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私が給食のおばさんだった時vol.2


給食室はいくつかの部屋に分かれている。

下処理室という部屋がある。
下処理室には短靴を脱いで白い長靴で入る。濡れるからだ。給食室はドライでないといけないが、下処理室は水をたくさん使うのだ。

下処理室はその名の通り、下処理を行う部屋だ。
ここに色々な食材が業者さんから届き、ここに食材をしまう冷蔵庫がある。
下処理室では、肉を切って下味を付けたり(これは社員がやる)、届いた野菜の皮を剥いたり、洗ったりする。


大量の野菜の皮が一気に剥ける皮むき器というものがあり、これでじゃがいもや玉ねぎなんかの皮をむく。皮むき器が使えない人参やごぼうは、一個一個ピーラーで剥く。
ここで私は、じゃがいもの芽取り器を初めて使った。私はじゃがいもの芽取りが嫌いだ。芽取り器は、使い慣れればめっちゃ早く作業ができるのだが、慣れないと滑りやすく、滑ると手を切るのだ。手を切ると痛いだけでなく、大変面倒臭いことになる。傷口には黄色ブドウ球菌がいるので、まな板や使った器具を全て消毒しないといけないのだ。汚染されたと思われる食材も捨てる。
つまり作業が中断してしまうのだ。
給食の衛生管理はとても厳しい。

皮を剥いたり芽取りしたり、小分けにした野菜は、下処理室で洗う。
洗い場はには水槽が3つ並んでいて、必ず3回洗う決まりだ。冬は水が冷たくて、死ぬ。夏は気持ちが良い作業だ。

下処理室で一番大変な作業は、卵割りである。
1200人分の卵スープだと卵何百個だったか。忘れました…。
しかし、とにかくすごい数の卵を一人もしくは二人で割る。
卵はサルモネラ菌の心配があるので、卵を扱っている時は他の人は部屋に入れない。
ただ黙々と割る。孤独な作業だ。
片手にカップとスプーン、片手に卵を持ち、片手割りをしてカップに入れ、血液が出ていたり変な卵じゃないか目視してから、食缶に入れる。
スプーンは殻が入ってしまった時に取り除くためにある。
卵割りは大体15分ぐらいで行う。かなりのスピードだ。私はスピードを求められる作業は好きだ。丁寧さにはかけるがスピードはある。卵割は大変だが楽しかった。
そして卵割りがある日は、卵スープに卵を投入するというお仕事もある。
これが難しい。

スープが入った大鍋に、卵液を投入するのだが、食缶は大量の卵液で重たい。
その重たい食缶を持ち上げて、なるべく細く細く大きく回しながら、鍋に卵液を投入する。
側で栄養士の先生が「もっと細く細く、ゆっくり、早すぎる!ストップ!」とかうるさい。
細く入れられず、ドボドボとか大量に投入すると怒られる。うまく出来ると、わー上手!と褒められたりもする。

下処理室の担当になるのは、日替わりだ。大体いつも二人体制なので、卵投入以外はちょっと気楽だ。調理場と完全に分かれているから、お喋りしてても大丈夫。食材によってはめっちゃ楽な日もあるから、そんな時はのんびりできる。

もちろん野菜が多い日は地獄なのだが。
そうそう、みかんの箱を開けたらゴキブリがビョーンと飛び出したり、ブロッコリーに虫がいたり。野菜には基本虫がついていることが多い。
洗う時に虫がいないかは目を皿のようにして見るのだが、青菜などはとても虫が多い時もある。

そんな時はどうするか?主任は
「おい、今日虫が多いから、できるだけ細かく包丁で叩けよ!」
と言っていたものだ。おいおい(笑)

(続く)


#給食 #小学校 #神奈川 #給食のおばさん #下処理


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