環境省の原子力災害影響調査等事業などで活躍されている宮川先生

日本は、素晴らしい国だと世界に発信できることをしたい、という東京大学の宮川先生にお話を伺ってきました

出身地/活動地域:愛知県犬山市/東京
経歴:名古屋市立大学薬学部薬学科卒業、同薬学研究科修士課程修了、在学中に南カルフォルニア大学国際薬学臨床研修終了。その後、東京大学で特任助教として活躍
現在の職業及び活動:東京大学医学部附属病院放射線科放射線治療部門特任助教、分子生物学、腫瘍診断学研究が専門。環境省の原子力災害影響調査等事業及び文部科学省のがんプロフェッショナル養成基盤推進プランなどのメンバーとして、活動してきた。恵比寿のめぐたま食堂のサイエンスカフェにて、主体性のある人を育てる情報発信を目的としたセミナーの講師を務める

周りの人からのお話を吸収する意欲を大切にしてきました

Q.1どんな心の在り方や認識の変化が今の活躍に繋がっていますか?

 変化したい心・ポジティブな心でいるベースがあって、周りの人の助言や支えをしっかりキャッチする習慣の上に今があると思います。今でも先輩・後輩だけでなく両親や妹からもアドバイスもらったりします。でも、そういう風になれたのは、母の力がとても大きいですね。中学生の時にあまりの成績の悪さを心配した先生が、僕の父親が英語の教授、母親が元大学講師だったこともあり、「その息子さんがこの成績では…。家庭で教えられてはいかがでしょうか?」と母に提案されたことがありました。母は、「この子は熟していないので今ではないです」ときっぱり先生に対して話してくれました。そして、夏休みに母が結婚以来ためていた500円貯金を崩してくれて、イギリスへ父と行かせてくれたことがありました。そこで困っていた父の状況を僕のつたなかった英語で解決できた事件がありました。その時に学問が単なる知識ではなく生活に使えるものだと気づいたのですね。そこから、勉強がとても楽しくなりました。

 また、大学生の時に、僕はおとなしいほうの人間だったのですが、思い切って学生新聞記者に応募し採用された事があります。でも、実際に他の学生記者と出会ってその積極性に圧倒されて、「僕には無理だ」と諦めて、集まりに参加しなくなったことがありました。けれど、そんなときに僕を記者に選んでくださった方からお電話があって、「君の得意なことは何?関心があること、してみたいことは何?」と質問されました。そうして、いろいろ聞きながら寄り添ってくださいました。その後、僕の提案を実施してくださったおかげで楽しくイベントを開催できました。また、学生記者には文系の人が多いのですが、取材の中には文系の人では理解が難しい取材などもあり、理系の僕でなければ書けない記事を書くという経験もしながら自信につながっていきました。「周りの人の助言や支えを生かし、自分のできる事を無理せずチャレンジしていけば次が見えてくる。」そういうことだと思います。

AIは、エレベーターのようなものです。怖がることはなく、自分の生活が便利になるように使えばいいだけなんです。

Q.2これからはAIが活躍する時代と言われていますが、AIが活躍する時代に必要とされるのは何だと思いますか?

 温故知新という言葉がありますが、昔のこと(古典だけでなく、最近の漫画からでも、流行っているドラマからでもいいと私は思っています。)を学び、イノベーションをおこすことが人間にしかできないことだと思っています。なので、自分の限界を知ること、その自分の限界を補うものとしてAIを使えばいいと思っています。例えば、リンゴを取るということで言いますと、自分がどれくらい取ることができる能力をもっているのかは、実際に取ってみないとわからないですよね。人が手が届くところで、また実際に取るという作業をしてみて、引っ張って取るより、少しねじりながらのほうが取りやすいとかわかります。それが上手くいくようになると、もっと上のほうのリンゴまで取りたくなります。その時に人間の背よりも高いところのものをどうやって取るかの道具として、はしごが必要だってイメージできたりします。いまは、そのリンゴを取ることをしないまま、どれぐらいのことが人間ができる事なのかわからない。そのままただ不安になっている人が多いのではないかと思います。けれど、自分が背丈までは届くからあとは上のものをとるためには道具があればとれますね。その道具として、はしごがあります。そんな風に自分のできる範囲を理解して、それ以上にできる道具として、AIを使うという風に線引きできれば、自分が生活するのに便利な道具として自分だけのAIを創ればいいと思います。

 AIは、過去のデータの繰り返ししかできないのです。そこをわかって、補ってくれるのに便利な付き合い方をすることが必要だと思います。
 人間にしかできないこととは、歴史的にみれば人間力だと思っています。勝った人は、人間力がある人だと歴史が証明しています。豊臣秀吉は織田信長に気に入られたから出世しました。けど、晩年はそういうことには気を遣わずに、徳川家康という忍耐強い空気を読むことにたけた人が勝ちました。
 どういうことが大切なのか、私は【漫画「SLAM DUNK(スラムダンク)」】からもいろいろ学びました。人間諦めないこと・努力して乗り越えていくこと。それは無理に背伸びすることではなく、できる事を一歩前進していくことだと思います。つまり、人間力・イノベーション力を鍛えていくことで人間だけができる事とAIを使えば便利な事を分けて考えていくことがAI時代に必要な力だと思っています。

日本が、本当に好きだという人を増やしたい

Q.3そんな宮川先生は、今後どんな美しい時代を創っていきたいですか?

 まずは日本の美しさを感じ、日本の「美しくすることができる良さ」と出会って欲しいですね。
 その為に海外に行って外から日本をみて欲しいし、日本の中にいても日本の良さを感じてほしい。僕が日本の美しさを感じた話のひとつに「美味しい」実験の話があります。美味しいって、「美しい味」と日本語で書きますね。漆器のお箸と金属のお箸を用意して同じ料理を食べる実験をした事があるのですが、僕は漆器の方が金属の方で食べるより美味しいと感じました。

 日本に昔からある和楽器の演奏、昔の家の造り、神社・着物の成り立ち、立ち振る舞い、作法などどれも美しいです。
 また、海外から来た宗教も日本の中に入ると美しくなると感じています。そんな日本の文化自体が美しい。和楽器とロックの融合により、そのすばらしさを世界中に広めたいと結成されたAKARAというバンドのリーダーとは友人ですが、彼女もアメリカの大学で学んでいた時に日本の美しさに逆に気が付いたと言っていました。日本の美しさを広めていこうと誓った同士です。こういった仲間がいると、日本の美しさにさらなる確信が持てます。

 あと余談ですが、ノーベル賞を取られた方々は、言葉が美しいですね。美しい言葉で話されたら心も落ち着くことはないですか?

 そのように、美しさを感じることは、とても意味のあることだと感じています。研究テーマにもそれが言えると思っています。私もですが、美しいと思うものに出会わないと研究者としてやっていけないのですね。
 その美しさの定義とは、無意識で求めているものと何かが出会ってはまるとき、鍵と鍵穴がピタッと当てはまるようなものだと思います。教育でもそういうものに出会えるように助けてあげることが本当は大事なんだと思っています。

 全てを美しくすることができる日本の良さと本当に皆さんに出会って欲しいし、理解して欲しいですね。その先に未来の美しい時代が続いていると思います。

Q.4研究されていることは、どんなことに役立てることができると考えてらっしゃるのですか?

 研究者は「役に立つ」という思いから始めていないのですね。研究している内にこのように使えるということはあります。
 先程もお話ししましたが、まず初めに美しいという感動レベルのものに出会えることがないと、研究は続かないのです。私の場合、美しいと思ったのがDNAの二重らせん構造でした。
私は生まれたときに未熟児でしたので、きっと早めに死ぬとかいろいろ言われましたが、親の信念も手伝い私も「そんなことはないはず」と思って生きてきました。そのような疑問が、DNAの二重らせん構造の解析と出会ったときに、直感で解けると感じたのかもしれません。この研究をして遺伝子の影響は2パーセントに過ぎず、環境の影響が98%だとわかりました。

 サイエンスカフェでこのお話をしたときに、一人の女性が泣き出しました。
 その女性はいじめられていた親友をかばったのだけれど、のちにその親友は自ら死を選んでしまったのだそうです。自殺の理由は、その親友のお父さんが殺人犯であったからだそうです。
 当時の世論は、殺人犯の子供は殺人犯という謂れのないものがあり、「お前は死ね」「大人になってもろくなものにならない」と学校で言われたことが原因だったそうです。
 その女性は遺伝で決まってしまうはずがないと思って生きてきたそうです。だから、私から遺伝子の影響はごく僅かだったと聞き、「そのことを当時わかっていれば……あの時にわかっていたら強く友達をかばえたのに。でも今、私は間違っていなかった事を知れて良かった。」という理由で泣き出されたとのことでした。
 僕自身にとって良かったと思えることが、みんなにも役に立つのだということが嬉しいというのは当然あります。なので、初めは美しいというところからスタートですが、この感覚は誰にとっても間違っていないと思います


美しいものを感じるセンスが、賢さよりも大切なのだとお話を伺って感じました。なかなかうまくいかないことが多いと、自分の能力のなさなどに原因を置きがちですが、美しく見えるかどうかという基準を一つ付け加えて考えていきたいと思いました。

【今日はありがとうございました。】

https://ja.wikipedia.org/wiki/宮川隆

インタビューの担当をしました村田と善家です。

日本はやはり美しいのだと、再認識しました。そして、その良さを世界に広げることは大切なのだと確信を深めることができました。

この記事は、リライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。https://note.mu/1996030/m/m891c62a08b36

#日本#教育#研究者#美しさ#放射線#サイエンスカフェ

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ライラック

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