打ち棄てられた詠唱集
※フリーの魔法・呪術詠唱。使用の際は【作者:EtO】を必ず明記してください。
※更新中
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夢の城、うつつのあばら屋。
幻の草原、あしたの戦場。
滅多刺しの幼い心、傷だらけの腕。
僕は【拒否する】。全部全部!
【すべて夢幻のうちに(オールタイム・ドリーマー)】!
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わたしは、全ての愛に別れを告げ、
いま最果てへと歩み出す。
月よりも冷ややかな無限の喪失、わたしの足は貫かれ、千万の蛍がわたしを思って大音声に喚く!
この悲しみが世界を殺す!【ラバーズ・コンフリクト】!
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君の忘れた、特別な日の魔法をひとつ。
花を揺らす風から生まれた妖精よ、明かりをおくれ!僕のために!
波の泡から生まれた妖精よ、プティングを焼いて!リリーのために!
聞いて、過去最高に君を愛してる!「ハッピーハッピーバースデー、マイリリー!」
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俺は欠陥。俺はバグ。俺は死を呼ぶ致命傷。
疑うなら俺の傷に手を入れろ!信じるならそこをどけ!
エンジン着火着火着火行くぞ行くぞ行くぞ!【ジャンク・ドライブオーバー】!
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セリィ、ごめんね?
セリィ、許して。
セリィ、ありがとう。
セリィ、愛してる。
セリィセリィセリィセリィ!
見て!君の血が俺の敵を蹴散らしていく!セリィ、最高の鉄婦人!また力を貸して!あいつを滅ぼせ!セリィ!
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指揮者の私を怒らせたね?いい度胸だ。席にお着きなさい。
もう一度オーバーチュアから始めようじゃないか!
舞台幕の天使が今、赤い瞼を引きあげた!
どなたも席を立つことは許さない!
【誰も寝てはならぬ(ネッスェン・ドルマ)】
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おのれ、おのれ!
貴様のがしゃどくろで、わらわの巣を飾ろうぞ。
男めが、糸はお前を覚えたぞ。逃げろ逃げろ、逃げた先までわらわの糸が追うて行く。
巻き巻き糸巻き、わらわの得物をわらわの前に。
追え!【女郎蜘蛛万条操糸(アラクネ・バンジョウソウシ)】!
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この口づけで、あなたと永遠を誓いましょう。ぼくは変わりゆく人が好きじゃない。その美しい今の顔を仮面に。ぼくの演じる役に加えましょう。閉幕を知らないぼくの舞台、千の仮面と踊るのです。
【人生に喜劇的祝福を(コンメディア デ ヴィータ)】
ぼくと、とわに幸せに。
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想像のゲームをしましょう。
塔の上の小部屋の机の上に銀の皿がおかれています。その皿の上にとまっている蠅の体から白い煙が溢れだしてきます。
その蠅は皿の上の猛毒を残らず平らげた毒蠅で、その煙も……。
【想像して、いまあなたの死を】。
想像しましたね?私の勝ちです。
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我が時空の神よ!
ご覧あれ、あなたのために地上を整え、あなたの足を洗う泥海をここに!
人々よ!讃美!酸鼻!讃美せよ!
【わだかまる原初の泥(ネバー・エバー・ケイオス)】
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赤と言やぁ、崩れ牡丹の犬の口。
オンボロボロロ・オンボロリ。
赤と言やぁ、血濡れ鴉の羽の色。
見晒せ、さらせ、赤赤づくし。わしの箱庭、首燈籠。
襤褸着て歩め、【邪宗門灯籠尽くし】
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だんなさま、だんなさまよ。
寒かろう、いまにわらわが丹精込めた恨みの氷柱を馳走しょうな。
なれの床を這いずる足無し虫は、なれが眠れば耳から髄を食うわいな。それ、なれの喉をさかのぼる胃液が凍るわいな。
【千々夢氷枕願掛(チヂムヒョウ・マクラノガンカケ)】
よくも雪女を裏切ってくれた、礼はたんとしようぞえ。
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ロンギヌス示す行く先、風の渦巻く空砦。
回れ回れ!風を巻け、竜を巻け、空の幔幕を巻きあげろ。
甲板ひらけ!全舵いっぱい!帆をあげろ!
目指す先は俺の敵、正しい方位を示して飛べ!【空を識る一角海獣(ネモ・イカロキュス)】!
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おめでとう。祭壇のため・四つに折る君の足を。
おめでとう。焚火のため絞るガマガエル・縛るためにちぎる青蛇。
おめでとう。いけにえども、来るめでたい日のために分裂・生まれ・死に至る。
祭壇に火を入れよう!【君屠る祝祭師(カニバ・ファンタジスタ)】!
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俺は今、時を告げ!天へ拳をつきあげる!
地の面の全民、火を持って立て!
地底なるアトラスよ荷を振り捨てて立て!
いまやこの手は君に届く!天上の君よ!
【オブラダ・リ・ステラ】
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生きた頃からこの目は暗い、とはいえ世渡りに不足なし。
地獄でも三味線の糸繰り延べて餓鬼に案内をさす始末。
百の足らずを賽の目で逆手にとって世渡りを。
【足らず滅法地獄すごろく】さぁて!賽を振りましょう!
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群れぬ狼、無敵の盗賊、真の怪盗!このライオンハートに火がつけば月まで焼け焦げ紅をさし!蔵という蔵、貝のように口を開く!
誰にも邪魔はさせないさ、狙った財宝を俺のもとへ!【無帽なる夜盗虫(マッド・キッド・ヘッド)】!
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聞けば。我が家伝来のこの弓は、真の勇によってのみ、弦けたたましく鳴き、千里に響きて矢を呼ぶ。矢の応じる声、万馬の蹄のごとくして、たちまちに敵陣を破るという。真ならば鳴いて見せよ!我、勇なる者なり!
【桐交鳳凰 閃の一鳴(きりかいほうおう・せんのいちめい)】!
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わたしを愛した人は最も恵まれ、恵まれた分奪われる。わたしに愛された人は富み、富んだ分貧しくなる。わたしは悲恋のために生まれた代償の魔女。
【愛、そしてその代償(キル・オール・サラウンドユー)】あなたを愛しています。
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おれはこの国一番のばか。天使も笑うほどのばか。こんな危機に、おれにできることがひとつある。みんな、おれのばかを信じて下がってくれ!
【愚者に勝利の花あれ(フール・ド・リス)】
おれの祝福された愚よ!いま花咲いてみんなを護れ!
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私の舞を妨げるこの足音はどなたですか。
ああ、舞わねばならぬ!さもなくば我が愛しの王の悲しみが止まぬ!妨げるもの許すまじ、許すまじ!静寂へ散れ!
【無聊慰むる虞美人草(ヒア・スリーピン・マイキング)】!
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嘘だ!僕の青い眼を見てそう言える?僕の白い眼を見てもそう言える?君の舌は一枚かな?違うよね!君の二枚目の舌を見せてみなよ嘘つき!
【トマスよ、お前は正しかった(イーブン・ゴッド・ベトレイ・ミー)】
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真実の一歩手前で足をとめ、もう一度情報の海に深く沈み込もう。息をする暇もない、真実か?これは真実か?虚実の境、金脈のように走る一線、それだけをひたむきに追っていく!
【考えよ、一事を深く(シンク・イット・シンク)】!
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波高く!涙の塩がおれを呼ぶ!愛別離苦のモノグルイ、悲嘆あるところ、ただちに音曲鳴り出し酒精漂う!愉快痛快、道化は踊る!
【猩々呵呵大笑 乱(しょうじょうかかたいしょう・みだれ)】
者共、笑えぇ!
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悲しむ人は全て泉へ導かれ、悼み嘆く人に癒しの手が舞い降りる。
蔦の指・柳の髪の女が来る。
すべての壁、すべての塔は女の足で均される。
涙は東に流れ、泡から楽園が現れる。悲嘆する者の元に。
【悲嘆者の為の楽園(コバルト・パラディ)】
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残念だ、残念だ。
お前は一度嘘をついた。
お前は二度も嘘をついた。
三度までお前はやめなかった。
俺の耳の白銀の鶏がお前の嘘を告げて鳴く。
三度の嘘がお前に三度死を告げる。
【鶏鳴告死(ケイメイコクシ)】。さて、坐して待て。
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渇くところに甘い露、飢えるところにマナを呼ぶ。
この杖で打つところから緑は波打ち、実りはへだてなく降り注ぐ!
【生命潤す黄金樹(アーロンズロッド)】
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君にロックオン!
今から君はアタシのことだけ考えてね。
あなたの耳に流れ込む夜に染まって!アタシとの恋におぼれて!
【君に捧ぐ蜜夜曲(ハニー・セレナーデ)】
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出会ってしまったな。私を知っているか?知らないだろうな。
しかし私を「見た」な。では死ね。栄誉ある死だ。伝説は不可視・不可能・非存在でなければならぬ……
【虚なる伝説(イマーシブ・キャット)】
さようなら。次に巡り合ったら、電子の海は冷たいか、教えてくれたまえ。
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いいわよ、いくらでも嘘を並べれば。
どんな嘘もまことの嘘の前に色あせる。原罪という大嘘が、「まとも」という盤石の嘘があなたを腐食する。
ほら、足が。ほら、腕が。終わったの、あなたは。
【叩け。さらば開かれん(ダウト・ダウト・ダウト)】
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どれだけ落ちぶれてもお前の顔を見忘れたことはないわ。
身分を失って水底の屑のように忘れられたこの身の恨み……。
今こそ語りましょう、私を切り裂いた世の冷たさがお前を飾るすべてを洗い流していくでしょう。
語り聞かせましょう。【雲母流離譚(きららりゅうりたん)】
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