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民藝旅 vol.1 山陰・愛媛編 \7日目/【愛媛県 砥部町】

4月13日日曜日 雨。

お皿がいいと、ごはんも嬉しそうに見える。
レーズンパンの乗った砥部焼が、ふふっと笑ったように見えた。

ほだかさんのお家は、素敵な手仕事でいっぱい。


ほだかさんは漆作家だから、自分で金継ぎする。


久しぶりの納豆に、心がほどける。やっぱり馴染みの味が一番落ち着く。
漆作家ほだかさんは、よく味のしみたコンソメスープを置きながら、テーブルについた。

ほだかさんは、魔女の宅急便の “おソノさん” 。「泊まるところがないなら、うちに泊まっていけばいいじゃない!」見ず知らずのマックロクロスケを快く泊めてくれた優しいお姉さんだ。

漆のアクセサリー作家さん、なかなか珍しいでしょう。
真珠と漆のイアリング。かわいいんですよ…気になった方は、リンクからどうぞ!



*  *  *


ほだかさんに、寝袋をお借りして、車中泊&キャンプの準備もバッチリ。


車は、砥部焼の産地、砥部町(とべ-ちょう)へ。

まずは、いろいろな窯元のうつわがあつまる「炎の里」へ。


分厚くて、どっしりしてる。さすが鈍器。


きれいな店内は、2種類のコーナーがある。窯元ごとのコーナーと、品物ごと(例えばコーヒーカップ)のコーナーの2種類だ。

「好きな窯元を見つけたい人」と「探している品物がある人」のどちらにも対応しているので、ひとまずここに行けば、お気に入りの砥部焼が見つかると思う。


王道の砥部焼も素敵。これは蕎麦猪口。
コーヒーを蕎麦猪口で、柳宗悦スタイルだ。


砥部焼の特徴は、分厚く、重く、丈夫であること。もちろん、柳宗悦先生の著書「手仕事の日本」にも登場する。

ちなみに、重たい理由は「分厚く作っているから」というシンプルな理由だった。

薄く作れば、そりゃ軽い普通の磁器になる。でも、それじゃ割れやすいからと、分厚く作っているのが、砥部焼なのだ。


夫婦喧嘩で投げつけても割れないという話から、別名喧嘩器とも呼ばれる。ーby Wikipedia


そして、特徴的な唐草模様は、元をたどるとペルシャから。
外国のエッセンスが日本に入って、土地の色に育っていく。

日本のものづくりが、新しい文化の迎合と発展で進化してきた証しだ。


道路にも唐草模様。

さてさてこの炎の里、「千山窯」の工房が併設されていて、自由に見学できる太っ腹。

さっそく中に入ってみましょう。


職人さんのすぐ近くで、お仕事を見学。


轆轤成型が終わったお皿たち。


せっかくなので、砥部焼ができるまでの流れを紹介しよう、おほん。
(パネルを読んだだけの人)

【 砥部焼ができるまで 】
(1)陶石の採掘
(2)製土工場で土にする
(3)ろくろ成型
(4)削り仕上げ
(5)乾燥
(6)素焼き
(7)下絵付け
(8)施釉(釉薬かけ)
(9)本焼

\完成/

素焼きしてから、絵付けして、もう一回焼いて…
つまり、2回焼いていたことをはじめて知った。

こういう展示から学ぶことって、たくさんあるな。
知らなかったことに気がつかせてくれる。知れたことで、親しくなれる。

炎の里は、砥部焼とちかくなるために、オススメの施設です。


静かに、スイスイと。職人さんの手に迷いはない。


いろんな釉薬が入ったバケツ。そうそう、見学コースの中にディスカウントコーナーあり。ちょいとお得にお買い物したい人は、中に入ってゲットしよう。


教会のような静けさの中、ひたすらに絵筆を運ぶ職人さん。


これが砥部焼の原料になる「陶石」。石が焼き物になっちゃうの、実はここで初めて知りました。だんだん。


*  *  *


「炎の里」の窯元ごとの展示で、一際目を引いた皿があった。ザクロ柄の皿。作り手は、「池本窯」と書いてある。

おしゃれな「ヨシュア工房」も気になったけれど定休日だったので、お電話で答えてくれた「池本窯」へお邪魔することにした。

映画に出てきそうな、白くてかわいい一軒家。ここが池本窯。


中に入ると、2代目が迎えてくれた。

魚は先代の案。植物は2代目の案。みたことがない、独特の絵付け。


ザクロ柄は様々でまだ姿が統一されていない。古生代のプールに漂う命を見るような心地。



どのお皿にしようか、炎の里にあったザクロが、一番好きだったが、やっぱり窯元で買い求めたいし…うんうん唸っていると、2代目がご自宅へお茶に招いてくれた。

別館のご自宅の扉をくぐると、先代と奥様の集めた、手仕事が品良く飾られていた。まるで雑誌に出てくるみたいな空間。大きな木のテーブルがあって、朝鮮の古いタンスがあって。アフリカかな、カゴがあって…


先代の絵付けは、野生を感じる。なのにかわいい。


近づいた時、背筋がゾッとした。そこに“いる”気配がした。気を抜いたら食われてしまいそうな鯰。



先代の奥様と、旅について話をした。
もともと民藝品というものに惹かれていたのに、調べるほど、よくわからなくなってきたこと。定義やら、なんやらで、民藝を小難しく、固く感じていたこと。


すると、奥様はするりと滑らかな声で話始めた。

「私は、倉敷民藝館で、外村吉之助先生に織物の指導を受けていた研究生だったの。」

突然、民藝の大御所の名前が出てきて、ビックリした。外村先生とは、岡山県の倉敷民藝館を建てた染織家だ。


「先生は言っていたわ。民藝は変わってゆくものだって。」


細胞がパチパチ火花をあげて興奮する。

そうすると外村先生の考えは、日本民藝館の考え「民藝とは柳宗悦が美しいと言ったもの、集めたもの」と異なるのでは?

作り手と、日本民藝館と、指導者と。「民藝」に対する考えが様々にあることを知った。また、新しい道だ。民藝は、一体どうなっているんだろう。なんなんだろう。

奥様がおミカンと、おやつを持たせてくれた。四国はお遍路さんの国。人に見守られて進む旅路。



*  *  *



*  *  *


池本窯を後にして、薄暗い山道を進みます。

川のすぐそばに民家が並ぶ。きっとここは川が穏やかなのかも。


あたりが真っ暗になった頃、次の目的地、内子町に到着。
道の駅「カラリ」で眠ることにしました。

この日は、内子町の道の駅でお泊まり。

蠢くザクロ・砥部焼二代目と内子町。倉敷民藝館と外村吉之助さん。
新しいキーワードに出会うだった。

明日は、発掘!地方の家仕事と天神和紙に、旅は続きます。

お楽しみに!もじゃ!

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(井戸端ティータイム)

ちなみに、池本窯のお皿は使いやすくて、自宅で一番使っています。
スープも、丼も、パスタも。なんでも一皿でまかなえちゃう。
すっごく楽チン。なのにかわいい。


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