自分の家に空き巣した話

どうもこんにちは筆頭です。先日アサシンクリードみたいな体験をしたので記事にしようと思ったのですがなかなかにアレな話なのでどうしようか迷ったりもして、でもまあ間違ったことはしてないと思ったので公開することにしました。

先日僕はかばんなどを置き引きされ鍵や財布を失ってしまいました。とりあえずいえにはいれないのは厳しいので不動産屋さんに合鍵を貸してもらえるよう言ったのですが不動産屋さんはじつは合鍵を持っておらず、大家さんが合鍵をもっているとのこと。

その上大家さんが少し離れたところいをうに住んでいて、アパートがシロアリの被害を受けて取り壊しが決定するなどの理由で少し面倒なタイミングで鍵をなくしてしまい、しばらくホームレスになってしまったのでした。

そんなわけで僕は急いで三重県に帰省し時間を稼ぐことにしたのですが、実家に帰って数日を過ごしたところでオカンがブチ切れ、「早く東京に帰れ」と言ってきたというのと、まあ不動産屋さんから引っ越し先を決めたいとの旨の連絡があって東京にとんぼ返りしたのでありました。

ここまでが前置きです。不動産屋さんに行った僕はとりあえず10軒ほどの物件を提示され資料をもらうわけですが、帰り際に合鍵の件について相談したところ、予想外の答えが返ってくるわけです。

じつは大家さんは昨年亡くなっており(振込先などが変更されたのはそれが理由かと腑に落ちた)、今は奥さんが管理しているのだがどうやら合鍵は持っていないとのこと。

つまりこの世に我が家の合鍵など無かったのです。そして不動産屋さんにどうしたらいいか尋ねたところ、「取り壊しは決定しているので壊すなりなんなり好きにしてもらって構わない」とのことでした。

僕が必死に探していた合鍵というものはじつはこの世には存在しなかったのです。こんなことがあっていいのかと。

そこで僕はインターネットに頼ったわけですが、様々な鍵のトラブルを解決してくれるサービスがこの世にはあるわけです。そんなわけで鍵の解鍵を依頼し家に来てもらいまして。手元に何もない僕のためにわざわざ銀行振込の対応までしてもらいまして。

当初の僕の目論見は解鍵に5000円、合鍵作成で2万円、あとは諸々手数料5000円の合計3万円ほどで家をあけてもらえるかなと思ってたわけです。

そして実際業者さんに見てもらったところ、僕のアパートはそこまで新しくはないのですが鍵はセキュリティの高いもので、解鍵するためにはドアの覗き窓から特殊工具を入れて内側から解鍵するという技術を使うらしく、鍵を開けるだけで2万円強、手数料で7000円かかるとのことでした。合鍵の作成が幾らかは聞いてませんが追加で2万円以上するわけで、つまるところ家を開けるのに5万〜6万もかかるということに気づいたのです。

6万といえば僕の一月分の家賃です。高すぎます。ありえません。さすがにこれは出せないということで手数料7000円だけ払うことになりました。これはこれでなんとなくムカつきますが僕の家が簡単に開かないことを知れただけ良かったとは思います。

しかし家が開きません。家が開かなければ通帳もないわけですからいかんせん金がないわけです。そして僕は気付きました。僕の家のリビングの窓は鍵をかけていない可能性が高い、と。

僕の家は文京区なのですがかなりぎちぎちの場所にあり、窓を開けても塀が30cmぐらいの先にあって何も見えない、庭もないわけです。そもそも塀と家の間の空間に入ることは物理的に無理があり、鍵をかけていなくてもまあ大丈夫かなという感じだったんです。

「これだ」と。

窓から侵入することができれば家の中から鍵を開けられますからこれは一発逆転サヨナラ満塁ホームランなわけです。そこから僕は1日かけて窓から侵入する経路を探しました。まるで空き巣になった気持ちでとても複雑な気持ちです。

先ほど塀と家の間の空間に入るのは厳しいと言いましたが、頭の中ではまだなんとなく入れそうな気がしていたので実際に入れるところがないか確かめます。しかし塀がギチギチにあって侵入不可能です。少なくとも僕の腹が邪魔して通れませんしこの隙間を通れたとしたら多分屋敷しもべ妖精のドビーみたいな人たちだけです。

これは無理だと。

そしてアパートの二階の各部屋に続く廊下があるんですが、そこの柵を乗り越えて特殊部隊の如く窓に接近する方法を考え、初めてアパートの二階に行きましたが、アパートの廊下の柵は乗り越えられないように壁が作られており、これも物理的に破壊しなければ柵を乗り越えることなどできなかったのでした。

これもダメ。

そして最後の手段だったのが「塀の上を歩いて窓に接近する」という方法です。これは他人に見られた瞬間に一発アウト、しかも隣人に見られる可能性がとても高く、下手すれば警察すら呼ばれかねないのです。前に隣の人と話をした時に不審者がこの辺にいるらしく特にその隣人宅の家の近くで見かけるみたいな話を聞いたりもしてますから、これ明らかにバレたら死ぬんです。

しかし最後の手段です。

塀の高さは僕の身長より少し高いぐらいなので170cmほどかなというところなのですが僕の身体能力はゴミなのでまず登れません。しかし幸いなことにエアコンの室外機があり、室外機に登ってから塀に登るというビジョンが見えました。

これしかない。家に入るにはこれしかない。

実行する時間は慎重に考えました。深夜ならば通行人に見られる可能性は低いですが家に住んでる人たちに見られるリスクが高まります。やるならば昼下がり、13時ぐらいだろう、そしてもし窓に鍵がかかっていた時のことを考え塀の上から下りるのはリスクがあるだろうなと。

そして翌日決行。

まず塀から落下した時のことを考え、持ち物を全てカバンに入れカバンを玄関前に置き、室外機のある家の側面へと周ります。室外機は道に面しているうえ、人通りもそれなりにあるため慎重にタイミングを計ります。

実際室外機に足をかけた途端に隣の家の人が自転車で登場したため姿勢を正し、「こんにちは〜」と自然な挨拶をしてその場をごまかしたりもしました。

そして室外機に登り、そこから塀に足を乗せました。平均台みたいなものですが、かろうじて家に手がとどく距離なので家の壁を伝いながら進み、角に差し掛かります。

この角を曲がると隣人との境界の塀となるため落下した場合大変なことになるというのと、樹木が生い茂り足元が見えない、そして逆に今度は僕のアパートがすぐそばに迫ってきているうえつかむ場所が配管しかないという大変な場所です。しかしここを突破さえすれば窓です。

まるでアサシンクリードだなと。アサシンクリードみたいに壁の細い配管をつかんで歩くわけです。全くの予想外だったのは樹木に靴紐が引っかかって解けてしまったため靴紐を何度か踏んでしまい何度か転倒しそうになったというのと、隣人宅の樹木に棘が生えていてとてもチクチクして痛い、そして蜘蛛の巣がいくつかかかっていて顔に蜘蛛の巣が張り付くアレになったわけです。

ドキドキしましたがタイミングが最高だったのかおそらく誰にも見られることはなく窓に接近。塀に腰掛けて窓に手をかけたところ、やはり鍵はかかっておらず家に侵入成功、家の内側から解鍵することに成功しました。

いやあ、なかなかに楽しかったです。まるでアスレチックみたいな感覚でしたし、なにより事前の下見の作業が楽しくてよかったです。通帳なども発見され、無事作戦成功。

家の鍵がないため鍵をかけられないのですがじつは僕は家の外側からチェーンロックをかけたり外したりできるという特殊技能をもっておりまして、とりあえずそれを使って家には鍵をかけてます。

そんなわけで自分の家に空き巣というまず誰も体験したことがないであろう体験をしたのでした。皆様も鍵をなくしたうえこの世に合鍵が存在しないことが明らかになったら是非塀の上を歩いて空き巣してみてください。

以上、僕の空き巣体験レポートでした。

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