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19歳になりたくない。


19歳になりたくない。
18歳の私はそう思う。


「年齢なんてただの記号だよ」と、誰かが言っているのを聞いたことがあるけれど、大人になると共に、周りからの期待も大きくなっているように感じて、まだまだ子供でいたい気持ちと早く大人になって自由になりたい気持ちがごちゃ混ぜになって気分が悪くなる。
でも、19歳にはなりたくない。


17歳。4月。

高校最後の1年間がスタートした。
3年生になると先生は、「このクラスで過ごせるのは最後だから」「もうここにいる全員で学ぶことは出来ないから」と、事ある毎に言った。
そんな先生の言葉を聞いて、「1日1日大切にしようね!!」なんて言って涙ぐむ子なんていなく、心のどこかでみんな、別に友達だから会おうと思えば会えるし、卒業したら死ぬわけじゃないし。そう思ってた。


春も終わり、夏が過ぎ、あっという間に冬が来た。

沖縄と言っても冬は寒く、早く春になってほしいね。と、コンビニで買ったおでんを食べながら思うのが毎年の恒例だった。

でも、18歳の冬は違った。
帰り道、先生の言葉を思い出す。


「これがみんなの最後の高校生活だ。悔いのないように過ごすように。」
「今日から最後の夏休みが始まる。怪我や事故はするなよ。」
「これが最後の文化祭だ。頭に入れて行動しろ。」
「今日から最後の冬休みが始まる。ここからあっという間に卒業だ。」


卒業。


季節が過ぎるのと同時に、先生の言葉たちが、どんどん卒業へ向かっているのを実感した。

そして、最初は厳しかった先生も、卒業が近づくにつれてだんだんと優しくなっていくのも、嬉しいという気持ちよりも切ない気持ちになった。

本当に卒業するんだ、私。


入学してからその頃まで、眠いから休もう。雨だから休もう。バイト疲れたから休もう。と、軽い気持ちで学校を休んでしまっていた私だが、この冬をきっかけに1日も休まず行くようになる。

遅いけど、もう戻れないと気づいたから。


私は中学3年間不登校だった。学校なんて消えてしまえと思っていた。なんの為に行くのか分からなかった。そこに人生の答えはないのだと思った。偶然自分が生まれた地域で、そこに偶然できた中学に、偶然同じところで育った子達とかならず3年間過ごさなきゃいけないなんて、変だと思った。
だから私は自分で高校を選んだ。〇〇ちゃんが通うから私も受験する、なんて薄っぺらい友情なんていらない。だから誰にも高校を教えず、自分が行きたいと思った学校にたった一人で受験した。友達なんていらないと思った。


だから、その時の私は、卒業への悲しい気持ちを経験したことがなかった。結局、中学の卒業式には出なかったし、泣くほどの思い出なんてそこには無かった。愛犬を亡くした時にだけ、泣いた。


18歳。12月。

3年間を振り返り、1人で部屋で泣いていた。
なんでだろう、なんでこんなに涙が出るのかな。
辛かった。
明日が来るのが怖かった。
2019年なんて来なくていいと願った。

それは「卒業」するから涙が出るのではなく、
「仲間と離れるのが寂しいから」涙が出るのだと気づいたから。


卒業なんてお涙頂戴イベだと馬鹿にし、中学の時
周りが泣いて仲良しグループたちで帰ってるのを見て、「薄っぺらい友情だな」と心の中で貶していた
あの頃の自分を殴りたい。

その子にはその子にしかない思い出がここに詰まってるんだ。卒業するから涙が出るのではなく、離れたくないと思えるほどかけがえのない仲間に出会えたから、だから泣いてるんだと。

3年経ってやっと分かった。

たった一人で受験した高校で、「友達なんていらない」と思って入った高校だったのに、3年経った今では親友も出来てなんでも話せる友達が指折りで片手が埋まるくらいまでに増えた。
私にとってはこれが奇跡なのだ。



18歳。3/9。

どんどん決まっていくみんなの進路、校内に掲示される卒業までのカウントダウン。何処と無く授業での先生の雑談が増えていく感じ。そして、最後の登校日。卒業式。

みんなの制服の胸には赤い花のコサージュ。
「ほんとに卒業するのかぁ」「実感無いね」なんて会話をしながら、目が真っ赤の私と友達。
頭で分かってても、心がごねる。


「卒業おめでとう」

普段泣かない先生の涙で、無事に私は号泣した。



ねえ、18歳。
わたしだけの18歳。

かけがえのないものを手に入れた18歳。
友達、家族、恩師、思い出、感情。

この気持ちを忘れたくない。


大人になるにつれ、「普通」を強制されていく。
普通に就職して普通に結婚して普通に家庭を築きそして死ぬ。


18歳。
もっと強くなりたいよ。
でも弱くもありたいな。

あと少しだけ、18歳に甘えたい。


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