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海洋プラゴミ問題の真相

最近、仕事で環境問題について調べたり議論したりすることが多くなりまして


正直なところ、全然興味なかったから全く知識がなかったんですが、環境フォーラムみたいなのに参加したりすると、環境活動家や、詳しそうな人が登壇して

「環境問題については欧州が世界を引っ張っていて、日本は遅れている、もっと真剣に取り組まないといけない」みたいな論調を繰り広げるわけです


で、それを聞いた私はというと、何も知らんド素人のくせに

「ホンマなんそれ?欧州の言うことは基本信用ならんねんけど」

と、斜に構えるわけです

実際、彼らの話を聞いてても、特定の現象の話ばっかりで、問題の全体像が見えて来ないんですよね

ウミガメがビニール袋を食べて死ぬとか、ウミガメの鼻にプラスチックのストローが入って苦しんでいたとかいう、センセーショナルな情報を出して

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プラスチックは悪、このまま放っておくと数年後には海の生物より海洋プラスチックゴミの方が多くなる、だから代替製品に変えましょうなどと主張するわけです

スタバの紙ストローなどは典型例ですね

で、とくに普段から環境問題に詳しいわけではない一般の人たちは、こういう話を聞くと、「プラスチックは悪なんだな、紙とか木、ガラス瓶に変えたほうがいいんだな」と素直にインプットされたりするわけですが


性格が歪んでいるTK工房は、そうはならないわけです


まず、ウミガメがビニール袋を食べて死ぬってほんまなん?

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調べてみました

判明しました

死にません(笑)

う〇こで出てるようです

まぁ、そらそうだわな

詳しくは文末の参考リンクのウミガメの生態調査をしているNPOのホームページを見てほしいのですが、彼らの調査によると、ウミガメの胃袋にプラごみが少なからず入ってることは確認されてるため、プラゴミを食べてることは事実なようです。

しかし体内に入ってるものの、だいたいは排泄で出てるので死因になっているケースはほぼ無いとのこと。

ウミガメの調査・保全活動をしてるNPOが言うてますからね


で、ウミガメの鼻ストロー問題

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これも心痛める話なんですが、よく考えてみてください

別に割り箸でも起こりません?

プラスチック特有の事故では無い


もう、この辺りで既に僕としては「あー、これ、よくあるデマ屋のパターンやん。」と、自信が確信に変わってます


反原発派の中に、放射能デマを言う奴がいるのと同じパターンです

反原発自体は別に主張として全然おかしくなく尊重されるべきなんですが、デマを織り交ぜるから白い目で見られるんですよね

これも同じで、環境問題に取り組むのは良いことというか、むしろこれからの人類の課題なので全員取り組まなあかんわけですが

ここにデマを入れてしまうとイッキに萎えちゃうから逆効果なんですよ

何かを主張する時には、デマは絶対排除せなあかん

言うに事欠いても、デマはあかん。黙ってるほうが100倍マシ


で、まぁこれらの話がデマ、もしくは誇張なことはわかりましたが、海洋プラゴミ問題というのは本当に存在するわけで、これは対処せなあかんわけです


で、この海洋プラゴミ問題って何が問題なの?


どうやら数年前まで中国を筆頭に、アジアの発展途上国がプラごみを海に投棄しまくってたことが主要因ということがわかりました

「なんだ発展途上国が悪いのか」と思った皆さん

真相は違うんです

彼らが捨ててるこのプラゴミ、どっから来てたと思います?

そうです、環境問題取組大国の欧州諸国から押し付けられてたんです

よ!にくいねEU!!

とはいえ残念ながら、日本もバッチリその一員だったんですけども

先進国で大量に出たプラゴミを「資源」という立て付けで、アジア諸国に輸出してたんですよ。下表参照。

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ゴミを輸出ですよ

もちろん有料です。アジア諸国に買わせてました。

しかも、彼らはこの売りつけたゴミをリサイクルにカウントしてたんです(笑)

ヤバない?(笑)



なんでそんなことになんの!?

と思いますよね

実は当初、中国を筆頭に、本当にプラゴミを資源としてリサイクルしてたんですよね

材料を安く買えて、win-winだったわけです

しかし、プラゴミ輸入大国だった中国も、自国の経済発展とともに、国内で出るプラゴミの量が半端じゃなくなってきて、輸入分と合わせると処理し切らんくなってきたわけです

それと同時に、本来リサイクル出来る様に綺麗な状態で届くはずのプラごみが、どんどん汚くなって、処理不能なレベルのただの有害なゴミを送りつけてくるようになったんですよね。スペインとかカナダとかオーストラリアとか韓国とか。

で、そんなもんリサイクル出来るわけないので、処理に困った業者が放置して、それが海洋に流れだしたり、なんなら積極的に海に投棄し始めたというわけ

で、この海洋プラゴミが問題になって、流石にあかんやろということで、2017年末に中国がプラゴミ輸入を禁止にしたんです

すると困るのは輸出してた欧州諸国および日本です

すぐに代わりのアジア諸国を探して、懲りずに輸出したりしてたんですが、その他のアジア諸国も中国に倣って、プラゴミ輸入禁止に走りました


だって、汚いゴミ送ってくるんだもん


それでさすがに困った先進国は、プラごみをちゃんと自国でリサイクルせなあかん、ってなって、それなりに取り組み始めてるわけです。超最近のお話ですね。

さて、一口にプラごみと言っても、ざっくり2種類ありまして

資源ごみとして回収されるペットボトルや、容リ法の対象となる容器包装

可燃ゴミとして回収されるポリバケツとか、プラスチック製の製品です


まずはペットボトルのリサイクル率を見てみましょう

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日本ダントツやんけ!!欧州の2倍以上!

やるやん!


とりあえずペットボトルに関しては文句言われる筋合いはなさそうです。


で、次に可燃ゴミとされるプラごみ

ぶっちゃけ日本は、これほぼほぼ燃やして、発電してエネルギーとして回収してます。(日本はサーマルリサイクルと呼んでます)

一方の欧州はというと、焼却以外のリサイクル率65%とめちゃ高いんですよね。

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やるやん欧州

ついでにプラごみだけじゃなく、都市ごみ全体のリサイクル率の2014年と2018年の表を見てみると

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日本は全く中の内訳変わってないのに対して、欧州はリサイクルと堆肥化の割合が増えてきてるんです

確かに、これだけみると物を大事に持続可能な取り組みをしようという点でいくと欧州が世界を引っ張ってると言って良さそうです



が、ここで衝撃の事実が判明


欧州って、この高いリサイクル率は具体的にどうやって実現してんの?と思って調べてみると


実はこのリサイクル率の高さにはカラクリがあることがわかりました

詳細は、最後尾の参照リンク「資源循環・廃棄物研究センター」を見てほしいのですが、ざっくり言うと

100kgのゴミをリサイクルに回して、そのうち30kgがリサイクルに成功、70kgが汚すぎるなどで、リサイクルを諦めて焼却に回したとしましょう。

すると、普通リサイクル率って、30%と思いますよね?

違うんです、これは欧州では100kgリサイクルしたことになり、リサイクル率は100%になるんですよ。

極端に言えば、初めからリサイクルが出来ないことがわかってても、一旦リサイクルに回しておけば、リサイクルしたことになるんです。


なんじゃそら(笑)


要は、欧州はリサイクル率の水増しをしてるんですよね。昔からこういうやり口が好きですよねー。欧州って(笑)


ということで、欧州の実態は不明で、信用ならないので彼らの言う事をそのまま鵜呑みにするのは危険なニオイがしますね。

一方で、日本もこのままで良いわけではないので、少しずつ行動を変えて行かなければなりません。

先ほどのグラフを見ると日本は焼却がめちゃ多いんですよ。これがまた欧州勢からは日本は安易に燃やしすぎやと批判されてるんですが

一応、これには歴史的背景があります

実は日本でも昔は国内のゴミ問題に悩まされてました

1971年に東京でゴミ戦争があったって知ってました?(笑)

詳細は参考リンクを見てほしいんですが

簡単に言うと、凄まじい経済成長を遂げていた1970年頃、東京でゴミが増えすぎて、ゴミ焼却場をバンバン建設せなあかんってなったんです。

が、東京都民が各地でゴミ焼却場の建設に反対しまくったために、埋め立てるしかなくなったんですね。

その埋め立て先が江東区だったわけですが、埋立地から悪臭や大量のハエ・蚊が発生し環境が超悪化

江東区民ブチギレ

当時、ゴミ焼却場建設反対に一番積極的やったのが杉並区やったらしく

「もう杉並区のゴミは受け付けない!」と江東区が宣言

ゴミを捨てれなくなった杉並区と一触即発状態になり、さすがにこれはあかんと当時の都知事が動いて何とかおさまったと

この流れから、どんどん焼却場を建ててゴミを焼却するようになったんですが、ここで出て来たのがダイオキシン問題


プラスチックを燃やした時に有害物質が出たんですね

それ以外にも、プラゴミは燃やすと高温になるので炉を痛めるなどの問題が起こりました

が、そこは改善技術大国日本

高温に耐え、ダイオキシンも出ない世界トップレベルの焼却炉を開発

これで、プラゴミもバンバン燃やせるようになりました

しかも、燃やすだけじゃなくて、その発生した熱から発電してるんですよ

年間で231万世帯分の電力を賄ってます

なんてエコな取組み


と、このような独自の歴史的背景から、日本は技術力が高すぎるが故にプラゴミも含めて、問題なく焼却できるようになってしまったんですね

技術的にそれが出来なかった欧州は、リサイクルに舵を切ったので、現在の違いが出てるわけです

で、欧州は「日本はゴミを燃やして、エネルギーに変換してるからサーマルリサイクルとか言うてるけど、そんなんほんまのリサイクルちゃうし!いつまでもそんなことしてんの日本だけやし!」とイチャモンをつけてきてるんですが

まぁ、結果的に資源を大切にしてゴミを減らすという意味では欧州の取組の方が持続可能と言えそうなのは確かですね

日本は、高い技術力にかまけて、堆肥化(コンポスト化)をサボってきた節があるので、そこは真摯に認めて、今後取り組んでいく必要がありそうです。

というか、それが出来たら間違いなく日本は世界一になるんだろうなと。

ちなみに欧州ではリサイクルと称して、プラスチックボトルから洗ってまた使えるガラス瓶回帰などに走ってますが、これは悪手です。なぜなら、ガラス瓶は重過ぎるので、輸送工程でプラスチックに比べてアホほどエネルギー使うんですよね。ダイレクトにCO2増加に貢献します。

こういう風に環境は全部繋がってるので、局所だけみて改善なんかやっても、実はそれが改悪だったりするので、全体を俯瞰しながら連携をとっていかないとダメなんですが、残念ながらそこまで出来ていないのが世界の現状です。


で、最後に、リサイクルするだけじゃなくて、そもそもゴミを減らしましょうというのもしないといけません

「で、各国実際どれくらい、ゴミ出してて、どれくらいリサイクルしてんの?」

ということですよね

それの表がこれ

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はい、欧州ゴミ出し過ぎ(笑)

デンマークとか日本の倍以上だしとるがな

リサイクルうんぬんの前に、そもそものゴミの量を減らす取り組みをしたほうがよさそうです




さて、ここまで現状をだらだらをご紹介しましたが、じゃあ結局どうしたらええのかは僕もまだ勉強中

個人的には


①プラスチックは悪ではなく、安易な使用禁止は別の環境問題を引き起こすので、オペレーションを工夫する。問題はプラスチックを使う人間のモラルにあるので、そこを整備したほうが良い。回収したプラは確実に焼却もしくは、リサイクルすることを前提に、ポイ捨て罰金20万&分別ルール無視罰金20万などのルール施行と同時に、街に溢れるゴミをちゃんと回収出来るインフラの整備をする。

②プラスチックの同等のメリットを持ち、かつ自然に還る素材の開発をする。プラスチックは自然に還らないことが問題であり、海に捨てられたプラスチックが、紫外線に晒されたり、風雨で摩耗したりしてマイクロプラスチックとなり、それらが海洋生物を通して人間の体内に取り込まれて悪さするという主張もあります。なので、この問題を解決する素材が今後必要でしょう。決して紙や木材、ガラスなどへの回帰では無いと思います。
※ちなみにこのマイクロプラスチックの話も個人的には眉唾ですが、まだ勉強出来てないので一旦そのまま記載します。

③日本式焼却炉を発展途上国に建てまくる。
ご存じの方も多いでしょうが、発展途上国のゴミ問題は分別とか以前に、そもそも回収するインフラすら整っていないことがほとんどなので、いきなりリサイクルを!という理想論を並べずにまずはゴミを回収してキチンと燃やすことから始める。それで電力も産むなら、発展途上国にとって良いことしかないと思います。

④日本人も危機感を持って、身近なことから行動を変える。
今現在も、わけわからん大雨とか異常気象で日本でも家が流されたり、人が亡くなってますよね。もう環境破壊による異常気象は待ったなしなので、ポイ捨てやめるとか、ゴミはちゃんと分別するとか、そういう身近な小さいことから始めていかんとあかんすね。

⑤日本のゴミ分別ルールを統一する。
実は日本では、地方自治体ごとにゴミの分別ルールが違います。分別して出させといて、実は回収した後に、全部まとめて燃やしてたりするところもあるくらいで、ふざけんな状態。これは日本特有の問題なので小泉進次郎はまずここから手をつけなさい。④を書いてて思い出したわ(笑)

⑥CO2問題は複雑に関係しているので、安易にアクションせず、俯瞰的に全体を見ながら最適な方法を考える。
まだここは勉強不足で、解決策のイメージがあんまりありませんが、植樹したり、バイオとか太陽光とか風力とかその辺の発電方式をバンバン採用したりとかですかね。知らんけど。

⑦そもそもゴミを出さない。リサイクルのできない環境負荷の高いゴミって、ダントツでアパレルらしいので、みんなファッションを追ってお洒落な服とか買うのをやめて、筋トレしましょう。ええ体してたら、体操服でもカッコええから。

以上です。

僕も引き続き勉強中なので、また何かわかってきたら、書いてみたいと思います。

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関係リンク
認定NPO法人エバーラスティングネイチャー(コラム)
https://www.elna.or.jp/20170907/

EUの資源消費、資源効率、廃棄物、リサイクル、SDG 12 統計 2014
http://www.cjc.or.jp/data/pdf/book2016_appendix.pdf

EUの資源消費、資源効率、廃棄物、リサイクル、SDG 12 統計 2018
http://www.cjc.or.jp/data/pdf/book2021_appendix.pdf#page=15

資源循環・廃棄物研究センター
https://www-cycle.nies.go.jp/magazine/kenkyu/202008.html

プラスチック循環利用協会
https://www.pwmi.or.jp/pdf/panf3.pdf

廃プラスチックの貿易フローに変化(世界)
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2020/2a54b9255db84d8d.html

プラスチック禁止が「環境破壊につながる恐れ」 英シンクタンク
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-51043938

マクドナルド、紙製ストロー「リサイクルできず」 英国とアイルランドで導入
https://www.cnn.co.jp/business/35140940.html

マイクロプラスチック汚染の現状、国際動向および対策
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mcwmr/29/4/29_261/_pdf

日本の廃棄物処理の歴史と現状:環境省
https://www.env.go.jp/recycle/circul/venous_industry/ja/history.pdf




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