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第42話 ベートベン

(ベートベンみたいな髪型やったなぁ)

零細広告代理店のチャンスジェネレーションとの打ち合わせを終えた後のエレベーター内での素直な感想だ

部内報の新しい構成と企画について詰めたいということを代理店に伝えると、社長自ら本社まで足を運んでくれた

その社長の髪型が、意識してんのか?ってくらいベートベンだったわけだ

その風貌が気になりながらも、打ち合わせは終始社長から大絶賛を浴びる

自分のアイデアが褒められているという事で実に気分を良くしたが、よく考えれば当然の話で、対談記事はチャンスジェネレーションが書き起こしまでしてくれるとのこと。

彼らとしては単純に新たな売り上げが上がるわけだ。

当然、初回は追加予算もないので、彼らとしては利益もほとんどない価格で応じるしかないが、これでうまくいけば来年度に更に盛り込んだ予算をゲットするのを狙っているのである

エレベーターを降りて自分のオフィスフロアに戻ってくると、いつも通りお通夜のような静けさで、皆PCに向かっている

(そんな真剣な顔で何をしてるんや?)

席に戻りすがら、後ろからPC画面を除くと村田は何かのブログ、小西は楽天で野球のグローブを見ていた

(出た出た。ありえへんやろ。こんなんやから企画部がバカにされんねん。仕事せぇよ。)

席に着くとメモ書きが置いてあるのに気付く

デイリーフォースダイアモンドの金山から、電話があったようで、折り返し希望と書いてあった

「あ、もしもし、四菱樹脂工業のTK工房ですけど、金山さんいますか?」

「あ、金山です。折り返しありがとうございます。あのー、座談会の件なんですけど、とりあえず課長命令で私に断る権利なかったんですけど、行って何を話したら良いんですか?(笑)」

「あ、テーマは今日ある程度決まったのでまた連絡します!思ったことを素直に話してくれたら良いですよ!」

「思ったことって、、まぁ、色々思う事はありますけど、私みたいな中途採用、しかも子会社の人間がエラそうに意見言うて良いんですかね?」

「全然良いです!むしろそれを望んでます。新人や中途だからこそわかることってあるはずなんですよ。それを発信して行きたいというのが趣旨なので」

「うーん、わかりました。とりあえず来週行きますのでよろしくお願いします」

続く

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