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新卒採用バブルはいつまで続くのか?

さて、4月も半ばを過ぎて、学生の入学式、社会人の入社式も一通り済んだ頃。昨今の少子高齢化で、新卒一括採用の企業側のハードルは上がりぱなし。新卒の初任給も上げないと学生に見向きもされない。新卒初任給を上げたら上げたで既存の社員側から不満が出る。等など・・・

そんな、入社式で異彩を放ったのが総合商社の伊藤忠の入社式。

何をトチ狂ったのだろう?ピアノ、生演奏ぐらいは、まー、許容範囲(でも、正面玄関入口ではナンだが・・・)としても、ダンスで踊るのは、ぶっ飛んでいる。(実際、動画で見ていただければわかるようにこの女性のダンサーは跳ねているが・・・)

他には、今の時代の流れなのか、入社式に父兄同伴というのもあるらしい。

ちょっと、我々の世代からは考えられない。学生を卒業して社会人になり、入社するって、親元を離れて独り立ちするってことだろ?その入社式に親が付いてきちゃ、まだ親離れ、子離れしていない証拠じゃないか?と思うのだが。

ま、これにも賛否両論。子供側にしても、純に自分の晴れ姿を親に見てもらいたいと言う人もいれば、そんなの恥ずかしくて嫌だと言う人もいる。

今後、入社式に父兄同伴という動きはどうなるだろう?個人的にはネットでリアルタイムで動画配信で親に見てもらうぐらいなら許せるかなー?と思う。

さて、今回の問題は、新卒一括採用バブルがどんどん進んでいることである。

先にも書いた通り、新卒初任給がどんどん上がっている。昨今の賃上げブームも既存社員向けの賃上げは殆どニュースにはならず、新卒初任給の賃上げばかりに目が向けられている。ホント、既存社員向けの賃上げはどうなっているんだろう?もう、会社員を辞めてしまったワニにはどうでもいいことだが。

そんな、新卒一括採用バブル、圧倒的な売り手市場の中、ひとりの学生が複数社の内定を貰うのはもう当たり前。2社、3社(もっと?)の中から天秤にかけて、1社に絞るのである。残りはゴメンナサイなのだ。これじゃ、企業の採用コストも上がるハズだ。

そんな、圧倒的な売り手市場なのか、新卒社員の早期退職が後を絶たない。まさに武勇伝、大喜利状態である。

早期退職と言うよりも・・・入社式前に退職した人。そもそも、入社式に来ない。連絡すると「退職します」って・・・まだ入社もしていないのに・・・
という最速ぶり。F1レーサ、故アイルトン・セナ(古!)もお墓の中でびっくりである。

  • 入社員が出社して2時間でいなくなり1時間後に親御さんからもう辞めると連絡があった

  • 弊社新入社員24人、2日目にして残り18人に

  • 初日に電車賃がないので出勤できませんって電話してきてそのままやめた

  • 「ちょっと車にタバコ取ってきます」と言って、そのままバックレた

等などの武勇伝も現れる始末。

退職RTA(リアル・タイム・アタック:短時間でクリアを競う)と言う言葉も生まれる始末。

過去に、入社初日に会社支給のガラケーを渡され、それが嫌でエスケープ。そのまま退職という武勇伝もあったが。

まー、気持ちはわからんでもないが。個人所有としてガラケーは今時の若者であれば死ぬほど恥ずかしいんだろうな。きっと。

だが、会社支給なんだからしょうがないだろ?だいたい、仕事の連絡に使うのにスマホの機能必要なん?ガラケーでも十分やん?とオジさん連中は思うのだが、今時の若者は違うんだろうか?ガラケーを持っているところを友達、彼女、彼氏に目撃されるだけで即死なんだろうか?

私ワニはバブル世代で、就職活動もバブル期の真っ盛りのころだった。工業系の学校だったが、同期でも就職試験はほぼ一発合格。落ちる人はほとんどいなかった。入社試験は受ければ受かるものである。そんな、感じだった。

が、今の新卒採用バブルのような武勇伝はなかった。

早期退職もあったことはあった。バブル期だったのでコンピュータメーカ、ソフトウェアハウスでも新卒が足りず、明らかに適正が違う文化系の学生も採用していた。文化系卒の新人でも、周りについていける人はついていけるのだが、どうしても脱落組が出てくる。

なので致し方ない早期退職なのである。

今の新卒採用バブルの武勇伝のような話があれば、当然、企業から学校にクレームが行くので学校の看板に傷がつく。その後に続く後輩の就職に影響がでるので、学校側としてもそんなことはさせない。

バブル期はバブルだったけど、一応、それなりの良識はあったのだが。今は一体なんなんだろう。

一体、こんな状態がいつまで続くのか?

世の中は需要と供給のバランスで成り立っている。

新卒一括採用にしてもそう。採用する企業側が「需要」。それに応募する学生側が「供給」。

その需要と供給のバランスが極端に崩れたときに世の中はおかしな状況が生まれ、非常識な数々の武勇伝が生まれる。

いまは「供給」側が強い売り手市場であるが、そんなに昔ではない、就職難、就職氷河期という時代があったことを思い出してほしい。この時期は今とは正反対。「需要」側が強い買い手市場だった。

この時期は企業の就活の説明会に学生がわんさか訪れ、長蛇の列。説明会の席に座れず立ち見がでる。就職の面接試験で、面接官が学生を追い払うのに無茶な質問、女子学生にセクハラ質問して、女子学生が泣いて帰った。といった、今とは全く逆の武勇伝があった。

その当時は企業側が学生を評価して落とす立場だったが、今じゃ学生側が企業の面接官を評価し、「あの企業の面接官は印象悪かった」なんてSNSに書かれてしまう時代である。これじゃ、どっちが面接しているのか?

これも需要と供給のバランスという話をしたが、需要と供給のバランスはシーソのようなものである。一方に永遠に傾きぱなしということはない。ある一定サイクル(ん10年かも?)でシーソーのように傾いている方向が変わる・・・そういうものである。

事実、就職難、就職氷河期が今から約20年前、そして今の新卒採用バブル・・・私ワニは、新卒採用バブルはこのまま永遠には続かないと思う。どこかで頭打ちになり、形勢逆転。今度はシーソが逆向きに傾き始めるときが来ると思っている。

じゃ、それはいつなのか・・・?

私ワニはそれには日本の雇用制度、ジョブ型雇用が絡んでくると思っている。ジョブ型雇用はまず、職務(ポジション)ありきで、そこに人を充てる(募集して応募してきた人を充てる)制度である。

そのためにはその職務の条件(キャリア、能力)を満たさないといけない。そうなると、新卒は学生を卒業したばかりで何のキャリアも実績もないので不利になる。職務の条件(キャリア、能力)にぴったりカンカン(古!)でマッチした人を採用したいのであれば、どうしても中途採用になる。

事実、ジョブ型雇用が主流の欧米は日本のような新卒採用バブルにはなっていない。学生は在学中にインターンで企業で働いてキャリアを積み、能力を認めてもらうか、卒業後、ビジネススクールに通って、スキルを身に着けながら、就職活動するのである。

日本もこのような状況になれば・・・シーソは今のような「供給」側に一歩的に傾いた状態ではなく、平衡でやや「需要」側に傾いた状態でバランスを取っている状態になる。

そうなるには・・・

日本の雇用制度でジョブ型雇用がどこまで進むかが鍵であり、これがまた未知数である。

私ワニは日本のジョブ型雇用の導入はいくつかのパターンに分かれると思っている。

  1. ガチ・ジョブ型雇用(欧米と同じ、だがこれは少数派)

  2. 日本型ジョブ型雇用(日本流にアレンジしたジョブ型雇用、殆どがコレ)

  3. なんちゃってジョブ型雇用(見かけだけ)

  4. 全くやらない(JTCの真髄)

3.、4.は論外だろうが、1.、2.がどこまで進むのか?それによると思うが・・・なにしろ、かなりの未知数である。

早期退職も全てがダメで非難されるものではないと思う。未だブラック企業もあるので、そういった会社に入ってしまった場合は、自分の人生をダメにする前に早期退職もやむを得ない。

しかし・・・
まだまだ学生でこれから何年後かに社会人になる学生達。今のような状況が永遠に続くとは思わないほうがいいと思う。あくまでも常識、モラルのある行動を取るように努めてほしいものである。武勇伝はtwitterのネタにしかならない。



100ワニをパクって退職エントリでバズろうとしたけど、全然バズらなかったワニ。 副業のオファーあればよろしくお願いします。 Twitterのフォローもよろしくおねがいします。@180wani