梅田の街で起きた殴られる女についてわかりやすく解説
梅田の地下街をサングラスかけて……イヤホンして「ほぇー」言うて歩いてたら……
右前方から歩いてくるお姉ちゃんが、財布をボテッと落として急にしゃがみ込んだ。
そうだな……年の頃なら22、23、24、25、26、27、28、29辺り。
「あ、財布落ちた……」
って……くらいの感覚で見てたんだけど、財布拾っても一向に立ち上がらないし、何なら何処か痛がってる。
ポンポン痛いのかな?と心配したが、世の中は冷たいもので、そんな彼女に誰も見向きもしない。
サングラス越しに、しばらく目が合ったので
近付いて声をかけた。
『どうした?大丈夫?』
すると予想もしない答えが返ってきた。
「さっき、すれ違った人に殴られました」
な、なんだって?
そう言えば、リュック背負ったおっさんとすれ違ってたな。
状況が飲み込めず、初動が遅れる。
いくら非番とは言え、諜報員として訓練を受けた帝国軍人として注意力が足らなかった。
(いつから軍人になったんだ)
痛そうに腹を抑える彼女に
『大丈夫?怪我はない?……ちょっと待っててね』
そう告げると、さっきのリュックの男を追って走ってみたが、どーせ間に合わないし、見たところ姿は無かったので……
タッタッタッタッ……と、4〜5歩で引き返す事にした。
何事も無駄な労力を費やさない。
これも訓練で教わった、人生万事あくまでアピールだ。
カメラもあるだろうから警察に連絡すれば、事件として扱ってくれるだろう旨を説明したが、彼女は其れを拒んだ。
『ごめんね……イヤホンして、ほぇーって歩いてたから、気がついてあげれなくて……捕まえてあげれば良かったね』
私の目をすがる目で見つめ、まだ少し怯えた彼女は有りっ丈の勇気と声を振り絞り
「いえいえ……大丈夫です。ありがとうございます」
と答える。
親切にされた男に好意を抱き、しばらく見つめ合った2人は……
「あのぉ……今から私の家に来ませんか?」
『えっ……そんな急に初めて会った女性の自宅に…』
「走ってくれて、お疲れになったでしょ?」
『いえ、あれくらいどうって事ないですよ』
「いえ、そんな事しかお礼が思いつかなくて」
『いや、お礼を言うのは僕の方です」 』
「えっ?」
『ほら、こんな綺麗な女性に巡り会えて』
との展開を期待したが
「あっ。ありがとうございます」
そう言って彼女は、そそくさと立ち去った。
やっぱりイヤホンは注意力が散漫になるので、目配り気配りしながら歩かないとダメだな。
街は危険が危ない!
しかし、見ず知らずの通りすがりの女性を殴るなんて、基地外みたいなヤツがいるんだな……そう思って顔を上げると。
右前方に、超ミニワンピをお召しになり、パンツの3/4を曝け出した、超おデブちゃんガールが急にしゃがみ込んだ。
おいおい……またかっ?
しかし、今度は様子が違う。
おデブちゃん故にワンピの裾は捲れ上がり、パンツの4/4を曝け出しカバンの中を物色している。
サングラス越しに目が合いそうになったが、全力で逸らす。
ここで、アピールは必要ない。
それも訓練で得た知識だ。
しかし不思議と目で追ってしまうのも男の本性
こんな所で、こんな服着てパンツ丸出しにして基地外みたいなヤツがいるんだな……そう思ってると、その女から意外な一言が発せられた。
『ちょっと!ジロジロ見ないで下さい』
その刹那、芽生えた感情に我ながら恐怖を覚えた。
殴るおっさんに、殴りたくなる女
世の中はループしてるんですね。
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