落胆 近代文明の進化

 近代は近世や中世からは進化していると思っていたが、どうやら間違いのようだ。

貧困が支配している

 人類、いや、生物の全ては飢餓と闘う。
 人類にとって、拡張された飢餓が貧困であるともいえる。
 飢餓は自分や家族を脅かす『目の前の災害』であり自然の摂理である。
 だから、人類は飢餓に、そして貧困におびえ、嫌悪する。

貧困と飢餓への恐怖が
人類の活動の全てを支配している
 今でも

 アフリカから全世界へ人類が広がった一因は、優勢な一族に迫害された者飢餓と貧困(と迫害)から逃れようとした結果ともいえる。
 ロマンティックな『新天地へのあこがれ』よりよほど大きな動機である。

 ゲルマンの大移動も、彼らを追い出した民族をも含めての、飢餓と貧困への恐怖である。
 征服・侵略の奥底には、飢餓と貧困への恐れが蹲っているのだから。

 大航海時代のヨーロッパの世界支配も、貧困を恐れた王族たちのヨーロッパ以外への逃げの一つである。(ともいえる)

 第二次世界大戦までの近代の戦争すら、資源へのあこがれという貧困への恐怖の裏返しの感情が引き起こしたものともいえる。
 ヨーロッパ内で勢力争いに不利になった国が、外に活路を求めた。
 国間で不利になれば衰退がはじまり、侵略されるのが世の常であったからなおさらである。

貧困におびえる指導者が未だに多すぎる

 ロシア、ミャンマー、シリア、チェチェン、そして中国。
 専制国家といわれる。
 そして、その支配層はいまだに『貧しかった・虐待された・劣等感にまみれていた幼少時の悪夢におびえながら政務に臨んでいる』
 民主主義の最先端と自賛するUSAでさえ、先の大統領は自分の地位と財産が減ることへの恐怖が自分を動かしていることにすら気づいていない。
 トランプの場合は少し説明が必要だろう。
 裕福に生まれ、他人の上に立つことが当たり前の世界で彼は育った。
 彼にとって、財産が脅かされることや地位が脅かされることは飢餓や貧困への恐怖と同じ感情なのである。
 自分の世界観に埋没し、他人の世界観を認めることで『自分が変化することを恐怖』している。
 いわば、自分の世界観という土中の穴に頭を突っ込んで周囲の現実を無視し続けるダチョウと同じ心理である。

恐怖が出世の最大の燃料である

 日本やアメリカ、西欧に生きてきた人間には想像もできない、これらマイナスの要因の世界観を持つ者は、緩やかな世界で育てられたものには想像もできない『出世への動機』を持っている。
 心理的には、彼らは常に崖っぷちに立っている。
 失敗すれば貧困へと戻ってゆくという、恐怖の断崖の際に立っている。
 だから、成功すること・組織内で出世すること・指導者になること・競争者を滅ぼすことに対して異常な努力を怠らない。

 真の意味での貧困や飢餓を『知らずに育つ者』たちが、彼らに対抗できいるはずもなく、恐怖に動かされる者は『あらゆる手段を使って』トップに立とうとし、高い確率でそれに成功する。
 能力で劣っても、日々努力する者が勝利する確率は高いのである。

 このような指導者・大統領・首相・・・は、徐々に減少してゆくものだと楽観視してきた。
 ここに、間違いがあった。
 世界は間違いなく豊かになっているが、豊かさの方向が間違っているようだ。

しかし 恐怖ではなく
理性を動機とする者も確実に増えている
今が一つの過渡期なのだろう


 いや、いつでも『今が過渡期』なのだが。

bye

ありがとー