また会おう滑川市にまた水母

きくらげに罪の意識をもつ昼か

還俗を経て真夜中のカーボーイ

舞鶴の電波会社に深いあな

名神の魚類図鑑を否認する

星のした戦闘少女麩をかくし

鯖屋から砂漠の鯖をぬすみだす

手長猿飼育員らがふっと酔う

阿Ｑとの三角錐のこわしかた

磁石家にプリンふるえるだけふるえ

ダイ・インにたまご割れざる麒麟館

饅頭にジーンズメイト以後のうた

ＡＶの丘をめざしている磁石

敷島の構図の春に針がない

さるぼぼが知能検査にならび立つ

満貫を悪の組織におもいつつ

でぶ愛す三菱用の章書いて

だまりこむ週刊実話谷折りし

檻を出てミキという名の坑をほる

ブラジルに行ってしまった序破のまま

日蓮とヒトのあいまにさかなつり

みたままの吊り天井を書く柳誌

淡路へと扁桃腺の句を詠みぬ

校門をだいふく鳥が通りぬけ

シンデレラ・ボーイたかるや水の音

護摩焚いてしばらくつづくナイジェリア

感情のでんぷん質をみわたせば

紫のタルトを焼いてゆく村に

蕪畑現人神が打つコンマ

蛭児神建にあまたの分子式

マヤ暦を虔十にみせ春遅々と

ゴルゴダにさきだっている干菓子折り

電柱の合成写真焼いたあと

不条理の文藝つづくジョン・ウェイン

にじみでる枕詞をさがす鮫

解像のなされる県の歌枕

ふと沈むホーチミン市の鉄啞鈴

タバスコの楽譜の楽士あつまって

メンデルの理論の宿に完治して

国旗みなかくされており鶴を焼く

雨降って川柳句集での雀鬼

ねじまいてはなつ魁男塾

蜘蛛猿の時間に春をたしかめる

スレ立てて日本国旗と化す忍者

溶媒をさとる松嶋菜々子の図

三月のケンタッキーへ地図を描く

海ひろきコミュニケーション障害者

赤旗の菜花ゆがいてばかりいる

鰐鳴くや共産圏の貼り絵して

狂ったな言語学者がすりおろす

異性愛埼京線にガムを買う

貝塚を出てゆくふたりにもちんこ

ピョートルの翳ったほうが煮崩れる

壜を捨てひぐれる宇宙小宇宙

たそがれに還るひとつの微生物

焼香のあとえいえんに海老フライ

篠塚の夜の世界に海老だらけ

産道にペンギン村の手毬唄

大塚の鏡の家を撮りあぐね

雨よふれヱビスビールという母語に

タ行なきタップダンサーとの対話

句の意味をずらしていった春子像

春分の暴君竜をペソで買う

大迷路毬藻ほどけてゆくばかり

菩薩との口臭かわす生身劇

すずなりにウシジマくんの帰る家

ピクニックびよりに呪具の重いこと

手羽先をみせるオバケのＱ太郎

母くさし南島論を書きあげる

父の名にコイルを埋める魚拓集

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