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日本人の英語力の低さについて指摘してきたインド人に素朴な疑問をぶつけた話

こういうツイートをしたところ、多少ざわつきがあったので、詳しく書いてみようと思います

まず、彼の名誉の為に言うと、彼は非常に謙虚で礼儀正しい男なので、こんな言い方はしてません(笑)

ツイッター文字制限もあって、TK工房の恣意的な意訳が入ってます

ただ内容は同じです

まずは彼について説明すると

インド人の彼は大学に進学する際、観光産業について学ぼうとその道を専攻する

しかし1年間学ぶ間に、自分に市場価値をつけるには外国語堪能というもう一つの軸があることの方が武器になると考えるようになり

語学を専攻することに決める

フランス語、ドイツ語はあまりにも専攻する人が多くレッドオーシャンなために断念

中国語は中印関係が悪い為に、インド人の自分が活躍できるかに不安を感じ断念

そして、国同士の関係も良好で先進国なのにニッチな言語である日本語を選択することに

そして3年間の専攻を終え、日本に留学

日本の大学では経営学を専攻

そして無事卒業して日本企業に就職し

その後色々な事を経て、現在商社のインド人スタッフとしてインドで働いてる


この時点で、「とりあえず大学行ってりゃ何とかなるやろ」と思っていた自分を省みて恥ずかしい限りであることは言うまでもない

そんな彼と話していた時のこと

「TKさん、他の日本人の方と違って英語の発音とか聞きやすいですよね。」

「ほんま?ありがとう。実際全然イケてへんから、頑張ってるところやねん」

「TOEICとか何点ですか?」

「こないだギリ900とった」

「900!マジすか!凄いっすね!今までほとんど見たことないです!どうやったら取れるんですか!?」

「え?いやいや、君が受けたら余裕で900は超えるやろ。」

「いや、僕は980なんですけど」

「980なんかい」

「いやー、日本の大学で受けさせられたんですけど、あれって長くて集中力がもたないですよね」

「集中切れて980かよ」

ネイティブスピーカーとはかくありたいものです

「ほな、900どうやったら取れるんですか、てどういうことよ?」

「僕日本にいた時に、日本人の友達にいつも900なんてどうやったら取れるの?て、聞かれてて、僕からしたら当たり前なので、どうやったら取れるのかを日本人の人にどう伝えたら良いのかわからなくて。」

「勉強したらとれるわ。単純に勉強量が足らんだけや。今時やり方がわからんことなんてもんはほとんどない。どんなことでもやり方なんかググったら山ほど出てくるし、みんな知ってる。やらんだけや。そう言ってやれ」

「なるほど。そうですよね。僕それで言うとビックリしたのが、日本人の学生って、英語を覚える為だけに留学しますよね?それが本当に驚きでした。留学したって言うから、何を勉強したの?って聞いたら、英語って言われて、えぇー?て」

「言われてみれば確かにねぇ。」

「勿体ないですよね。せっかく高い金払って留学するのに、英語を覚える為って。英語なんて日本にいても勉強できるじゃないですか。いや、フランス語とかドイツ語ならわかるんですよ。英語ってもう、世界共通語だから、語学力とかではないですよね?」

耳が痛てぇわ

「でもさ、一方で日本人の立場から言わせて貰うとさ、日本は日本語だけで、世界トップレベルの知識を学べるんだよね。だから、そういう意味では英語を学ぶ必要がなかったってのもあると思うのよ。今は違うけどね。それに比べて発展途上国だと、自国の学問がそもそも未成熟だから、世界に通用するレベルの学問を学ぼうとしたら、英語を覚える事がまずマストになってるケースもあるよね?その点では、インドはどうなの?まだ学問が未熟なの?インド人が海外に留学する理由は何?」

「いや、インドの学力は世界で戦えるレベルになってますよ。IITだったり、IIMは有名ですよね?でも、まだブランド力や世界トップクラスかどうかで行くとハーバードとかの方が上なので、みんなそっちを目指すんです。
日本でも東大に行く人もいれば、ハーバード目指す人もいますよね?それと同じです」

「なるほど。その辺のアジアの途上国とは訳が違うんだな。インドの英語教育ってどうなってんの?いつからどのレベルで学ぶの?」

「それは地域や公立か私立かでも違いますけど、基本は最低でも中学生からは全部授業は英語ですね。私立とかなら、小学生から徹底して英語です。」

「授業以外は?友達同士で話すのはヒンディー語?」

「いや、英語です。学校にいる間は基本英語を強要されますし、生徒たちも英語を話そうとします」

「その場合さ、ヒンディー語が疎かになって、ヒンディー語文化、インド文化が廃れない?」

「どういうことですか?」

「例えば、日本は日本語を筆頭に日本のわびさびみたいな日本の文化に強いアイデンティティを持ってるのよね。だから、移民が増えて、日本語が廃れ、日本らしさが無くなることに強い拒否感を持ってる。」

「日本語が廃れるっていうのは?」

「日本語って、凄く高度な言語で、深い理解がないと、いわゆる文学や歌、詩などの文化の理解は、それこそ日本人でも難しいのよね。時間がかかる。それを外国人が理解しようとすると、ハードルが半端ない。もちろん話せるのは話せるようになると思うで。
ただその深い所まで理解するようになるかというと疑問。そういう人が増えてくると、いわゆる日本文化というのを維持するのは難しくなるのかなと。
だから英語も大事なんだけど、まずは日本語をしっかり高めようという気持ちは俺も理解できる。」

「なんとなくわかります。」

「その点、インドってもはや、ヒンディー語より英語を重視してるじゃん。
それって、ヒンディー語の理解が浅くなって、インド文化が廃れることになったりしない?」

「うーん、正直その観点で考えたことなかったです。」

「例えば小説とかって、英語で出版されるの?ヒンディー語?」

「もちろん両方ありますけど、半々くらいか、英語の方が多いかなぁ。確かに今思えば、僕はヒンディー語の読み書き能力は下がってますね。特に書きに関しては、かなり下がってる。」

「ほらほら(笑)そういうのが続くとヒンディーらしさというか、元々のインド人らしさっていうのがなくなっていったりしない?インドの文化を守ろう、みたいな動きとかないの?」

「もちろんありますよ。ただ、州によって全然違いますね。もちろん人によって違いますし。一般的には南インドは保守的で自分たちの文化、言葉を重視して、しっかり教育してます。」

「だからヒンディー語すら、あまり浸透してないのね。」

※インドはヒンディー語が公用語とされてますが、基本的に各州に州語あるので、ヒンディー語、州語、英語という3つの言葉に幼少期から晒されてます。ミドルクラス以上は基本3つの言葉が話せます。しかし、南インドでは州語を推すあまり、ヒンディー語があまり浸透していません。

「そうです。北もそういう感覚がないことはないけど、南に比べると薄いかなぁ。僕個人はかなりそういう観点は薄いほうで、そういうことを考えたことがなかったです。」


「極端な話、グローバルな競争力が付けばインド文化がなくなっても良いの?」

「いや、なくなっても良いとは思わないですけど、、、確かに今の若者は僕よりももっと、そういう意識は低いと思いますね。インド伝統の儀式とかもめんどくさがってるように感じますし。僕もまぁ、どっちでも良いと思ったり。」

「おいおい、インド文化の乱れが激しいなぁ!(笑)」

「もちろん、これは僕の意見ですし、インドにはいっぱい人がいますから、いろんな意見があると思いますよ(笑)」


ということで、グローバリズムと古来の伝統文化の共存はなかなか難しいなぁと感じたお話でした。


そんな僕ですが、日本の若者にはまず、世界に出て行って欲しいです。出てこその日本の良し悪しがわかりますし、自分の世界が広がるので。


ちなみに移民問題に触れてますが、僕はどちらかというと肯定派です。自然淘汰されてしまうのであれば仕方のない事かなと。

サポートいただいたお金は、こんな僕を育ててくれた母ちゃんに還元したいと思います。