kkk ki 吃音

小学生の頃から吃音に悩まされている。

そもそも僕は滑舌が良くない。話し方もハキハキではなくボソボソの類だ。しかも吃る。詰まる。陰の者チェックリストの「会話」の項目は全部クリアしてると言っても過言ではない。

数少ない親しい人たちは「あんまり気にならないよ〜」とか「知り合いでもっと酷い症状の人いるから慣れてる、それに比べれば全然〜」とか言ってくれるが、誰より自分がすごく気にしている。慰めになってないとかじゃなく、単に言われると自分が余計に気にしちゃう。
吃音にはいくつか種類があるらしいのだが、自分の場合は1文字目の子音が詰まってリピートされることが多い。特にか行。何が最悪かって僕の名字が黒川だ。スムーズに「黒川」って言えることはあんまりない。「kkkk黒、黒川」くらいがスタンダードだ。

緊張して言葉に詰まる、みたいな体験をしたことがある人はわりといると思う。あれがほぼ常時起こってる。緊張なんてほとんどしない人間なのに。
昔誰かに「考えるペースが速すぎて喋りが追いついていない」と言われたことがある。これは大きな原因のひとつかもしれない。自慢じゃないが頭の回転は早い方だし、口周りの筋肉は食事以外のためには発達してない方だ。

自分なりに原因を考えてみる。
僕は主に頭の中で一瞬で文章を組み立てて、それを音声として出力する、という話し方をする。でも口がうまく回らなくて脳内に未出力のキャッシュがどんどん溜まっていくし、僕の意識あるいは無意識は筋肉の可動より脳の整理を優先してしまう。この悪循環の結果うまく会話ができなくなるんだと思う。最高。
稀なケースだけどなんにも考えずに脊髄反射的に喋るときは勝手に口も回ってくれるというか、そんなに発音や発声に詰まって困ることもない。ただ変なことを口走ってしまわないかが本当に怖いので頭空っぽにしてコミュニケーションをすることはほぼない。
人体の基本機能がいろいろと壊れている自覚はあるが、よりによってそこかよ、という感じ。壊れてる方が楽しいのは味覚と倫理くらいだ。

ひとと話してて「ええと、あの、あれ、何だっけ、」みたいな言葉で行間を埋めることも多い。この「何だっけ」云々は本当に何かを忘れてるわけじゃなくて、「本来言おうとしてる単語が発声できないので最適な言い換えを模索しています、しばらくお待ちください」という意味だ。そのあたり僕と関わるみなさんしっかりと心に留めておいてください。お手数おかけします。

この前、例のチーズ牛丼くださいの画像にアフレコしましたみたいな短い動画(音声)がTwitterで流れてきた。”マジ”だったのでめっちゃ笑ったし、マジすぎて若干気分が悪くなった。
吃音というのは陰キャの手引きの1ページ目に書いてあるような典型的なあれだ。もはやアイコンのひとつですらある。そしてわかりやすいアイコンであるがゆえにそういうモノマネの取っ掛かりとしては恐ろしいほど最適なのだ。普通に喋れる人からすればちょっと文章の頭にエフェクト入れるだけで再現できるんだろうな。やだな。実際似ちゃうしわかっちゃうから本当にやだ。

自分がいろいろ捻じ曲がって欠けて腐って終了している人間なのは承知しているし、それはそれで今のこの感じは結構気に入って甘んじて受け入れている。ただ吃音だけは明確なコンプレックスだ。損しかしてない。助けてくれ。臓器も寿命も半分くらいならくれてやる。
出来ることなら声帯全部切り落としてパソコンにつないで一生ゆっくりボイスで喋っていたい。カラオケ行くときだけ初音ミクに切り替える。ごはんをおいしく食べたいので舌は残す。


この文章が何かの間違いで衆目に晒されたら例のインターネットの人たちがノリノリで「【悲報】コミュ障チー牛さん、お気持ち表明してしまう」みたいな感じのことを言うんだろうな。僕あのノリというか表現技法本当に苦手なんですよね。

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