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ガストバーナー危険浪漫譚 / 2023.10.14→15 MAGICツアー水戸編→東京編

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 「あぁ、これが華金の名古屋の威力か。」金曜深夜に名古屋に着きネカフェでうとうとしていると、20分毎に猪が迷い込んだような酔っ払いのけたたましい入室音が響き、寝ては起きてを繰り返していた。
 配慮というものは、されているときは当たり前のように受け取ってはいけない。そこには人の気持ちがあるから。深夜のネカフェにはそんな温かな人の気持ちはあまりなかった。見えない他人、関係ない他人への配慮ができない人にとびきり苛立ちを覚えてしまう僕は小さい人間なのかは分からない。夢と現を行き来しているうちにあっという間に朝4時になり、ガストバーナーのメンバーと集合した。


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水戸のタイムテーブル


 水戸という初めての土地とライブハウスで、見知ったバンドとイベントをするというのが楽しすぎた。SONIC、血の通ったライブハウスで最高でした。
 僕はfolcaが好きだ。人間性が分かるにつれて音楽も更に惹かれてしまう。いつも面白いのにどこか冷静さも兼ね備えている不思議な先輩達で、ガストバーナーの始動まもなくのタイミングで出会えて本当に良かったと心から思う。打ち上げではイトゥーさんのバスドラムの音が良いという話から拡がっていくドラマー達のコンプレックスと闘う話がとても楽しかったし、見守るヒデさん(folca)の目は優しかった。
 マズバグはもう盟友。もっとお互い深みにハマりたいので仲良くなりすぎてちょっとだけ嫌いになってから仲直りして更に100倍くらい好きになりたい(頭の悪い文章)。鴉、ドラムの千葉さんとも色々話すことができて嬉しかった。鴉の皆様はひねくれてるのではなく、あまりにも真っ直ぐで正直なんだと思った。みんな優しい。

EIGHT BEAT三人集(3人集まって24ビートじゃないぞ、8×8×8で512ビートだ)
カード捌きに定評のあるはるきちさん


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 メンバーと何気なく話す時間が楽しい。機材車や宿泊先で、疲労や眠気と共に跡形も残らない話をしていた。時に未来の話を織り交ぜながら、しかし基本的には学校の休み時間でわいわいするような、文化祭の準備で放課後ふざけるような感覚でメンバーと過ごしていた。

移動中の視界はほとんどこう

 そういえば水戸へ向かう道中、りっちゃんが徐ろに上着を脱いだと思ったらEIGHT BEATシャツを着ていた(密かに購入していたらしい)。最初は夜で暗くて見えなかったのに、朝になるにつれ朧げに見えてくるEIGHT BEATの文字に思わず笑ってしまい、シャツの制作者であり敬愛するドラマーであるテルシさんにすぐに連絡した。今度三人で飲みに行きたい(マズバグのヒデさんも一緒だと尚最高)。
 宿泊先のホテルの朝、僕は「余ってるから大丈夫ですよ」と言う声に浮かれて何故かりっちゃんのライブ衣装を着させてもらっていた。ツアーの孕む魔に導かれたみたいだった。笑ってばかりだった。

ふざけるリズム隊を横目に眠り続けるはるきちさん


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池袋のタイムテーブル

 そんな魔に引っ張られたのか、結局池袋のライブのダブルアンコールでりっちゃんから衣装を借りてしまったけれど、それくらい楽しくなってしまった証左なんだと思う。その時にしか湧き起こらない感情を、みんなと共有できて良かったです。それが例え一方的だとしても。

ミスタニスタ

 ミスタニスタ。彼らと僕の交流はそれなりに深い。僕がEmu sickSで活動していた時に、同じ車で何度か遠征した。ドラムのシバガキ君は車に乗る時に頭をぶつけて悶絶していたし、ウエムラ君はずっと寝ていたし、ジョーザキ君はずっと元気だった。ある種、付かず離れず運命を共にするようになり、ジョーザキ君に至っては同じバンドをするようになった。音楽を続けていれば、ミスタニスタに会える。その事実が嬉しかった。


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 関東で日曜にライブのある時は翌月曜に有給をとる。車で名古屋まで乗せてもらい、始発の近鉄特急で大阪まで一人帰るのが恒例になっている。始発の段階ではまだ日曜の延長だけど、大阪に近づくにつれてシャキッとした平日の社会人や学生が増えていき、月曜に塗り替えられていく。
 「ああまた、楽しい土日が終わってしまったな」と実感が強くなりながら家に着いて、布団にくるまりながらまだ日曜は終わっていない!と少しおセンチになったりします。

photo by 大川茉莉

 なんだか、バンドを辞められない理由の一つがここにある気がします。やっぱり人が何かに熱中しながら笑いあうのは楽しいし、純粋なパワーが集まって解き放たれるライブが生きる力の源になっていると思います。MAGICツアーは金曜にファイナル。終わりは寂しいけれど、また何か、新しいものが始まる気がしてなりません。では、また。

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