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トイレで起きた世にも奇妙な物語についてわかりやすく解説

「本屋さんに行くと、うんこをしたくなる」
まことしやかに囁かれている都市伝説

インクの匂いがなんだとか、アレがどうだとか、理由は知らないが、私も例外なくその症状に陥りトイレに駆け込んだ……そんなある日の出来事。

夜の街に佇む商業施設の中に関西最大級ともいわれる本屋さんがある。
その施設はランドマークとされ、待ち合わせのメッカとなっている。

夕方になると、同伴で待ち合わせのホステスさんや、お客様……お店の黒服さんがスカウトの為うろうろしている。

その夜の街を愛し、その街で商いをする私もその中の一人である。

商業施設の一階の男子トイレに駆け込むと、ラッキーなことに誰もいなかった。
大の個室は2つ。

運良く両方空いていたので片方に入り、ズボンをずり下げ何気にスマホを取り出したとき、間髪入れず隣に誰か入って来た。

気にする事もなく、スマホをいじりながら下腹部に力を込める……すると


「おはようございます」

他に誰もいない筈の空間で声がした。
明らかに私に対する挨拶だが人間違いでは?

それにしても、ちょっとドキっとした。
我々の挨拶は夜でも「おはようございます」だ。

これは、誰か知り合いに見られたな。
でも、奴の方が後に入って来たもんだから、同業の人なのかお客様なのか、先輩なのか後輩なのか誰だかわからない。
一応、失礼のないように「おはようございます」と返事をする。

すると、再確認するかのように、もう一度「おはようございます」と壁一枚隔てた向こう側から返ってきた。

間違いない。
しかし、一体誰なんだろうか?

そんな心配を他所に隣の奴は、グイグイ来る。
「最近どないですか?」
平然と私に会話のキャッチボールを投げかけてきた。

お前は誰かわかってるから良いものの、私はお前が誰かすらもわからないのに、何て返事するんだよ?

ところが私も商売人だった。
その問いに対して、変な間を作る事なく
「はい、おかげさまでボチボチやらせてもーてます」

頂いたボールは、すぐさま返球。

そう答えたものの、誰なのかさっぱりわからない。
何か糸口はないか頭をフル回転させて考える。
そんな事より、考えるより産むが易し。
関西人として、この微妙な間の方が気不味い。

私の口は突破口を探る為、ありきたりの常套句を発していた。
「どないですか?忙しされてます?」

すると、どういう事だろう。
今まで元気だった隣の奴の声のトーンがガラっと変わって……こう言った。






「すみません……隣にいちいち返事する変な奴おるから掛け直しますね」


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