Mother

子どもは親を選べない
その言葉の意味がわかる映画だった。

「何故しゅうへいを救ってあげないのだろう」そう思う私も、現実では見て見ぬふりをしてしまう大人の1人になるのだろうか。

無責任に子どもを産み、所有物のように扱う母親に、
「自分には母親しか居ない」という感情から
「母親には自分しか居ない」という感情へ移り変わっていく様は胸が痛くなった。
その一方で、
「お前には私しか要らない」というようなあまりに身勝手な母親にどんな感情を向けるべきか分からなかった。

成長して母親より力もある青年が、きっと真っ当な父親より母親を選び、逃げられるかもしれない状況でも母親について行き、どんな命令にも従ってしまう。それほどまでに母親の歪な愛が彼には届いていたのだろうか。

彼は12年後、どんな気持ちで外に出て、どんな生活を送るのだろうか。
母親は、12年の間何回彼のことを思い出すのだろうか。そして、彼がいない12年をどう過ごすのだろう。

実際の事件を調べてみると、
彼は刑務所の中でやっと勉強に取り組めるようになったと綴られている記事を見つけた。
彼はいま何を思っているのだろう。きっと一生かけても治らないその傷を誰が一緒に背負ってくれるのだろうか。
そんなことを考えさせられる残酷な映画だった。

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