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物忘れ

 テレビニュースを見ている。ふと、「カリアンナイト」の日にちを調べたいとスマホを開く。メールが来ているので「カリアンナイト」を調べる前にメールをチェックする。次の瞬間、
「あれっ?」
何を調べようとしていたのか思い出せない。こんな状況を1日に2・3度経験する。妻に話すと、私も同じだと言う。
「◯子も同じだって。」
自らを慰めるためもあって義妹の話をする。しっかり者の◯子さんでもそうなら私は当然かもしれない。
 赤信号を確認して、スピードメーターを見る。すると、直前に確認したはずの信号が赤であった事実を忘れてしまう。これが高齢者の信号無視だとテレビで教えてもらった。高速道路の逆走も標識を確認した後で、確認した事実を忘れることが原因だとも教えられた。右足をアクセルに置いた事を忘れればアクセルの踏み間違いも起きる。歳を取れば通い慣れた道しか通らないから高速道路逆走の危険は少なくなっているけれども、必要に迫られれば見知らぬ街を走るかもしれない。アクセルの踏み間違いや信号無視の可能性とともに無頓着ではいられない。
 老人は直前の事は忘れるが、遠い昔のことははっきりと思い出す。子供の頃、八百屋が近くにあった。駄菓子屋も米屋も肉屋も洋服屋も近くにあった。子供の頃、車で買い物はする必要はなかった。生活に必要な店ほとんど数百メートル以内にあった。しかし、近所にあった商店の全ては現在は店仕舞いをして、何も残って無い。少し離れたスーパーや郊外のショッピングモールに行かなければ日用品は手に入らない。だから自動車は手放せないから、運転免許証返納も難しい。
 AIを搭載した自動運転が普及すればいいが、これは時間がかかりそうだ。私たち夫婦の場合、医者も歯医者も電車の駅も歩いていける距離にあるから、ネット通販や生協の宅配を利用すれば免許証返納も考えられる。
「おっと、そうではなかった。」
自動車を使うにしろ、ネットや生協を利用するにしろ、どちらにしても認知症では無理である。

「待てよ、何を調べようとしていたのか?」
思い出した。6年ほど前、地元中学で1年間非常勤講師をしたことがあった。そのときの若い非常勤講師3人が年に2・3回飲み会に誘ってくれる。今回は刈谷の「カリアンナイト」というイベントを利用するというので、それを調べようとしたことを思い出した。

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