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【小話】PCを買い替え、思い出したもの

年末。
初めて出た冬のボーナスで、俺はPCを買い替えた。

原因は至極単純で、2年前からのPCの不調である。
すでにスペックで見劣っており新作ゲームが動かないことは承知の上だったが、グラボを巻き込んでゲームが落ちる現象に何度か遭遇したり、明らかにPC起動速度が遅くなったりと不調が相次いでいた。
6年使い続けていたこともあってハードディスクの寿命も危惧していた。

その対策として、9月に買ったのがPS5だ。
PS5ならコストを抑えてハードスペックのゲームも遊べるぞ!と思い、購入に至った。
しかし、致命的なミスに気づいてしまった。
それは、「パソコン自体が壊れると執筆関係に影響が出ること」、「データを直接転送できないこと」だ。
当たり前だが、今のnoteの活動はPCが必須であり、パソコンが逝ってしまっては活動すらふさがれてしまう。
画像管理をするためには相当なHDDが必要になるため、今の擦り切れかけのPCを扱うのは、やっぱり怖かった。

ただ、それ以上の問題もあって、それが「キーマウに慣れすぎてFPSできない問題」だ。
俺はFallout3→PUBG出身のプレイヤーで、キーボード+マウスでのプレイが当たり前の環境でFPSを続けてきた。
だから、FPSでキーマウ操作ができないPS5では、FPS系タイトルを購入する勇気が出なかった。
せっかくスペックに余裕ができて遊べそうな「Farcry6」や「Cyberpunk 2077」も、操作の違和感を理由に遊ばなくなりそうで嫌だった。

そこで、年末のセールも後押ししてPCを買い替えることにした。
BTOメーカーは年末時期になるとセールを行っているのだが、SSD増設やメモリ増設にサポートを入れてくれて、なおかつコストも安いフロンティアさんで買い替えることを決定した。
CPUに関してはかなり妥協してRyzen 7 5700Xを採用したが、グラボはRTX4070、メモリは32GB、SSD2TB+HDD2TBとその他で妥協を許さないスペックにした。
結果的にはかなり満足している。

さて、そうしてPCを買い替えると、昔「どうしてゲーミングPCを買ったのか」ということをぼんやりと思い出した。
今のゲーミングPCの購入動機は「安定して対人ゲームを遊びたいため」というものが多いと思う。
ただ、当時の俺はそうじゃなかった。
というか、2017年3月時点はそこまでPCゲーム業界が盛り上がってなかったような気もする。
PUBG黎明期よりもっと前だし、少なくとも今ほどゲーミングPCは普及していなかったはずだ。

じゃあ、なぜゲーミングPCを買ったのか。
それは、「Fallout3およびFallout:NewVegasのMOD環境を構築するため」だ。
3以降のFallout(76を除く)、TESシリーズは古くから同じエンジンを用いていることで、ユーザーが開発した追加要素を自由に入れられるようになっている。
MODと呼ばれるそれを組み合わせて自由な環境を作ることにはまっていた当時の俺は、ゲーミングPCでスペックを上げることで、より快適な環境でMODを構築し遊びまくろうと考えていたのだ。
一般的なゲーミングPCの購入理由である対人ゲームへの参入も、クリエイター的な理由も全くと言っていいほどになかった。
結果、100個を超えるMODを突っ込み、狂ったようにウェイストランドを旅していた。

しかし、今思うと当時買ったPCはFallout3やNewVegasを起動するスペックをはるかに超えていた。
当時のグラボはGTX 1060 6GB。
普通にPS4のスペックを凌駕しており、Fallout3を動かすにはいささか過大だ。
ただ、結果的に色々なゲームに触れ合うことになったのだから、よかったのだろう。

そんなことを考えると、今は「長くPCを持たせるために買い替えた」のだから、理由が維持という消極的なものになっている気がしてならない。
人は何かを手にしてしまうと、その価値を忘れてしまうのだろうか。
少し寂しい気持ちにもなったが、それでも意味のある買い物をしたと思う。
サイバーパンクを高フレームレート、高画質で遊べるようになっている今の環境は最高だ。
前のPCと当時の俺に思いをはせながら、俺は今日もゲームを遊ぶ。

それにしても、当時はMODと一つのゲームを純粋に追いかける人だったのに、いまや積みゲーを400個近く抱える悲しきゲーマーになってしまったのだから、世の中何があるかわかったもんじゃないな。


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