見出し画像

何のために働くのか モチベーション4.0の時代に

今日は仕事についての哲学論です。

以前,「お金のために働くことは悪いことなの?」という記事をアップし,この記事は多くの方に読まれました。

お金のために働くことは悪いことなのか?
それは悪いことではありませんというのが結論なのですが,あの記事を書いてからも,仕事のモチベーションについてずっと考え続けてきました。

思索にふけるなかで,仕事のモチベーションについての考え方は時とともに多様化してきているなぁとあらためて感じました。このことをモチベーション1.0からモチベーション4.0にわけて説明してみたいと思います。仕事のモチベーションについて考えている人は読んで欲しいなと思います。

以下,1.0から3.0へは「変化」しているというよりは,徐々にモチベーションとなるものの種類が広がってきているというイメージで論じていて,4.0は現時点での最終結論を提示するものです。

1 モチベーション1.0の時代(賃金)

モチベーション1.0時代における仕事のモチベーションのメインは「対価」としてのお金です。

労働契約では従業員の「労働」と「対価としての賃金の支払い」が契約の本質的要素とされています。古典的には,「対価としての賃金」が仕事のモチベーションだと考えられてきたのです。つまり「仕事はお金が目的」です。

オンラインサロンについて「お金を払って仕事をする」ことを「搾取」だと捉える意見があります。その意見は仕事を「モチベーション1.0」の枠で捉えているんです。仕事をするのはお金をもらうためという枠ぐみで考えているので「お金を払って仕事???」となってしまうわけですね。

でも,お金を払ってでも働いている人は「モチベーション2.0」以降の枠で仕事を捉えていて,労働のモチベーションを「賃金」をメインとして捉えていないんです。

だから,両者の意見はいつまでも平行線のまま。前提となる「仕事」の捉え方が違うんですから「搾取」「搾取じゃない」論争は建設的ではないでしょう。

2 モチベーション2.0の時代(賃金の変形物)

仕事の「対価」は賃金のみではない。こういった認識が次第に浸透するようになりました。モチベーション2.0時代における仕事の対価は「信頼」や「名声」です。

「信頼」や「名声」を得られれば,それがそのうち「賃金」(報酬)に変わります。「賃金」(報酬)の予備軍としての「信頼」や「名声」が価値として認識され,それを得ることがモチベーションとなる時代が到来して随分たつように思います。

さらに,「信頼」「名声」以外に「能力向上」というものも立派な仕事の対価と捉えることができます。仕事をすれば能力があがる。難しい課題をすればするほどレベルアップする。そんなことはドラクエをやらなくてもわかることです。「経験」と言い換えることもできます。

レベルアップは将来の賃金や報酬アップにもつながります。これらは立派な「対価」だと考えることができるでしょう。

以上は将来の賃金の「変形物」だと言えます。
いずれ賃金(報酬)に変わりうる価値を持つものが得られる。そのために仕事をするというイメージです。

3 モチベーション3.0の時代(無目的)

モチベーション1.0とモチベーション2.0はいずれも共通点があります。「仕事」によって得られるものがあるから仕事をするという発想です。

これに対して,モチベーション3.0は「何かを得られるから」仕事をするという枠からはみ出ています。仕事をすることが楽しくて仕方がないから仕事をするのです。

ワーカホリック(仕事中毒)とかワークライフバランスという言葉がありますね。でも,モチベーション3.0の時代の人間にはこれらの言葉は響きません。

彼らにとっては「好きなことに夢中になって何が悪いの?」という話ですし「なんで好きなこと=仕事を削ってバランスをとらなきゃいけないの」という話なんです。

モチベーション3.0をメイン軸にして仕事をしている人は幸せでしょう。
彼らは少年が寝る時間をおしんでドラクエに夢中になるように,仕事それ自体をただ楽しんでいるんですから。

4 モチベーション4.0の時代(カオス)

ここまでは,次のように整理してきましたが,モチベーション4.0は何でしょうか。


 モチベーション1.0:対価としての賃金
 モチベーション2.0:賃金の変形物と言い得る対価
 モチベーション3.0:仕事それ自体が目的

結論を言うと,モチベーション4.0は「カオス」です。
平たく言えば,モチベーションは何だってよくて,自分が仕事をしていくなかで満足感・納得感を得られていれば何だってよいというものです。

例えば,「モテたい」を1番の動機として働いちゃだめなのでしょうか。
とにかくお金持ちになりたくて働くのはだめでしょうか。
有名になりたいから働くのはどうでしょう。
仕事が楽しくて仕方ないから働くのはどうでしょう。
未来のドンファンになりたいから仕事に精を出すのはどうでしょう。
新垣結衣と付き合いたいから仕事をするのはどうでしょうか。

別になんだっていいですよね。本人が納得感,満足感を得られていればなんだっていいんです。モチベーション4.0はモチベーションを自分で自由に「カスタマイズ」していく時代だといえるでしょう。仕事のモチベーションをこのように捉えるのがこれからは一般化していくように思います。

5 カスタマイズの時代において大切なこと

ここで大切なのは,モチベーションを自由にカスタマイズできる時代において,人のモチベーションを笑うことは無粋であるということです。本人が納得感・満足感を得ているモチベーションについて,

「あいつは搾取されている」
「そんなんじゃ生活できないよ」
「その仕事はモテないよね」
「忙しくてなかなか仕事以外の時間がとれないんじゃない」

と「干渉」「介入」することは無意味ですし,無粋な行動です。

人のモチベーションをあれこれ評価する暇があったら,自分が納得感・満足感を得られるように,他人に振り回されることなく自分のモチベーションをしっかりとカスタマイズしていくこと。それが「自分を生きる」ということです。

モチベーション4.0の時代に一番大切なことは,他人と自分が違っていいという当たり前のことを認め,自分の足で歩くとともに,社会人たるものの最低限の礼節として,他人の歩き方を笑わないことなんだろうと思います。

ーーーーーーーーーーーーーー

私のツイッターはこちら。仕事論についてもいろいろつぶやいています。

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

お読みいただきありがとうございます!スキやフォローをしていただければ,それだけですっごく励みになり,また書こうという気力が湧いてきます。