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iPadOSが広げるフォトグラファーのクリエーティビティー(後編)

後編は主にiPadをサブディスプレーとして活用できるSidecar機能について日頃写真を生業としているフォトグラファー視点で書きたいと思います。

フォトグラファーに必須な編集デバイス
近年フォトグラファーの仕事は(特に広告やコマーシャル分野で)撮影のみならずその後の編集(レタッチ)まで領域が拡大しています。

予算があればプロのレタッチャーを雇って撮影後の仕上げの部分を任せることもありますが、大まかに言ってフォトグラファーも仕上げまでをPC上で行うことがほとんどだと思います。特に、自分のパーソナルプロジェクトではほぼ自分で編集をしているのではないでしょうか。また、逆に仕上げを念頭に、それにあった効率の良い撮影を行うこともあります。

ますます撮影の「その後」が作品に大きなウエイトをしめている昨今ですが、道具としてWacomに代表されるペンタブレットを使用して追い込むのが一般的になりつつあります。

最近では液晶モニター上にそのまま専用ペンであたかも絵を書くように補正を加えていくいわゆる「液タブ=液晶タブレット」の進化も目覚ましいものがあります。

ただ、価格の面ではまだまだ高価で、基本OSがWindowsであるためUIやタッチ操作性はこれからといったところ。あくまで写真編集やイラスト、絵を書く用途とに特化している印象です。

液晶タブレットがより身近に?
そして、今回のSidecar機能。未だ詳細と使い勝手はわかりませんが、Macユーザーであれば手持ちのiPadが液タブになる、いや、それ以上の可能性を感じさせるアップデートとなるのではないでしょうか。

ひつ前の記事にも書きましたが、iPadはある意味予定調和的に液タブ化はしていくと思っていました。iOSディベロッパーのDuetやLuna Displayも古くから同様の機能を提供しています。

ただ、今回Apple自らMacとシームレスに連携するサブディスプレイ機能を提供する発表はWacomなど専用機を提供しているメーカーにも非常に大きなインパクトがあると思います。

フォトグラファーのワークフローの観点から考えると、iPad上でApple Pencilレタッチが完了してしまうことも非常に使い勝手のよい液タブを無償で手に入れたこととかわりがないかもしれません。

Apple Pencilのレイテンシーが20msから9msまで劇的に改善したことも、iPadがクリエイティブツールとしてプロフェッショナルユーザーにも訴求しようとしている意図を感じます。(今年中にはフル機能をもったiPadOS版フォトショップが登場予定です!)

そして、同じメーカーの作ったMacとiPadはディスプレーの色味も非常に近く違和感なくサブディスプレイとして使える安心感があります。

フォトグラファーのクリエーティビティーを刺激するiPadOS
以上、前編・後編として今回のiPadOSの発表に関して書いてきましたが、デジタルカメラとの接続性の改善とサブディスプレイ化はこれまでともすると現場で煩雑になりがちなテザー撮影をより簡単にし、Sidecarで編集の効率を飛躍的にあげるポテンシャルをもっていると感じます。

言い換えると、フォトグラファーのイメージをより確実にかつ詳細に実現できる土台ができたことで、わたしたちが目の前のコンテンツに集中して創造的な仕事ができるようになるのではないでしょうか。

これからすべてのフォトグラファーが自分のクリエイティビティーをどんどん発揮することを願っています。

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