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【感想?レビュー?】メトロイドドレッド メトロイド最新作としての理想像と、メトロイドヴァニアへの迎合

こんにちは、なるぼぼです。

先日、PCが壊れて大変困っており、Amazon欲しいものリストを公開して乞食をするというトンデモない愚行を犯したのですが、その際になんと「メトロイドドレッド」を送っていただきました…!
ホントにありがとうございます。

で、そのギフトメッセージに「感想書いてください!」と書置きが。
任せときんしゃい!と言わんがばかリの勢いだったのですが…。

う~ん、個人的にこのゲーム、賛否両論あってもおかしくないと思うんですよね。
正直クリア後の感想は「微妙」なんです。
色々とお話していきますが、割と批判的な視点も入れながら話していくことになりそうです。
そういう感じになるということだけは認知しておいていただければと思います。

一応メトロイドシリーズのプレイ遍歴から。
初代、2(GB版)、フュージョン、ゼロミッションはすべてクリア済みです。
スーパーメトロイドは途中までプレイ、プライムはハンターズを除いて未プレイ、Other Mも未プレイです。
一番好きなメトロイドは「フュージョン」です。

遍歴はこの辺で。
それでは早速いきましょう。

1.新しい解釈と感じた「ありがたみ」

本作を語る上で最初に言っておきたいのが、「取れるアイテムの順序」です。
本作は歴代メトロイドと違って、アイテムの順序が絶妙なタイミングで入れ替わっています。
僕はそこに、「アイテムのありがたみ」を感じました。

本作の入れ替わりの筆頭として、「モーフボール」があります。
モーフボールはしゃがみの等身のまま移動できるという能力で、多くの作品でサムスが最初に手に入れるか初めから持っているアイテムです。
なので、基本的にモーフボールは「持ってて当たり前」の能力であり、そこまで重要視されるものでもありませんでした。

しかし、本作ではプレイ1時間半ぐらい、序盤でも比較的遅いタイミングでモーフボールが手に入ります。
おそらく新アクションである「スライディング」を有効活用するためでしょうが、それでも普段モーフボールで行けるような場所に通れないということは、プレイヤーにとってもストレスになります。
僕も最初の方は「モーフボール無くて通れないんだけど!」と怒り心頭でした。

しかし、いざモーフボールを取ってみると、世界が一気に開けました。
行けなかったところに行ける。
しかも当たり前のように通れていたところに、時間をかけてようやく通れるようになったのです。
これは凄い解釈です。
今までメトロイドをプレイしてきたユーザーであればあるほど、モーフボールで行けない所には「行けるようにしておけよ」とストレスが溜まります。
しかし、一度手に入れていけるところが増えると、モーフボールの「ありがたみ」を再認識できるのです。
これは凄い。
今まで当たり前だったものが使えないストレスと、それを絶妙なタイミングでほどくことによるプレイヤーへのアビリティの「再理解」の要求は、本作のバランスの良さを示していると思います。

2.あまりにもアツすぎるストーリー

本作最大の特徴は、僕はストーリーだと思っています。
とにかくストーリーがいい。
これにつきます。

本作のストーリーは、初見の人にはお勧めできないレベルでの地続きの内容です。
フュージョン、スーパーメトロイド、メトロイド2の内容は最低限理解していないと、本作のストーリーに没入することはできないでしょう。
敷居の高さを感じます。

だからこそ、それを全てやったうえでこのゲームを遊ぶと、あまりのストーリーの奥深さに感動するのです。
Xの再登場にも打ちひしがれましたが、鳥人族の過去、DNAとして旅を続けるベビーの遺伝子、隠されたサムスの真実など、あらゆる部分で本作と過去作が結びつき、プレイヤーを飽きさせません。
「お前、そうだったのか…!」となる展開が目白押しです。

特にいいのがクワエットローブとの一幕。
鳥人族とレイヴンピークの過去が明かされ、ストーリーが大きく動くシーンです。
ここはサムスが喋るシーンなのですが、後ろで流れるBGMがスーパーメトロイドのイントロなんですよね。
決意溢れるサムスの顔と相まって、めちゃくちゃ盛り上がるシーンです。

あと、過去作をやっているからこそおかしな点に気づくこともあります。
流石にどことは言えませんが、「なんかこいつおかしいな…?」と、過去作プレイヤーの方なら思うでしょう。
多分あなたの想像は当たっています。
あと、開幕の「異論はないな?レディー。」は泣きました。最高。
アダムはまだいたんですね。嬉しいです。

3.EMMIステルスの不快感は「面白さ」に変わる

さて、本作の特徴として「EMMIによるステルス」は欠かせないでしょう。
個人的には結構評価しています。

シンプルに考えれば、探索2Dのステルスは妨害です。
他のゲームでやれよ!と言いたくなるぐらい、移動を制限されるので不快感が伴います。
しかし、本作はEMMIを倒す瞬間があること、そしてクロークによる安全移動があることで、新たな能力を楽しみながらも、ステルスとしても楽しく遊ぶことができます。
また、EMMIに対して(高難易度ではあるものの)カウンターを出して即死を回避することもできるので、ギリギリのチャンスを楽しむこともできます。

あとはキャラコンを鍛えられるのが良いですね。
初期のEMMIは比較的キャラコンを駆使すれば楽に逃げ切れるので、サムスの超高性能なレスポンスと相まって「サクサク逃げられる」という楽しさも付随しています。
捕まったり思ったように動いてくれなかったりと不快感を感じるシーンもありますが、EMMIとの逃亡劇はキャラコンやクロークを楽しむ、ステルスとして面白く仕上がった内容になっていたと思います。
またメトロイドの本来のバトルとも違うので、飽きさせない作りをする上でも大きく貢献していたと思います。

4.誘導の難しさ

本作の探索の特徴として、「誘導」というものがあります。
メトロイドシリーズのアイテム回収と、その利用における絶妙な関係値は、「誘導」の上手さとして表現すべきものです。
しかし、本作の誘導は正直微妙なものだったかな…と思います。

さて、その誘導とはどういったものなのか。
例えば、ボムを手に入れていけるところが増えたときに、「あ、そういえば行けないところがあったな」と思い出せるというものです。
これを効果的に発動するためには、「思い出せるぐらいのギミック量」が重要になります。
要はアイテムを使うまでの道のりを、使う所を記憶し続けられるぐらいの距離感にしておきながらも、飽きさせないような絶妙なギミック量にする必要があります。

ただ本作は、アイテム入手後にどこで使うのか忘れていて「これどこに行けばいいんだ…?」と迷うシーンがちょこちょこありました。
フュージョンやスーパーではまず忘れることなく「あ~、ここで使うよな!」と思い出せるんですけど、今作は割と忘れていました。
なぜなのか。

一応理由として「ボス戦がタフ過ぎて忘れる」「アイテムのトリガーが雑」といった理由があるんですけど、最大の理由は「マップの広さ」だと思います。
マップが全体的に広すぎる気がするんですよね…。
規模としては歴代と大差ないような気もするんですけど、EMMIエリアによるステルスの要求とか、一方通行のエリアが多過ぎることで、迷っていたシーンが増えていたような気がします。
そのため、「どこ行けばええねん」という事態がそこそこ発生します。
特に、スピードブースター獲得直後とかはかなり迷いました。
ブロック周りを積極的に調べないとわからなかったりとか、ここ絶対怪しい!みたいに主張してくるほどでもなかったりするので、迷わされましたね…。

5.アイテム回収の一貫性

本作のアイテム回収について。
今作のアイテム回収はかなり微妙でした。

というのも、アイテムを使って取らせるという過程があまりにも一辺倒なんですよね。
今までだと「ボムを使って先に進む」といった、その場で手に入れたものを使ってアイテムに回すだけでなく、「アイスミサイルを使って足場を作る」とか、「キッククライムでもスペースジャンプでも取れる」とか、「実は通れる通路があって、その先にアイテムがある」とか、豊富なバリエーションでアイテムが配置されていました。
だからこそ、色々なギミックを試していく探索の楽しさや、クリア直前のエリア巡りがメトロイド特有のアイテム回収の楽しさとして存在していました。

しかし、本作はゲーム中の探索の大半が「行けないハッチを行けるようにする」ためのアイテムになっていて、「アイテムを取るためのアイテム」がスピード―ブースターぐらいしかありません。
アイスミサイルも登場はする物の、「特定のブロックを壊すもの」でしかなく、アイテムを取るという用途に使うことはほぼありません。
そのため、クリア直前のアイテム探索のバリエーションがなく、「こんな見落としがあったのか!」と言ったような発見がありません。

しかも、スピードブースターで回収するアイテムは歴代からずっと「高い操作テクニック」が要求されるタイプのギミックになっています。
歴代ではそういったポイントは多くても2つか3つ程度だったのですが、本作は「存在するすべてのエリアに1か所はスピードブースターを使ったアイテム回収がある」という配置になっているため、マップごとにめちゃくちゃ難しい操作を要求されます。
これ、ホントに辛かったです。
最後の探索は「アイテムをすべて手に入れた無双状態」でマップを歩ける面白さも魅力になるのですが、それを凌駕するぐらい「テクニックでアイテムを取るのが辛い」と思ってしまいました。
最後の最後、ラスボス前のアイテムもスピードブースターだった時はもう諦めてボス戦に行きました。

別にスピードブースターのアイテムが全部嫌なわけではないんです。
バリエーションもなく、難易度を上げたいがためにスピードブースターのギミックだけを配置しまくることが問題だと思うんです。
テクニック要求の頻度が高すぎて、正直辛いです。
しかもギミックに関しては難易度に関係なく難しい操作を要求されるので、繰り返し面倒な操作をやり続けなければならないのが本当に苦痛でした。
なんでこんなんになっちゃったんですかね…?
メトロイドって「探索の面白さ」が大事で、他の似たゲームと差別化されていたと思っていたのに、こんな雑なアイテム配置になってしまって、とても残念でした。

6.高難易度化は「メトロイドヴァニアへの迎合」だと思う

今回のメトロイドで一番微妙だと思ったのが、「ボス戦」です。
操作も絡めてお話していこうと思います。

本作、EMMIの影響もあるんですけど、とにかくボス戦が多い。
早い時には15分探索入れたらすぐボスが出てくるぐらい、ボスのスパンがめちゃくちゃ短い気がします。
それこそボスラッシュかと思うぐらい。
ボス、ボス、ボス…。
やってるうちに辛い!と思ってしまいました。

それより辛いのがボスの難易度がかなり高い。
ゲームオーバーはノーマルでも当たり前、パターン覚えて攻撃をどうにかすることが前提になっているぐらい、難易度が高いです。
スーパーとフュージョンはノーマルでゴリ押ししても勝てるぐらいボスの難易度は高くないんですけど、ドレッドは地形を使ってどうにかすることもできず、とにかくパターン暗記が前提になっています。

ボスの難易度が高いというのは2Dアクションとしては深みがあって面白くなるんですけど、僕は「こういうことすると他のメトロイドヴァニアと大差なくなるだろ」と思いました。
メトロイドヴァニアは高難易度化が著しいジャンルです。
「ENDER LILIES」や「Salt and Sanctuary」なんかは明らかにダークソウルを意識した高難易度アクションになっていますし、「Rabi-ribi」みたいに見た目が可愛くても難易度が高いケースもあります。
こうした高難易度化の波がある中で、元ネタとも言えるようなメトロイドシリーズは比較的探索に比重を置き、ボス戦はパターンを読まずとも比較的楽に倒せる程度の塩梅になっていました。
そうしたイメージを持っていたのに、本作は難易度ビギナーでもパターン暗記が必要なぐらいボスが強くなっているので、正直「なんでなん?」と思ってしまいました。

こうした部分に加えて、僕はサムスの操作にある「メレーカウンター」が必要ないと思いました。
メレーカウンターは簡単に言ってしまえば「パリィ」で、敵の攻撃をはじいてダメージを入れられるというものです。
これ、もろダークソウル系統にあるシステムなんですよね。
これがあるこそ、相手のパターンを読んでカウンターを入れるプレイが基本になってしまうので、ボスの難易度が上がります。
ソウルほどではないものの、ボスの中には耐久力が高すぎるのでメレーカウンターが必要になったり、メレーカウンターしないとそもそも勝てなかったりと、なんだかんだ使う必要が出てきます。
こうすることで、結局パターンを読む羽目になり、難易度が上がります。

僕は、メトロイドの独自性を「探索の面白さ」においていて、ボスとのバトルも「その後に手に入るご褒美のための、簡単な試練」だと思っていたんです。
フュージョンはそういった傾向が強く、ボスもそこまで高難易度の設計ではないと思っています(SA-Xとの鬼ごっこは別として)。
だからこそ、完全なパターン要求やパリィがされる本作のボス戦は「巷にあるメトロイドヴァニアと変わらない」のであって、「じゃあメトロイドヴァニアの方が安いしそっちやればいいだろ」と思ってしまいました。
差別化ができてないと思います。

今は、探索2Dアクションはインディー市場が席巻するかのようにタイトルを出しまくっている時代です。
高難易度のトレンドが流行りまくって、敷居の高さもあると思っています。
だからこそメトロイドの最新作には「敷居を下げてくれるかも!」と期待していたのに、結局ドレッドは高難易度化してジャンルの敷居を上げてしまいました。
これでは新作が出る意味がないのです。
本当に、本当にガッカリしました。

あと、蛇足にもなりますが「ラスボスのパターン読みを楽にするためだけに、恩恵のないボスを度々出す」というのもやめてほしかったです。
「鳥人兵士」というボスが本作には5回ぐらい出るんですけど、能力をもらえる恩恵が一切なく、なんのために戦っているのか全く分からないんですよね。
能力取ったら閉じ込められてボス戦とか、倒したら能力貰えるとか、恩恵ありきのボス戦がご褒美プレゼントで楽しかったのに、それすらないボスは「なんのために戦うのかわからない」ために、倒した後の虚無感が強かったです。

7.終わりに

いかがでしたでしょうか。

おそらく周回向けにスピードブースターにしたりとか、ボス戦を多くは位置したとは思うんですけど、僕は「メトロイドらしさの消失」だったと思います。
ストーリーが明らかに既プレイヤー向けだったりと「シリーズやった人向け」のゲームだったので、メトロイドを初めてやるユーザーには相性が悪いんでしょうね。
でも僕も既プレイヤーだったので、合わない人はとことん合わないと思います。
逆に高難易度メトロイドヴァニアとしてはかなりの完成度を誇るので、そういったタイトルが好きな人にはお勧めです。
レスポンスも非常によく、クオリティの高さではトップクラスだと思います。
そういった方には是非。

さて、次回に関しては未定です。
いくつか記事は貯め込んでいますが、どれ出すかはその時その時の気分で決めるので、楽しみにお待ちいただければと思います。
それではまた次回。さよなら~。




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