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松下幸之助と『経営の技法』#41

3/27の金言
 研究、発明をするためのヒントは、街頭に出て得ることもできる。

3/27の概要
 松下幸之助氏は、以下のように話しています。短いので、全文を引用しましょう。
 発明のヒントはむしろ素人にあるかもしれんですな。私も、よく研究部員に、「同僚とばかり話しおうててはいかん。街頭へ出ていってヒントを得てこい」と、こう言うとるんです。ヒントはどんなところにでもあるんですけれども、それをヒントと見るかどうか、ということですな。

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 まず、社長が率いる会社の内部の問題から考えましょう。
 ここでは、研究開発をテーマにしていますので、経営に関する面が強いですが、リスク管理についても当てはまるべき問題です。
 すなわち、経営問題として見れば、新たなビジネスチャンスを探すことであり、リスク管理の問題として見れば、リスクセンサー機能とリスクコントロール機能のいずれにとっても、自分たちの狭い常識にとらわれず、むしろ社会常識が重要であることを意味します。
 しかも、松下幸之助氏は、これを従業員それぞれがその意識を持つことを訴えています。
 これは、リスクセンサー機能について最も顕著なことですが、会社の現場でなければ気づかないことが沢山あり、それぞれの現場の従業員一人一人が、リスクやビジネスチャンスについて敏感でなければ、組織としての感度や体力が低下してしまうことを意味します。
 氏が、従業員一人一人にこのような意識を持つように働きかけるのは、会社組織を強化するうえで、このような意味があるのです。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 次に、ガバナンス上の問題を検討しましょう。
 投資家と経営者の関係で見た場合、ここで示されたように、自分たちの常識にとらわれず、社会との関係に眼を向けた経営者を選任し、さらに、現在の経営者については、株主総会や(株主の代理人であるべき)社外取締役などを通してそのように働きかけ、チェックすることの重要性が理解できます。経営者の資質の一要素として考慮すべき事情となるでしょう。

3.おわりに
 一方で、専門性を高めることは重要です。最低限の品質や性能を確保せずに、一般受けばかりしても、競争力を獲得することはできません。また、専門的な知識なしに、充分なリスク管理はできません。
 けれども、専門分野だけでも駄目です。ビジネスのチャンスとしても、リスク管理としても、社会が受け入れられないものは、永続的な事業に対して消極的に作用するからです。
 どう思いますか?

※ 「法と経営学」の観点から、松下幸之助を読み解いてみます。
 テキストは、「運命を生かす」(PHP研究所)。日めくりカレンダーのように、一日一言紹介されています。その一言ずつを、該当する日付ごとに、読み解いていきます。


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