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民藝旅 vol.1 山陰・愛媛編 \4日目/【鳥取県 倉吉市 2】

4月11日木曜日、晴れ。
(今日は、あそぶ日。うかれた日。まじめなし)

ちょっと、ひとっぷろ行きますか。

湖近くのゲストハウス「たみ」アーティスト・コロニーのような、おしゃれスポット。


宿泊したゲストハウスは、東郷温泉の真ん中にあった。
温泉地に来ているのに、水道水のシャワーだけなんて、もったいない。

サンダルをつっかけ、タオルとシャンプーを持って、いざ朝風呂ぶら散歩。


ウソみたいでしょ、これが温泉への通り道。


ご近所の「寿湯」


地元の温泉って、もっと「お金かけましたぜ、どや!」ってくらい立派な建物で、入場料も相応に高い。しかし、鳥取県の温泉は、東京の銭湯よりも安いところが多い。

大人一回200円。シャンプーするなら250円。


人のいない番台。無銭入浴してもバレないけど、そんなことしないと信じ合えるしあわせ。



朝8時すぎ。
一番乗りだ!と乗り込んだけれど、すでに先客が浴室に。

ガラス戸の向こうから、カポーン。と桶を置く音、水が肌に当たる音が聞こえる。少しくぐもっていて、ホワホワとした水蒸気が音をぼんやりさせる。

ひとまず準備をしてガラス戸を開けた。


*  *  *


先客は、近所のおばあちゃん。
極度の近眼乱視の東堂は、メガネを取るとナメクジよりも頼りない。

狭い浴場に湯けむりが充満していて、ほとんど何も見えない。

桶を持って、押型蛇口の前に座る。
すると、おばあちゃんが話しかけてきた。

「水!湯!」

なんとも豪快な優しさ。ありがとうございます、と返事をした。
湯と教えられた方の蛇口を押して、頭から湯をかぶる。

聡い人はお気づきでしょう、そう、熱々の源泉だ。

アチーー!とビックリしていたら…

「バカ!!アホか!バカ!」と、おばあさんに怒鳴られて、さらにビックリ。

すみません!と、わけも分からず謝って、今度は水と湯を桶にためて湯をかぶる。
適温だ。するとまた…

「アホ!いちいちそんなんやってたら時間かかってしょうがない!こっち(湯船)のを使えばいいでしょうが!アホ!」

このおばあちゃん、実に元気で世話好きである。

人のいる湯船の湯を使うのは、カルチャーショックだった。けれど、おばあちゃんがいいって言うんだから、いいのだ。

湯船は深めで広い。お湯はさらっとしていて心地いい。


湯上がりが同じタイミングだったので、話しかけてみた。
お母さんは近所なの?

「そうだが。近くに住んどるが、あんたはどこね?」

茨城から来ました。そう答えるとおばあちゃんは、「ほぉ〜ほぉ〜。茨城かぇ、ほぉ〜。」とフクロウになった。

そこから、おばあちゃんは夢を語ってくれた。昔は子供たちを連れて、高速を走って九州に旅行したこと。一番遠く、鳥取から静岡まで行ったこと。北海道を見てみたいこと。

すると突然、「お母さんは、話が下手だからつまらんでしょう」としおらしくなった。どうしちゃったんだろう。

お母さんの話聞くの好きよ、とっても楽しい。そう伝えると、顔が華やいで「そうかい?」と照れる。これがツンデレってやつか。朝風呂で萌えを理解してしまった。

お風呂から上がると、空もサッパリと爽やか。

今日は、もう一度「倉吉」へ行って、COCOROSTOREさんと、新しい古道具屋さん、あとたい焼きとラーメンと…昨日やり残したことをするのだ。


*  *  *


車で20分ほどで、白壁土蔵群の街並みに帰ってきた。

白壁に赤瓦、そして青空。倉吉は晴れが似合う街。


蔵の裏には、水路。


COCOROSTOREさんが開いていた。
店主の方とお話をして、店内をみて回る。オシャレだ…
歴史的建造物にかこまれた街で、鳥取の手仕事と触れ合える。

(画像はCOCOROSTROEさんインスタグラムよりお借りしています)

鳥取県民さんが、何人もオススメしていたお店だ。

作家もの、職人さんもの、誰が作ったかは重要ではなくて、「丁寧に作られた、鳥取の手仕事と出会える」それがキーワードのように感る。

店主の方が、「新しくできた骨董屋さんは、仕入れのため今日までCLOSEしているよ。」と、教えてくれた。これもご縁、仕方がないのでお昼ご飯を食べに行くことにした。


倉吉は、ひたすら絵になる。


*  *  *


昭和のレトロ喫茶&Bar「モダン」

レトロなのに、名前は「モダン」ってたまらない名前。


チューリップランプ、昭和スターのポスター、アイドルのレコード、おもちゃ…

「映画クレヨンしんちゃん オトナ帝国の野望」のYesterday once moreは鳥取で生き延びていた。現代の淀屋物語ふたたび…?平成の次の元号は、昭和だっけ?と錯覚するくらい、完璧なタイムスリップを味わえる。

店主ご夫婦は、昨夜のたこ焼きパーティーで顔見知り。優しいおヒゲのご主人と、眼鏡で美人の奥様。キャラ立ち抜群で、やっぱりしんちゃんの映画に出てきそう。

おでんのラーメンといえば、美味しいのが出てくるよ」

そう聞いていたので、その おでんのラーメンを注文した。

現れたのは、牛すじラーメン。

これが、本当に美味しくてびっくりした。甘くトロトロの牛すじと、おでん(?)のスープは未知の味。鳥取で有名な、牛骨ラーメンとは違う牛系ラーメン。いろんな人に食べてもらいたい。

くったくった。

お腹をさすりながら、デザートとドライブのおともに、candygreenさんと昨日倉吉を案内してくださった小島さんおすすめのたい焼き屋さんへ。

あまりに美味しくて、ラーメンの直後に2匹余裕でした。
次は、冷たい大山牛乳と一緒にかぶりつきたい…


たまには、のんびり観光をたのしむ日があってもいいよね。


*  *  *


(余談)

倉吉での予定を全て終えて、ゲストハウスに向かう途中、悲劇が起きる。

フォロワーさんたちの温かい慰めで、日本海の白泡に消えずにすんだ。
赤く、ショボショボの目を擦りながらゲストハウスへ。みなさま、ありがとうございました…



そうそう、なぜテントを背負って移動しているのに、ゲストハウスに泊まっているかって?

寝袋を忘れたんです。でも…

のちほどお会いする、愛媛県の漆作家ほだかさんが寝袋を貸してくれることになりました。


*  *  *


人に助けていただいて、進む民藝旅。

私は、1人では生きられないし、私も誰かの支えになりたい。

そんな思いが強くなる1日でした。



フォトジェニック倉吉。
また食べて、撮って、学びに来ます。

旅は鳥取4日目、白波の乙女、麗しの岩美町へ、つづく。

もじゃ!

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