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東京にきて4か月たった

桜満開の東京に、
季節外れに振った大雪がまだ残る2020年3月29日。
1匹のうさぎを連れて、新幹線で東京駅に降り立った。

世の中では、
脅威のウイルスが世界中を震撼させ、
ヨーロッパやNYの都市封鎖が連日の大きなニュースとなり、
小池都知事による感染爆発の重大局面。
その言葉が出たのが3月26日だった。

東京駅から丸の内線に向かう道は、
19時前だというのに、お店は臨時休業し、人通りもまばら、
これから起こるであろうウイルスとの闘い前夜のような、
不思議な緊張感を覚えた。
その日泊まった新宿近くのホテルで食べた
テイクアウトのとんかつは、
異様な世界が始まってしまうかもしれない緊張感の中で、
少しだけほっとできる温かさだったのを記憶している。


あれから4か月。
早かった気もするしとてつもなく長かった気もする。

一緒にきた家族のうさぎさんは居なくなってしまったけれど。
でも近くにいるような気はしている。

最初の1か月は、
初めて経験する外出自粛、
外食なんてとんでもない、
スーパーはできるだけまとめて、
仕事は在宅で。
初めてのことばかりで、言い方は悪いけれど、みんなが同じ、何も動けない、我慢する、
同じだから安心できた気持ちも正直あった。
同じ敵に向かって戦ってる共存感のようなものがあったのかな。
どこにも行けないGWも、
仕方ないと思えたし。

そんなほんの数ヶ月前と変わってしまった状況から、
少しずつ、少しずつ世の中が抜け出していけるような気がした。
ニュースもいつのまにかトップニュースがコロナ関連ではなくなった。

そうなってくると、
遅れてきた倦怠感みたいな感覚に襲われ始めた。

4月には感じなかった感情。

わからないけど、
あーしんどいな、仕事もしんどいし、土日もしんどい。
みたいな。

仕事に原因もあるとは思う。
人には会えないから、顔色もわからず、
メールの文章がどんなテンションなのかも分からない。
自分の知識が追い付かないところが多くて、
幻滅されているんじゃないかという絶望感。

でも、
根底にあるのは、本当に仕事かな。
圧倒的に、家にいて、生活する時間の方が長い。
もはや、仕事が原因とか言うより、日常そのものに息苦しさを感じた。


SNSを見ると素敵な生活があふれている。
こちとら窓の外を見ても曇っているし、
雨も降るし、じめじめするし、
部屋は汚いし、朝食食べるのもめんどくさくて、
昼食作るのもだるく、夜ご飯のメニューも思い浮かばない。

寝ても起きても、
あぁしんどい。

そんな感情だけが残る日々だった。

そんな時出会った言葉ひとつ。

消化することだけに執着するより、
「私は消化できていない」って思いを減らしていくことが大切かも

NEXTWEEKENDというWEBメディアを運営されている
村上萌さんの言葉です。

消化不良のような、ねっとりじっとりした状態を、
どうにか抜け出さないと、と焦りがつのり、
でも出来ていない自分に落ち込むのであれば。
目の前のどんなことでもいい、
朝ごはんをちゃんと食べる
部屋の角っこだけでも掃除する
欲しかったちょっと高いスパイスを買ってみる


なんでもいい。

全部を次の日いっぺんに完璧にするんじゃなく、
昨日よりも今日が、
ほんの少しでも今やれる最大限をやれるように。

今この瞬間のことを考えられるように。

そんな気持ちになる。

今日から8月だ。
久々の青い空と明るい陽射しに胸が躍った。
駅に向かうとき、咲いてた小さな花がきれいだった。
昨日も咲いてたはずなのにな。

よし、大好きな季節が
やっと遅れてやってきた。

東京5か月目、楽しもう。



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