母捨てて葱釘生えるすもうとり

原子打ちフリー素材の偈をつかう

横綱のワンタンと云う強迫し

高橋も尊師も居ない夜に逃げ

たらちねの母星に還る多脚の種

あしびきの山嶽映画磁気放つ

戦場の餅にアダルト言語学

荒川を埋める少年論理学

沈黙の星にて花柳小説家

地球燃え三船一家のみな流刑

愛人のビデオドロームでの袱紗

狂いつつたまに布巾を持ち帰る

等圧のドリフターズが卵産む

バナナにて鮫の死なない日がつづく

隣県の馬鹿大将の鏡割る

ソユーズと学園祭に芋煮えて

不壊なりき最低人のビスケット

パンの木を視る辰年のショーロホフ

シャーロック・ホームズが刷る擬脚本

猿股の完全映画はねて居り

夕焼けをみないサルマン・ハシミコフ

ＵＦＯに自慰するものの窓格子

ユーラシア志村喬の色を塗り

ぬりかべのｎを実験するさなか

ボクサーの全能感ず冬の雨

犠牲点一点に向け透視図絵

超人が逗子海岸に洗う芋

七味かけバカセの居ない葬儀場

皇國にあぶさん像が佇つ陽暮れ

代打者の脱臼ひどし死を知らず

ナウシカの死後の世界に球丸し

音読みの日本沈没するあいだ

ドサ健のダミーあふれる令和町

空間にトーベ・ヤンソンとの将棋

弱者への愛満月にころしつつ

われの狂サ行変格活用し

われの狂ドミノ落としを確とみる

ピクセルを数えて夜もすぐ終わる

わたくしをクレイアニメに現象す

苔寺のネス湖湖畔に建つ化身

肉まんも溶連菌も在る此の世

戦前のレッド・ツェペリンみくらべる

滋賀県に劣等感の缶スープ

野良犬が砂浜知らず寒の朝

ステファンの携帯食をぱっと視る

ＵＦＯが次つぎ降りる事実婚

謎謎の誤題を出され暗い朝

納屋に在るポパイの蔓が非対称

レスラーの空白の地に説明句

００７に寄せる長恨歌

警部らのナナの舞台が暗い朝

シベリアに文化放送うつくしき

精神のチキンスープに倭の言葉

母捨ててグラタンを煮る町外れ

長い夜生姜紅茶を二度聴きす

闇重し頭脳のなかの戯画やぶれ

風の歌街頭テレビ直しつつ

バター溶く村上春樹速読者

日時計を停められノーム・チョムスキー

血まみれのじゃりン子チエを雑記する

モツを焼く地球空洞論論者

レタス噛む時を大化の改新し

塾生がいっせいに描く斬首の絵

小火立ってアルミホイルを叩きつけ

パタリロの象の音楽録りなおす

片脚の玩具修理者立つ朝陽

冬蚊来る稲川素子事務所から

マイルスに泣き語りするごんぎつね

佐清の踏切板を隠す母

ケ枯れして天井裏のカウボーイ

異母を持つ気象予報士ふたり死す

闇堕ちの森鷗外の目に凍土

チェーホフを酢漬のとおり理解する

アントニオ猪木の塔に視点変え

精痛のバカボン囲む菩薩都市

春麗を教祖がくばる春隣

五男来て片手ひろげる氷の世

叔父子らの怪獣愛を発句する

土井美加の声の網ごと憤死する

たらばがに大葬祭の服選ぶ

虫の死の模様を描く栃木県

餓鬼ふえて勘ピューターの設けかた

殺し屋のはるのポジティヴ・シンキング

ゆるキャラの学派わかれて初晦日

網に触れ電気小説終わりけり

非電波をカナダ国民へと向けて

畳屋に雀鬼が死んで居るジョーク

とろろ摺る所ジョージの脱獄路

久作のボートが無人なお無人

幕切れにひらかれ冬の日除傘

喪神にアンパンマンを換えて置く

蘭丸の脳おとろえてゴムを切る

軍港にあがた森魚のビラ貼られ

畜生のアンダルシアにチャクラあき

サイボーグ九人で汲んだ玄米茶

冬の晴モハメド・アリに釘を貸す

反聖歌ながれる鯉をぶつ切れば

別宅に水戸納豆のピアノ弾く

心病む老人たちのキウイの木

魔術師はストックホルム組み立てて

大菩薩峠雲型定規手に

#川柳 #詩歌 #エンターテインメント #母 #釘