わたしの死含み怪獣映画祭

ラーメン屋わたくしとなる映画論

川合家が粉山椒につらぬかれ

明治語で森の羆に語りかけ

リタリンの尾行が終わる間氷期

変身のあとのオノデン坊や像

一休の一回きりのシトラス茶

死と生と納豆菌の韻を踏む

公案がつづくヒクソン・グレイシー

武士の世に水掻きを売るずうとるび

春浅く象鼻ながし総会屋

湖池屋の呼名をずっとくり返す

オカルトの字数数えるひるごはん

あぶさんと同語反復するとろろ

死と生とあと何頭の河馬をみる

柴錬が甲殻類を逃す窓

地動する鴨長明らのミルク

バスタブに愚者のあつまる摂関家

意味と云うこんにゃくを煮る和久井映美

長文の川柳とどく昼近し

バスケットシューズ手放す錣山

茶の本を鋸山に読み捨てる

世界屋に安田忠夫の長い縄

学ランにひそますための石器買う

エンディング・ノートを予言者と埋めて

ザ・ぼんちの大学中に水素成り

ベルボトム焼き合うときのにがい米

花田家に花田家あらず量子論

主語としてどんぶり刑事コーラ煮る

海老逃すミルククラウン崩壊後

マタマタの爪に触れたる擬似記憶

スパルタンＸの日に犬を飼う

ロボットの街いっせいに針供養

エマニュエル夫人と甲羅比べつつ

三蔵の短詩となえて天城越え

フラクタル理論に犬としゃぼん玉

しゃぼん玉ホリデーのいま象を撃つ

ハイヒール渇仰者らの月旅行

螺子を塗るバレンタインの日の前に

キャパが撮る鈴木自動車麦を踏み

ゆるキャラと存在論をたたかわす

茨城のフェイク・グリーン擬声化し

緯度のなかモンゴル相撲終わらざる

腐敗したエジソン界に垂らす美茶

偽と真の大森さんの森を出る

展翅する小島よしおの背のすがた

神経に電流走るはなれ瞽女

狂人の社会を閉ざすプーアル茶

保護室のアルジャーノンに雪解けず

うで卵うでてマカロニウエスタン

地球消えイスカリオテのさわら焼く

猫屋にてブラヴァツキーの春歌考

鳥取にしいたげられて居るあなた

鳥葬のすぐあとだったコーヒー屋

ＢＥＭを描く胎内記憶すべて捨て

ニューヨーク市警と同じ春の雪

絶叫の川柳を詠むオノ・ヨーコ

雅号付く草間彌生のショベルカー

アストラル体をあらわす雪だるま

大田螺知能指数のままに煮る

酢飯炊くごとき霊界物語

ピジン語や論争つづく柳と俳

ソヴィエトの両面待ちをデジャ・ヴする

柳人の忍者部隊が居ない春

亜墨利加の童謡なぞり雪の果て

赤坂の相撲選手にダダ果てる

誤訳書に三島のスター・ウォーズ終ゆ

蛸飯屋戦時双六持ち寄りて

ひとよ泣け地球のうえにのどちんこ

アマゾンに火宅の人の宇宙門

砂肝が銀河帝国にて腐る

戦車来て止まる週刊欽曜日

怪獣のカプセルを割る雁の寺

中世の春に憑かれる針すなお

ブニュエルが重ね撮りする蛸の村

ごんずいに架空人名あてはめて

四苦として健三郎が書くラピュタ

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