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青年海外協力隊🌍

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2019.1~2021.1 ザンビアで暮らす2年間の記録
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#看護師

この時を生きる私たちがアフリカの人々から学ぶこと

この時を生きる私たちがアフリカの人々から学ぶこと

一時帰国から一か月以上が経った。

自己隔離の14日間が終わって以降、ほぼ毎日おばあちゃんと一緒に過ごしている。

おばあちゃんは今年で79歳になる。生まれてからずっとこの土地で暮らしてきた。私の地元はいまは”市”の一部だが、かつては”村”だった。おばあちゃんはこの村で生まれ、この村に嫁ぎ、この村で暮らしてきた。

おばあちゃんはよく昔話をしてくれる。おばあちゃんが語る60~70年前の日本の風景は

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落ち込んだ気持ちと向き合い思うこと

落ち込んだ気持ちと向き合い思うこと

1年前、この地に赴任してきたころとなにも変わっていなくって迷いと悩みと葛藤の日々。

1年も経てば慣れるだろう。
そうたかをくくっていたけれど生きにくさを感じるほどの感受性の強さを持って生まれた私にはまだまだ"慣れ"はやってこない。

あと1年もある。あと1年しかない。

日本に残してきた快適さや大切なひとたちに会いたいときに会えるそんな穏やかな暮らしを思うと、日本に帰るまで"あと1年もあるのか~

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折り返し地点を迎えて思うこと

折り返し地点を迎えて思うこと

私は2019年の1月末に着任して、3月はじめに任地に本赴任した。

任期は着任した日から2年間。
本赴任からカウントすると任地で活動する期間は23か月弱になる。その間、分科会や総会、隊員の任地訪問、その他団体の活動先訪問、国内旅行に任国外旅行など任地を離れる機会も多い。

1年目はうまくいかないことばかりで、自分がここにいる意義を見失って、日本への未練にまみれていて、早く帰りたい、そんなことばかり

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ふたつの視点から見えること

ふたつの視点から見えること

今週から、クリニカルオフィサー(準医師)の学生の実習がはじまった。

ある学生と、同僚の看護師の会話。

👩🏽「ミナはボランティアとしてここで働いてるの。看護師だけど、報酬はもらってないんだよ。貯金でくらしていて、経験を得るためにここにいるの。」

👨🏾‍⚕️「俺も日本でボランティアがしたいな~」

👩🏽「そんなことできるの? ミナは兄弟はひとりしかいないし、養う必要はない。だから貯金

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喧嘩のあとに思うこと

喧嘩のあとに思うこと

毎週月曜日はクリニックで成長モニタリングの手伝いをしている。
私が活動の軸にしているのが成長モニタリング。

要請内容はクリニック周囲に点在する地域の健康課題を見つけ、支援すること。
主にアウトリーチ活動に重点を置いた要請内容だった。

アウトリーチでは、主に5歳未満児の成長モニタリングと予防接種を行っており、MCH(Mother and Child Health)の看護師と栄養士が活動のパートナ

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固茹でのパスタを掻き込みながら考えたこと

固茹でのパスタを掻き込みながら考えたこと

週末、村から戻ったころから風邪症状と食思不振、倦怠感でどうも体調がいまいち。
でも熱があるわけでもないし、毎日職場の状況が気がかりで出勤して、忙しさに身を任せて頑張ってみるものの疲弊する。そんな日々の繰り返しだった。

食欲もないので、夕食はお茶漬けかインスタントラーメンか食べないで寝てしまう日々。食生活の乱れがまた体力を消耗する悪循環。

そんな流れを断ち切りたくて、今日は1日休むことにした。

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原点に触れ思うこと

原点に触れ思うこと

今日もアウトリーチは中止になった。クリニックにいても人手は足りているし、特にできることも見つからずアンケートの集計をしたり修正をしたりしながら時間をつぶすように過ごしていた。
なんのためにここにいるのかという無力感。
何もせずに時間だけが過ぎていく焦燥感。
物事がうまく進まないことへの虚無感。
そんな感情に心を覆われながら、気にしないように気を紛らわせながら。

そこにマラリア検査が怖くて泣いてい

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支えることと支えられること

支えることと支えられること

自分が支えられる立場になって、
世の中には支えられるひとと支えるひとの2種類の人間がいるのではなくて
みんな支えてもらわなきゃいけにことがあるし
逆にだれかの役に立てる。
だから困ったときには助けてといいやすくて、
自分のできることでだれかを支えるということをだれもが少し気軽にできるとみんなすごく楽になるのではないかなと思っています。

これは厚生労働省 元事務次官 村木厚子さんのことば。

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アフリカでの暮らしのこと

アフリカでの暮らしのこと

先週末に家の建築が終了し、やっと一人暮らしが始まった。

協力隊員の暮らしは地域や国、任地によって大きくことなる。電気がない、水道がない、電波が悪い、そんなないない尽くしの隊員もいれば、数世帯同居用の豪邸に住んでいる隊員もいる。
私の家は、水道と電気は使える。でも冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、洗濯機などの家電はない。あるのは電気ケトルと電熱線式のコンロだけ。

日本は元号が変わり令和の時代が始まった

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迷うことと決めること

迷うことと決めること

最近元職場の同僚がSNSに近況を投稿していた。
そこには先輩を交え、楽しく食事をしている写真があった。
私の退職で足りなくなった人員を補うために他病棟から移動してきた看護師のおかげで病棟の雰囲気はかなり変わったらしい。
私が働いていたころは、先輩を交えて休日に食事に行くなんて考えられない職場だった。休日どころか、仕事中でさえ先輩に一言話しかけるのに緊張していた。
元同僚の写真を見ながら、もっと雰囲

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今日出会った親子のこと

今日出会った親子のこと

今日出会った親子の話。

今日も遠隔地のコミュニティーにいって成長モニタリングの手伝いをしていた。
1組だけ、重度の低栄養状態の子どもがいた。

1歳2か月になる男の子の双子。
体重は6kgと5.6kg。通常生後2~3ヶ月でこのくらいの体重になる。1歳2ヶ月かの平均体重は8~11kg。重度の低体重だった。
2人ともぐったりとしていて、時折視線が合わない。泣く力も弱く、声もほとんど発さない。歩くこと

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活動のこと⑤

活動のこと⑤

この週末、活動のためのツールをいくつか用意した。

成長モニタリングの出席カード。
平成世代には懐かしいラジオ体操のカードから着想を得た手作りカード
低体重児を発見しても私はお金も食料もあげられるものはなにもない。
でもせめて毎月の成長モニタリングには来てほしい。
心配していることが伝わってほしい。
そんな思いからはじめてみた。月ごとに開催日が異なる成長モニタリング。毎月何日に開催されるか分かるよ

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夢と経験と興味と想いが重なること

夢と経験と興味と想いが重なること

この国が嫌い。

そういったザンビア人の青年。
彼の言葉と希望を失ったような表情が喉の奥に刺さった小骨のように心に引っかかっている。

日本に連れて行ってくれ。
お金をくれ。ものをくれ。仕事をくれ。毎日のように言われるそんな言葉

クリニックにあふれるドナーのステッカーが貼られた医薬品や事務用品
ドナーから与えられたものを着服したり期限を切らして破棄したりする同僚たち

医療スタッフに高圧的な態度

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変えるべきこと変えられないこと変えるべきじゃないこと

変えるべきこと変えられないこと変えるべきじゃないこと

毎週月曜日、週1回のミーテイング。
なにも発言できることはないけれど、クリニック全体の状況を把握するために出席している月曜日朝一のお仕事。
一応、毎回出席すればインチャージが発言の機会を与えてくれる。
『ミナ、MCH(Mothers and Child Health)で抱えてる問題はある?』

問題も課題もたくさんある。
私が日本で学んできた状況を正しいとするならば、正すべきことはあふれている。

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