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【番外編】自分を作ってくれた曲③:浜田省吾『路地裏の少年』

こんなに良い曲があるのかと思った。

私がこの曲を知ったのは2014年の春。26歳のときである。そして、どうやらこの曲のリリースは1976年らしい。38年も経っていた...

知ったきっかけは、YouTubeのオススメ。Bank Bandがカバーしてた『僕と彼女と週末に』の原曲を調べてたら突然上がってきた。なんとなく聴いてみたら衝撃を受けた。初めて聴いた時から心を掴まれた。
「共感」ってこういうことを言うんや、と思い知った。

若い頃って別れとか悲しみという事でさえ経験した気になってカッコつける。いつかスゴイ人になるんだという根拠のない漠然とした自信がある。でもやがてそんなものは打ち砕かれるという"挫折"をテーマにした曲だ。

大事なのは、ここでいう"挫折"は、勝負に負けたとか、何か大きなことを諦めたとか、そういう事ではなく、多くの人が20代前半に経験するであろうゆるやかな諦念を表現しているという事だ。

自分はきっと特別だ
将来はなにか煌びやかに変わるはずだ

そんな事を誰しも一度は思った青春時代があるんやないだろうか。でも、やがてそれは幻想であることを知り、自分の身の丈を知る。
そして同じ時期に人は、本当の別れとか本当の悲しみを知る。カッコつけて「恋人と別れて傷心中」なんて言ってた高校生時代には想像もしなかったことや。

自分の身の丈を知る事。でもな、それは悲しいことのように見えてそうでもない。なぜなら、そこには慎ましく暮らすことの美しさがある。そして、もしかしたら本当の愛というものに巡り合っているかもしれない。
それらは全部、路地裏で起こる。路地裏から出て大通りに飛び出すことはなくても愛情に満ちた日々を生きることができる。

青春時代の可笑しさと、悲しさ、愛おしさ、
それらが、等分に、そして不可分に、混ざり合った名曲やと思う。

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