旅人が胃酸に溶ける旅日記

菜花売るスポンジ・ボブに微笑なし

宇宙からほほえみまくる紅衛兵

霧のなかただしくひとが焼く祝詞

えんがわを正常人が単に押す

でぶ専とふたりローラーコースター

世界消えひたすら残る紅しょうが

ガウディに失語つづける蜘蛛の糸

避妊具を放哉記念館に買う

アボカドの日が水没の都市のうえ

焼畑をやめるマーダーライセンス

焼酎が果てるあらゆる言語論

ライナスと毛布とおなじ龍田揚げ

宇田川を休職中の尼が待つ

ひたむきに主水がさがす着陸地

万能のボールボーイがいわし焼く

あおぎみる神奈川県のシュミテクト

夜をゆく完全言語つぶやきつ

アメリカの鱒に疲労を告知する

団地にて団鬼六の撰を編む

君たちの生くりかえす小判鮫

天然のパーマとさとる鳩サブレ

蓮舫へ声紋ヲタク這い寄りぬ

たたきわるレプリカントの大尿瓶

あ行からな行にうつる薄力粉

セム語にて云わずＧジャン・シンデレラ

ゆで終えて女か虎かゆで卵

校庭の菊のかたちを聴きつかれ

ラノベ書く55号のいない部屋

人工の釈迦に乳歯のはえそろう

時間線人形展にかえれない

ものがたり三頭制に獏をかう

銅貨曲げむかしばなしがはじまった

畜生の発明に似て水に似て

いとこ煮が反文学の世に在らず

蛸飯やひかり光速にてはしる

栗鼠を飼い殺しするまでアダムの語

重力が言語学者の鉢にある

ぴぴぴよとモーターショーを写生する

大いなる眠りにカシオ水時計

蘭鋳をほじくりかえす出来レース

春のなか不在の猿の部屋とじる

うつし世に遅れたものの袋とじ

鳩胸について近代狂句集

静止画の鉄観音に咲きみだれ

時間内時間に春の海の家

渦銀河永井一郎すでになく

水筒におなじものあり破滅の日

繭玉が民明書房にふくらむ

地球いま黄昏れておりぶどうパン

黄金比赤いきつねをａとして

祝詞なしパラドクスなし地球光

寝室と矛盾の部屋に矛盾なし

錯誤して伊丹市というカツカレー

自慰を知るカツオの家につくも神

青酸をやさしい人とふりかける

晴れた日へ連想不能なる歌留多

南部式へと絶対の岩清水

はっさくにとどまっている箱男

雑種犬死にたしトビー・マグワイア

教頭の畸型にさらになごり雪

ベーシストたまごうむべし春の夕

鏡子から逃げる大関経験者

春昼にカマクラさんのきらう猿

少年を演じる老女たちの釘

うどん粉のかなたわが友ヒットラー

鰻丼を言語によって語る日は

太陽に犯罪学者箸をかえ

猫つぐらばかり洗脳する陽暮れ

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