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「ひ・よみ」こぼれ話その1…「ひふみ」の猫ちゃんたち1

今にも雪の降りそうな、冬の寒い日に、その猫はベランダでじっとしていました。小さなサビ柄の猫です。

猫が大好きだった祖母「ムメ」の命日にやってきたので、それからとって「小梅」ちゃんと呼ぶことにしました。

今までベランダにやって来たなかでは最小の猫だったので、子供かと思っていたところ、だんだんとお腹が膨れてきてしまいました。
変な病気なのか、何も知らなかった私は、とりあえず体力を維持できるように、食事だけは与えていました。

サビ柄の猫はすべてメス、というのは後で知りました。

平成31年4月30日、平成最後の日。

終日、段ボール箱から出てこなくなり、次の日に箱の中を覗いてみると、親指ほどの大きさの子猫を4匹生んでいました。
とりあえず、毛色から、
 キン(オス)…茶色系の縞
 ギン(メス)…銀色系の縞
 クロ(オス)…黒猫
 サト(メス)…サビトラなのでサト
と名前を付けました。(性別はのちに確認)

「子生め」じゃなくて「小梅」だったのに…

それから12、3日たった頃、
手狭になったのか、暑さが厳しくなってきたせいか、
夜中にどこかへ引っ越して、いなくなってしまいました。

どうしているんだろう。

梅雨の大雨が過ぎ、今度は猛暑。

2か月程経ったある日、キンゃんとクロちゃんがベランダの下に現われました。

元気だったんだ。

少しずつ慣らして保護してやろうにも、母親は生粋の野良らしく、
子供たちがこちらに近寄ろうとすると、割って入って邪魔をします。
ガラスを開けると、みんな飛んで逃げてしまいます。

気長に待つしかないか。

他所で悪さをしないように、エサだけは出してあげて、
仕方なくガラス越しに、観察をすることにしました。

ある日、ガラスの前で子猫たちがオッパイをもらっていたので、
写真を撮ってみました。

「ん?」

子猫の上に何か写っています。
丁度、クロちゃんの上です。

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拡大してみると、スダジイの葉です。葉脈まで写っています。
私、「森林インストラクター」でもあります。
ガラスの反射で、下に私の足が写っていますが、まったく様子が違います。

以前はこの辺でも、線路際や空地にスダジイがありましたが、
最近では伐られてしまっています。

そうだ。
歩いて15分ほどのところにある神社に、スダジイの木があった。
久しぶりに行ってみよう。しばらく行っていなかった。

ここの神社はある意味、お気に入りの場所です。

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無人で、狛犬が無く(猫は生きた狛犬です。)、木も多く、猫にエサやりをする人も複数いて、
猫神社の条件を満たしています。
猫が先導してくれることもあります。

少なくなったヒグラシも生息し、絶滅危惧種のギンランも生えています。
こちらに越してきた頃には、アオバズクも鳴いていました。

「あれあれ、あの木。」

まずは神様にお参りしてから、スダジイさんにご挨拶。

「やっぱり、そういうことだったのか。」
立札を見て改めて納得。忘れていました。

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葉を取ろうと思っていたのに、枝下が高過ぎて、かなり高い足場が無いと手が届きません。
下に落ちていて手に入るのは、枯れて薄茶色になった葉ばかり。

やはり、常人の仕業ではない。
見て、何も嫌な気分にならないのは神様の証拠なのかな。

「猫ちゃんたちをよろしくお願いしますね。」
「今の日本の猫ちゃんたちは、可愛がってもらうために、生まれてきているのに…。」

あの子たちには、どんな運命が待っているのだろう。

(続く)

#ひふみのふで #猫 #神社 #スダジイ

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