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2回目の金木犀

毎年、9月になり朝晩の気温が少し下がってきて、

暑かった夏が終わりを告げる頃、朝玄関のドアを開けると

どこからともなく漂ってくる微かな甘い香り。

最初の日は気のせいかな、と思う。そして、もう一度その香りが風に乗って鼻をくすぐると、「ああ、今年の夏も終わったのだな。」

と、ほっとしたような、名残惜しいような気持になる。

今年はいつもよりその香りに気づいた日が早いような気がしていた。

そしていつもより短い期間で香らなくなってしまった。今年はそういう年だったのだろう。そう思ってから半月くらい経った頃だろうか。

またあの甘い香りが漂ってきたのである。散歩の途中にある近所の金木犀の木を見に行くと、確かに咲いていた。

不思議に思って調べてみると、なんと金木犀は同じ年に2回咲くこともあるという。

人生もうひと花咲かせたいなどと言うが、ほんとうにもうひと花咲かせているじゃないか…

コロナ禍とほぼ同時に仕事を辞め、落ち着いたらやりたかった仕事にチャレンジするつもりだったのに、すっかりタイミングをのがしてしまった自分。子育て中心の生活を送ってきて、気がつけばもう50代。いや、まだ50代?悶々とする日々…

でも金木犀が2度咲くこともできると教えてくれたのかも知れない。
私ももうひと花咲かせてみたいな。

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