっているケースが多い。

面白いことに、サモア、パラオ、マラウィ、ルクセンブルグ、マン島、フォークランドを除いて、期間中の治療者数が全て同じである。例えば、エジプトでは、22年16週から新規陽性0人が始まったが、その週から治療者数は4万8850人のままで、連続0人が終了するまで変わらなかった。新規陽性数が0人なのだから、治療者数は増えないのは当たり前だが、減らないというのは、回復者が一人もいないという状況である。新規陽性数が0でなくなったら、その分治療者数が増えてしまった。本当に回復していなかったのかと思うと、ちょっと恐ろしい。しかし、感染してから10ヶ月以上も回復しない患者がこれだけいるのはちょっと考えずらいので、おそらく、エジプトは回復者を追跡していないと推測する。

下のグラフは22年の治療中の患者の数の分布を連続0人の週数別に分けたものである。

それほど明確な差があるわけではないが、連続0人の週が長くなるに連れ、治療者数の数は減る傾向にある。11週以上続いたケースでは23%が治療者数0人だった。このことから、新規陽性数を0人にして、それを維持するには治療者数が少ないことが大切である。

治療者数の多かったマルティニクでは新規陽性数0人のケースが18回あったが、3週連続が1回、2週連続が6回あった。連続0の前後の数値を比較すると、過去数週間分をまとめて発表、つまり、本当は新規陽性数は0人ではないが、何らかの理由でその時に発表せず、その後修正もせずにいる可能性も考えられる。マヨット、サンマルタン、コスタリカ、ジャマイカも同じように、発表していないだけの可能性が高い。

フェロー諸島は治療者数の公表を止めており、また、重症者数も正しく数えておらず、ワクチンも接種していないので、新型コロナ患者の追跡をすでにやめている可能性も考えられる。同じく治療者数の公表をやめているトルコや重症者数を正しく数えていないと思われるエジプトでも新型コロナ患者の追跡をとっくにやめているのではないだろうか。

1D.新規陽性数0人が長く続かない理由

数多くの連続新規陽性0人のケースを見てきたが、残念ながら、途中で終わっているケースが多い。22年に新規陽性数0人を3週以上続けてきた97国領土のうち、58国領土で新規陽性数0人が途切れた。23年8週時点で新規陽性数0人を継続しているのは北朝鮮やバチカンなど38国領土(40%)だけである。

23年に入って、ケイマン諸島*、赤道ギニア、タヒチ*、イラク*、リベリア、パプアニューギニア、レユニオン、セネガル、シリア、トケラウ*、オマーン*、レユニオン* でも3週以上連続0人が確認された。これらの国領土では22年中に連続新規陽性数0人はなかったので、上の表にはリストしていない。8週時点でで新規陽性数0人継続しているのは * のついた6国領土のみで。やはり、長く続かないところが多い。

新規陽性数0人を継続している国領土のうちで治療中の患者も0人のところは、北朝鮮、バチカン、エリトリア、西サハラ、フォークランドのわずか5国領土のみである。スリナムは8週にようやく治療者数が〇人になった。また、トルコ、フェロー諸島、マン島、シエラレオネ、バージン諸島、ソロモン諸島は治療者数を公表していないので、0人かどうかはわからない。。他は治療者数は、多くはないが0人ではない。治療者数の有無は新規陽性数0人を維持することとあまり関係が強くないかもしれない。

実際、治療者数0人でも新規陽性数が確認されることがある、22年は、キリバス(4週)、クック諸島(7週)、北朝鮮(19週)、ナウル(14週)、トケラウ(52週)、ツバル(21週)で初の新規陽性が確認された。北朝鮮は31週以降新規陽性数も治療者数も0になり、その後は感染者を出していない。トケラウもその後新規陽性は出していないが治療者数はそのまま変わっていない。また、マーシャル諸島、ミクロネシア、セントヘレナ、バチカンも半年以上治療者数0人を続けていたが、更なる新規陽性数の確認があった。セントヘレナ、バチカン、北朝鮮を除くと、いずれもオセアニアに属する。

ではなぜ感染が起こるのか、治ったと思っても再開するのか。

新型コロナは中国発祥なので、中国以外では、外からウイルスを持ち込まれない限り新型コロナの感染は起こり得ない。オセアニアでは22年になって、中国が支援のために国を訪問をしたことがあり、陽性確認の時期と重なる。従って、訪問した時あるいは支援物資を送った時にウイルスが持ち込まれた可能性が高い。実際、トンガでは港湾労働者が最初に陽性になったという報道もあった。

それゆえに、厳しい検疫体制が敷かれていたのであるが、QRの研究によって、この検疫が却ってより多くの感染者を入国させる結果となったことがわかっている。いわゆる、すり抜けである。すり抜けとは、空港検査で陰性だったが、入国後に陽性となることである。全員検査を実施していた時は、空港検疫で陽性と判明した患者数の少なくとも6割はいると推測されている。全員検査をやめた今では、もっと多くのすり抜けが発生していると考えられる。

たとえすり抜けたとしても彼らがきちんと自主隔離をしていれば問題はなかった。しかし、実際は自主隔離をしないものも多く、行方のつかめないものもいた。また、すり抜けの濃厚接触者の中には、自分は陰性証明を持っているからとかワクチンを完了しているからと、発熱などの症状があったにもかかわらず他人と接触していた患者もいた。

下のグラフは日本国内と入国検査での新規陽性数の推移である。

ちょうど年末に空港検査での新規陽性数が急増した。その翌週、国内の新規陽性数が急増した。空港検査をすり抜けた人たちから感染が広まった可能性が考えられる。

一方、治療者数を公表しなかったり、重症者数や治療者数を正しく数えていない国も増えている。従って、患者を数えないから新規陽性数が0人が維持できていると言ってもいいかもしれない。

1E. 検査の拡大が陰線の感染者を多く排出した

感染者から他人にウイルスをうつさないようにするために、WHOはじめ医療業界では、感染者を特定して、隔離をすることから始めた。しかし、完全に間違っていたと言わざるを得ない。

検査で陽性になれば、基本的に隔離される。従って、陽性者から感染することは稀である。では、いつ感染するのかといえば、陽性と判明した人との検査前の接触ウイルスを持っているけれども陰性と診断された人との接触である。検査で陽性と診断されたということは、少なくともその3日前に感染しており、たとえ症状が無かったとしても、検査前日には他人にうつすには十分な量のウイルスを持っている可能性が高いからである。また、検査陰性はウイルスを持っていないことを意味していない。陰性は検査時に他人にうつすほどのウイルスを持っていないことを示しているに過ぎない。検査後にウイルス量が増えることもあれば、他人にうつされることもあるので、陰性だから自分からは感染しないということは論理的ではない

この方法は麻疹などの感染力の強い(ほぼ100%)病原体に対しては有効だったのだろうが、新型コロナのような感染力がそれほど強くない(約10%)病原体には全く役立たなかった。

WHOは「検査、検査、検査」と検査数を増やすように煽った、古い、特にリベラル系のメディは検査をすることがまるでコロナを治す特効薬であるかのような報道をして、追随した。ニューヨークのクオモ知事など全員検査を唱えた指導者も少なくない。果たして、検査の数を増やすことで、陰性の感染者が増えた。それゆえ、感染が帰って拡大してしまった。実際、ニューヨーク州は20年に死者数が世界で最も多かった自治体の一つである。そして、この非論理的なことがこの3年間繰り返されてきた。だからいつまでたっても感染が終わらないのである。

1F. 人に感染させないようにという思いやり

最近は、ワクチンを接種したから、症状があっても新型コロナではないと誤信している人も多い。彼らは、自分が感染したかどうか、自分が重症化するかどうかだけに関心があり、他人に感染させる可能性については一切考えていないように思える。こういう人のそばにいれば、感染しやすいのは明らかであろう。ワクチンを接種していない人は感染に対して常に注意を払っているので、むしろ、他人にも感染させにくい。

故に、感染をなくすためには、自分はもしかしたら無自覚の感染者であるかもしれない、もしかしたら、他人にうつすかもしれないと考えて行動をするのが良いと思われる。検査は、むしろしない方が良い。なんなら、ワクチンんももうやめた方が良い。ワクチン暴力団が減って好ましい状況になる。

2。2年8か月ぶりの新規陽性100万人未満

23年8週の世界の感染状況は以下のとおりである。増減は前週比(△は増加、▼は減少)、前週の数値は修正後のものを用いる。

新規陽性数:96万6203人(▼11%)、9週連続減少中

死者数:6576人(▼21%)、6週連続減少中

治療者数:1898万5147人(▼1%)、6週連続減少中

重症者数:1万7420人(▼2%)、6週連続減少中

回復者数:119万7970人(▼0.2%)、7週連続減少中

回復率:5.9%(△0.0)、95%回復週数:49.0週(▼0.5)

23年6週のワクチン接種状況は以下のとおりである。

ワクチン総接種回数:1543万4012回(△143%)、 

ブースター回数:575万7171回(△237%)、 ブースター割合:37%

完了率:64.2%、過完了率:35.0%

2A グラフ

感染図

回復者、新規陽性数、治療者数の推移

患者の95%が回復するまでの週数の推移

ワクチン接種回数とブースター回数の推移

ワクチン接種回数と新規陽性数/回復者数の推移

2B  23年1期の新規陽性は22年4期の半分程度

22年8週の新規陽性数は9週連続の減少となった。20年23週(6月6日−12日)以来2年8か月ぶりに100万人未満になった。ただし、ギリシャとイギリスが新規陽性数を更新していないようなので、両国の更新状況次第では、100万人を超え、前週に比べ増加している可能性もある。カリブ海とヨーロッパ西では減少傾向だが、ヨーロッパ東の増加が続いている。

23年7週はギニアビサウで7週間ぶり、マヨットで6週間ぶり、ブルキナファソで5週間ぶりのしろとがあった。8週はカメルーンで15週間ぶり、クウェートで5週間ぶりの新規陽性があった。チリ、ニュージーランド、カナダで23年1期の新規陽性数が10万人を超えた。2月10日までの23年1期の新規陽性数は1414万7920人となった。22年4期のペースからは44%ほど遅いので、このペースなら、23年1期の新規陽性者数は22年4期の半分以下になると予想される。

23年8週新規陽性数ランキング

7週の新規陽性数とその順位(修正前)も載せた。先週11位のイギリスと14位のギリシャで新規陽性数が0人だった。おそらく新規陽性数の公表をしていないだけで、感染者は少なく見積もっても両国で合わせて2万人ほどいると思われる。また、ヨーロッパ東の増加が目立つ。

23年8週人口100万人当たり1日平均新規陽性数ランキング

北キプロスは今週の新規陽性数の公表をしていないので、今週のキプロス+北キプロスの数値はキプロス単独のものである。

23年8週トレンドレベル地図


今週は赤レベルが25国領土と増えた。ヨーロッパ中央部と西アジアに赤と橙が広く分布している。またアメリカ南北で黄色(減少ストップ)が増えた。

2C. 23年1期の死者数は22年4期を若干下回る程度

死者数は8週連続で減少中である。23年7週はミクロネシアで5週間ぶりの死者が確認された。8週はアラブ首長国連邦で18週間ぶり、アルバニアで9週間ぶりの死者があった。23年1期の死者数は9万0095人で、22年4期に比べて3%ほど速いが、ペースは落ちている。このペースなら、23年1期の死者数は22年4期よりは少なくなりそうである。しかし、新規陽性数が大幅に減ると予想されるので、死者数の新規陽性数に対する割合、つまり、致死率は逆に上昇することになる

23年8週の死者数ランキング

ブラジルで死者数が急増し、6週の7位から先週は6位に、今週は2位に上がった。メキシコも大きく順位をあげた。

23年8週の人口100万人当たり1日平均死者数ランキング

23年1期の死者数/新規陽性数ランキング

23年1期の新規陽性数10万人以上の国領土の中ではイギリスが4.2%で最も高い。

2D. 治療者数は日本とヨーロッパで増加が続く

治療者数は6週連続で減少となった。しかし22年4期に比べ30%以上も多い。治療者数を公表しない国領土も多いので、実際は増加が続いている可能性も考えられる。7週にコモロで治療者数が0人になり、今週も続いている。しかし、新規陽性数は0ではないので、治療者数を正しく数えていない可能性も考えられる。22年5週に治療者数が0人になって今週まで続いているシリアも治療者数を正しく数えていない可能性も考えられる。

8週は、ボツワナ、バーレーン、ニューカレドニア、セントビンセントグレナディーンで治療者数が0になった。バーレーンでは今週5000人以上の新規陽性があった。新型コロナでは感染が判明してから回復するまで少なくとも1週間かかるので、治療者数が0という可能性は少ない。この新規陽性者は全て、7週以前に感染した可能性もある。あるいは、治療者数を正しく数えていない可能性も考えられる。ボツワナとニューカレドニアも同様である。

22年7月1日以前に感染して、今なお治療中の患者が少なくとも34国領土に174万6593人いる。ほとんどの国領土でその数が減らない。

23年8週治療者数ランキング

日本が17週連続1位となった。22週連続で増加が続いている。増加率は減少が続いているが、なかなか治療者数が減少しない。ポーランドやベトナムなど23年1期の新規陽性数が10万人未満のところも多い。そういうところは、22年7月1日以前に感染して、今なお治療中の患者が多い。

23年8週人口100万人あたり治療者数ランキング

22年5週からケイマン諸島に代わってセントヘレナがトップに立っている。23年1期の新規陽性数が10万人以上のところでは日本が最も多い。

23年8週時点での8ヶ月以上治療中の患者数ランキング

表中の「6mo」は22年7月1日から6ヶ月という意味である。すでに23年も始まって2ヶ月経ったので、「8mo」とすべきだった。

2E. 重症者数

重症者数は22年1週に遡って、重症者数を N/A にしたところを除いて集計している。ゆえに、Worldometer の数値よりも70%以上少なくなっている。22年6週に中国は重症者数を N/A にしたが、7週からまた復活させた。しかし、数は変わっていないので、正しく数えていない可能性がある。

23年5週の重症者数ランキング

2F. 回復率の低下が止まった

回復者数は7週連続で減少となった。しかし、回復率は6週連続定価でストップした、回復週数も少し減少した。23年の回復者数は1552万1223人で、4週続けて新規陽性数を上回った。累計では6億4989万4313人が回復し、累計回復率は96%になった。

バングラデシュなど13国領土で回復者数が0人になった。66国領土で23年1期の回復者数が0人である。1週間の回復者数が0人というのはあり得ない話ではない。しかし、回復者0にんが数ヶ月も続くのは以上である。一度感染すると死ぬまで治らないような強力な変異株が現れたか、回復者数を正しく数えていないかのどちらかであろう。

23年8週回復者数ランキング

23年8週人口100万人当たり1日平均回復者数ランキング

23年8週回復週数ランキング

表にはリストしていないが、最も長いのは無限大で、102国地域ある。

2G. アフリカでブースターが本格化

23年7~8週にかけてアフリカでの接種報告があがってきた。5週、6週、8週の接種回数が大きく増えた。なぜか7週の接種回数はそれほど増えなかった。下のグラフは、大陸別接種回数の推移である。


今週は75国領土で接種が実施され、59国領土でブースターが接種された。今週はワクチンの約70%、ブースターの65%がアフリカで接種された。アフリカではブースターが本格化した模様である。

ナウルでは18週間ぶり、バヌアツでは14週間ぶり、ブルキナファソとトンガでは12週間ぶり、タンザニアでは10週間ぶり、イエメンでは8週間ぶり、アンゴラで7週間ぶり、コートジボワールで6週間ぶりの接種があった。アンゴラとナウルでは今週新規陽性数が急増した。他の国では5~7週にかけて新規陽性数が増加し、今週は減少になった。トンガとブルキナファソでは新規陽性数が0になるのを待ってから接種をした。また、アフガニスタンで初めてのブースターが報告された。 アフガニスタンの1週間の平均接種回数は約9万6000回なので、遅くとも22年48週にはブースターを始めていたと思われる。

23年1期の総接種回数は1億4142万1567回、ブースターは6299万8408回で、どちらも前期の約半分のペースで進んでいる。今までの総接種回数は133億3486万3566回、総ブースター回数は27億8113万1377回になった。

23年8週ワクチン接種回数ランキング

最も接種回数が多かったのはエジプトであった。おそらく先週からの新規陽性数急増を受けてのものと思われる。1位のエジプトから6位のブルキナファソまでいずれも5~7週に新規陽性数が急増した。

23年8週ブースター接種回数ランキング


3。接種者と未接種者の回復率の差はどうなっているのか


日本の23年8週の感染状況

新規陽性数9万8152人(▼35%)4位(15週連続1位でストップ)7週連続減少中

 人口100万人あたり1日平均:111.7人、19位↓(1期新規陽性数10万人以上では6位↓)

死者数685人(▼32%)3位↓、5週連続減少中

 人口100万人あたり1日平均:0.78人、10位↓(1期新規陽性数10万人以上では3位)

治療者数1140万9957人(△1%)18週連続1位、22週連続増加中

 人口100万人あたり1日平均:9万0855人、10位(1期新規陽性数10万人以上では1位

重症者数:183人(▼21%)13位↓(正しく数えている国では7位↓)6週連続減少中

回復者数:2万1125人(▼29%)、回復率:0.2%(▽0.2)

 95%回復週数:1619週(△814)

22年7週に日本の新規陽性数が2位に下がった。3ヶ月以上続いた日本の連続1位が終わった。8週は22年25週(6月18日ー24日)以来、8ヶ月ぶりに10万人以下となった。23年1期の新規陽性数は394万5186人で、こちらはまだ世界1位である。累計でも3315万7721人を超えた。日本居住者の4人に一人は少なくとも1回新型コロナに感染したことがある。死者数も22年47週(11月19日ー25日)以来3ヶ月ぶりに千人未満となった。23年1期の死者数は1万868人で、世界2位である。累計では7万2134人だった。致死率は23年1期が0.38%、累計が0.22%である。

回復者数は今週も減少した。しかし、回復率は0.2%となってさらに下がった。回復週数は1620週までに増えた。このペースが続けば、現在1140万人以上いる感染者の95%が回復するまでに31年かかる。新規陽性数から死者数と回復者数を除いた数値は+7万6342人で、治療者数は今週も増加した。22週連続増加が続いている。治療者数の増加のペースはだいぶ小さくなったのだが、なかなかマイナスにならない。

日本の感染図

日本の回復者数と新規陽性数。治療者数の推移



日本と世界の回復率の推移

日本も世界も回復率は下がってきてい。世界全体では新規陽性数は回復者数を下回っているので、治療者数は減少中であるが、日本は回復者数が極端に少なく、いまだに新規陽性数の方が多い。下の表は治療者数ランキング上位20国の新規陽性数と回復者数その他のリストである。

新規陽性数が回復者数をうわ待っているのは、日本の他は、ポーランド、メキシコ、コスタリカ、ドイツ、ロシア、レバノン、モルドバ、エストニア、イラン、アルジェリアがあるが、日本以外は全て新規陽性数が増加中である。また、先進国で日本並みに回復率のでたとくい国はない。

接種回数もブースター回数も3週連続で減少している。オミクロン株対応ワクチンを接種ブースターを少なくとも1回(3回接種者)受けた者の割合は68.4%になった。

ワクチン総接種回数:49万2095回(△0.3%)、ブースター回数:46万8156回(▼1%)

 オミクロン株対応ワクチン接種回数:45万7638回(▼20%)

 三回目接種回数:8万7172回(△5%)割合:68.4%

 四回目接種回数:16万2642回(▼11%)割合:45.8%

 五回目接種回数:23万3930回(▼28%)割合:23.3%

日本の総接種回数/ブースター接種回数の推移


オミクロン株対応ワクチンと新規陽性数/回復者数の推移


オミクロン株対応ワクチンは100%ブースターなので、今までの治験結果からすれば、接種後1週間ほどでにその効果を発揮するはずである。故に新規陽性数の増加のペースはすぐに弱まるはずである。下のグラフは22年のワクチン接種回数、ブースター回数と新規陽性数の推移である。

日本では22年から本格的にブースターが始まった。1月7日の週からブースター回数が急増するとともに、新規陽性数もほぼ同じペースで増え始めた。新規陽性数は約1ヶ月後、2月11日の週にピークを迎えた。ブースターの効果かと思うかもしれないが、第6波の頃はオミクロン株初期型が世界で大流行を見せていため、日本でも強い感染対策が実施された。新規陽性数が早くにピークを迎えたのは感染対策が功を奏した可能性もある。

7月1日から増加の始まった第7波では、厚労省のデータ捏造がバレて、ワクチンを接しした人の方が感染しやすいという結果判明したために、新規陽性数が急増してもブスター回数はそれほど増えなかった。SNS等でようやく「ワクチンを接種していれば感染しない」というのは間違いだったと認めた。ところが、7月29日の週からブースター回数が倍増した。「ワクチンを接種すれば感染しても重症化しない」という真偽が証明されたとは言い難い命題を根拠に、「ワクチンを接種しないやつはバカだ」と主張する者がおり、未接種者に対する差別のようなものがいくつか報告されていたので、差別を恐れてブースター回数が増えたのではと考えられる。しかし、BA.5型の予防には効果がなかったようで、新規陽性数は過去最高を記録した。

オミクロン株対応ワクチンの接種は22年9月末から始まった。10月7日の週からオミクロン株対応ワクチンの接種回数が増加を始めた。すると、翌10月21日の週から、それまで減少を続けていた新規陽性数が、一転、増加となった。今回は1ヶ月経っても新規陽性数増加の勢いは衰えず、ほぼ3ヶ月後の23年1月6日の週にようやく減少となった。初期型の頃とは違い、この時期は規制緩和で、強い感染対策は実施されなかった。オミクロン株対応ワクチンの効果があるとすれば、感染対策の有無とは関係なしに、新規陽性数の増加が抑えられるはずである。遅くとも12月には新規陽性数が原初王となっていただろう。したがって、オミクロン株対応ワクチンは新規陽性数を増やさない効果があるとは結論できない。

下のグラフは22年のワクチン接種回数、ブースター回数と回復者数の推移である。


回復者数のグラフは、ほぼ1週間遅れで新規陽性数と同じ形になっている。つまり、感染しても1~2週間で回復したケースが多い。この時期の日本の回復率は40%近かった。BA.5型でも同じである。ところが、22年4期は、回復者数が全く増加しない。11月末に増加したが、その後もほぼ横ばいで、23年以降は減少が続いている。回復率は1%未満である。一度感染すれば、回復するのに感染対策は必要ないので、これには2つの可能性が考えられる。一つ目は、今回流行しているウイルスの特性である。新たな変異種で、回復するのに時間がかかる型の可能性がある。二つ目は、オミクロン株対応ワクチンが回復を遅らせている可能性である。接種者と未接種者で回復するのに違いがあるのか、あるとすれば、どのくらいの差になるのか興味のあるところである。

データについて

23年7週のデータは2月11日から17日まで、8週のデータは2月18日から24日までの合計(治療者数、重症者数は平均)である。3月1日時点で得られたデータを用いて計算しているので、他のデータサイトとは数値が異なることもある。最近は毎日データを更新する頻度が減った国領土も多い。したがって、最新のデータでないこともある。また、大きな矛盾が出れば過去のデータを修正するので、過去のレポートの数値と異なることもある。

人口、新規陽性数、死者数、治療者数、重症者数はWorldometer(https://www.worldometers.info/coronavirus/)の Coronavirus Update 、コソボはGoogle、北キプロスは自国のウェブページ(https://saglik.gov.ct.tr/COVID-19-GENEL-DURUM)、日本の空港検疫の新規陽性者数は厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/)の発表する「新型コロナウイルス感染症の現在の状況について」の数字を用いている。回復者数や感染率など各種2次データは全てこれらのデータから計算しているので、Worldometer のデータとは異なることもある。

接種回数とブースター回数はGithub(https://github.com/owid/covid-19-data/tree/master/public/data/vaccinations/country_data)から、日本のブースターとオミクロン対応については首相官邸のホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html)から入手している。その他のデータあるいは記事等の出どころは本文に記す。


23年3月7日投稿

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