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ラジオ・デイズ(とりかへばや物語)  川柳66句

柔らかい個人主義者のうるうの日

英霊にばらんを与え雪のまえ

フロイトを超えて今夜の雪が降る

裏ドラに聖書やぶけて居るあいだ

全焼の工場長と文かわす

虚構主義ワンタンいまもすすられて

低酸素にて雨乞いの手順踏む

ミッキーが巣穴に隠す卵うで

いつまでも冬の家郷にザップ・ガン

跛行論トモエ学園焼き討ちし

さるすべり悪の法華経読みつがれ

重語してパー子恐水病を病む

手淫者の群れがひとつの屋根の下

みやしろのアルミニウムをもらう日は

蠅生れて非ユークリッド皇太子

なぞなぞにカルト宗教家の移項

薔薇園の過去を麩菓子に換えつつも

関脇の非在おこなう膣のなか

夜の木につながるまでのめんたいこ

受難節火盗改メしていると

ナボコフの惑星裏に時つもる

小脳とマグネシウムとみぞれれば

ねこぢるの裸の昼餉いま終わる

ポリゴンの訪れているとろろそば

アムウェイの意思を衛星軌道のせ

空間を歌人将軍釣りたおす

群象のセクシャリティにふれて春

棒が立つ露西亜映画に二月尽

恋びとのオゾンに穴があいたまま

靴浮いてだれと乗り込む靴の舟

係数をはじめにつかう志村けん

時を超え半密室のドアひらく

ヒラガナもかたかなもない海底家

江戸雪の路上観察すすむなか

ススムちゃん大ショック後の桃の花

ソラリスの海の限りの瓜畑

複眼に寺の名前がまたうつる

チルチルを解凍中の母の死よ

手毬唄架空のげそであるように

神に名をつけず麦酒のモニュメント

だいすきななべやきうどん現象し

マルチーズどもの都会にうるう年

痴愚の環を外さなかった京ことば

槍烏賊と前後左右に同じ文

寸止めのモンゴロイドがかすむなか

大映の氷の都市にスウプ澄む

若者のすべてあざむく回遊魚

ゴードンの世界の螺子がなにもない

普遍語で言うと亀甲縛りけり

ジャンク屋に路地せまかりし蝶をみた

犬死にの「死」を定義する伊那市市歌

死火山をめぐるアンテナショップまえ

寄席に出るただしいコリン・ウィルソン

店長のスワン・ソングのみぎひだり

無菌都市ウルトラマンの鼻呼吸

石として鏡子の家の石を彫る

太陽と鉄にまつわるホログラム

隕鉄を鉄橋上にふとおもう

擬古文のつづく水玉螢之丞

ナベサダがどんなかたちとしても在る

ピアノ弾くほうれん荘に狂いつつ

厭な世の今川焼を手でかぞえ

コンセント男の居ない餓狼の巣

ニノチカが峠のたびに待っている

角力語に訳すふらんす物語

天使らの文法上に焼け爛れ


#川柳 #詩歌 #文芸 #エンターテインメント #カルト宗教 #角力 #パー子 #ねこぢる #うるう年

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