1991年から92年にかけて東京の郊外で起こったこと、そしてその後の沼について(8)

(7)からのつづきです。最初から読むなら(1)へ。

もともと、誰に頼まれてやっていたことでもなかったので、トンズラする私をつかまえようと追いかけてくる人なども当然いなかったし、1つのところに全体重をかけないぞ作戦も功を奏して、脱出してみれば割とあっさりしたものだった。音楽をやることとそれを取り巻く硬直化した状況から抜け出たところから眺めると、何の気なしに始めたことだったはずなのに、どうしてここまでガチガチの狭い枠の中で身動き取れなくなっていたんだろう? と拍子抜けするほどだった。誰かに追い込まれたのでも、自分が追い込んだのでも望んだのでもないのに、なぜかそうなってしまったことが不思議に思えた。どっちにしろ、真に受けるようなことではなかったのに。

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