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《Unhappy Easter》

何よりもその瞳の色が、狂気に染まる我々の眷属の証拠です、だからこそ天から墜ちた妾が、あの雪華石膏と銀とアメジストの玉座に戻れるように努めなさいと、温度のない月の世界で育まれた、矢車菊と菫と飛燕草と勿忘草の、憂いの涙色で染められた衣を纏った、産まれたての月女神。

同じくらい温度というものを感じられない、冷徹な声で命じられた、嫁の宛もなく─雄として情けない割に発情期のあれそれが凄すぎたので─うだつの上がらない兎二人は、大いに狽えて、視界に収まる世界を、グニャリとさせたのだ。


二人の懐中時計は、全く別々の時間の針を指している。
そんな時に、二人が偶に助力を願うハンプティ・ダンプティは、頭を置き去りにして、何処かへ出かけたままだ。
生命の満ち満ちた、心底気持ちの悪い春が、謳歌しようとしている。

digital Collage ver.
(上記の画像は、まずデジタルで画像(パブリックドメイン)を合成してから印刷し、作成したもの)

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