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ブランディング講座3 会社の想いをカタチにする

ブランディングは万能じゃない クリエイターに対する穿った見方

私のようなコンサル上がりは、ブランディングと聞くと、1990年頃のCIブームの時の、ヴィジュアルを変えてお茶を濁すデザインコンサルファームの悪業を思い出し、よい感じがしません。

企業名を変えましょう!企業ロゴをもう少しかっこいいのにしましょう!キャッチコピーをビシッと変えてインパクトのあるものにしましょう!わかりやすいのは動画、動画作らなきゃ浸透しないですよ!
ロン毛でMac使いのクリエイティブ・ディレクターが畳み掛けてきます。

私のようなコンサル上りは(しつこい)、見た目を変えただけで会社の価値なんて変わるわけねーだろ!って齢50歳くらいまで思い続けていました。

ところが、ブランディング講座2でお伝えしたように、ブランディングをしたら企業価値が変わったんです。

ただし、このロン毛が言うような見た目だけ変えるというやり方ではありません。私のようなコンサル上りは(しつこい×2)がこだわったのは、社長や会社の想いをブランディングに込めることです。

私は、会社の価値を上げるために、ブランディングを考えることを提唱しています。
モットーは、「知らない会社の株は買わない」「知らない会社で働きたくない」です。
だから、知ってもらうための努力をすれば、必ず報われると考えています。

ただし、

会社の想いを伝えられればです。

社会に貢献していない会社は共感が得られない

会社の想いとは何でしょう?

面倒なのですっ飛ばしますが、私は会社の理念であり、ビジョンであり、戦略であると思っています。IR的に言うと非財務情報がコアになると考えています。

なぜか

会社の名前を有名にすることだけを考えるなら社名を連呼するCMでもよいわけです。でも、持続的な企業価値の向上を考えれば、名前だけ知られるのではなく、その会社がどんな会社で、何をしようとしていて、世の中にどんな貢献をしている会社なのかを知ってもらい、企業そのものに興味を持ってもらうほうが、より多くの共感を生みます。

優良なのに知られていない会社は多い

私がやっているブランディングは、あえてターゲットを絞っていません。お客さんも取引先も、投資家も、就活生も、社員や社員のご家族も横一線同列に取り扱います。

なぜなら、私のお客様の多くは、BtoB型の中堅製造上場企業が多いからです。このあたりの企業は、優良な企業であるのに、まあ知られていません。嘘だと思うなら、新聞の株式欄で、製造業の名前を追ってみてください。普通の人なら聞いたことのない名前の会社だらけのはずです。

私の感覚では東証に上場する3700社のうち3000社近くが名前と業容が一致しないのではないかと思います。

ほんの少し知ってもらえれば

そういう会社ですから、会社を知ってもらうことで、お客様や取引先の信頼を高め、株式市場では投資してもらえるようにし、就活生には少なくともエントリーシートをお送ってもらい、社員やそのご家族には、この会社で働いていてよかったと思ってもらえるようにしたいわけです。

それには、名前だけでなく、事業内容や、その会社の業界内でのポジションや、将来にわたるビジョンなんかを合わせて知ってもらえるような工夫が必要だと考えるわけです。

知ってもらうために(コンサル編)

で、どうやるか

ありきたりですが、社長にインタビューします。雑談を含め、社長が考える会社の在り方をつぶさにお聞きします。普通は既にある経営ビジョンや経営理念に基づき話が進みますから、その部分をより詳しく、万人に伝えやすい具体的な事例で理解するようにします。

それを受けて、経営幹部の皆さんのお話をお聞きします。社長の言っていることの裏取りと、社長のお考えの浸透度合いが知りたいからです。

また、ビジネスの現場を見ます。実際にやっていることを知らないと、今後、ブランディングのベースとなる「言葉」や「デザイン」をつくるクリエイターに会社の本当のところがイメージさせられません。

ただ、この段階で、自分の会社のことを伝えられない社長がいます。ビジョンや理念を明文化していない企業もなくはありませんし、話下手の社長もいます。

それでも多くの社長は、少し長い時間話をしていると、考えが表に出てきます。拙くても良いので、会社の想いをお聞きできるよう、私たちが理解できるまで時間をかけます。私たちが理解でき、良い会社だなと思えることが第一歩になります。

知ってもらうために(クリエイティブ編)

社長のお考えを正しく理解できれば、それを元に、会社の意思と整合するブランドコンセプトをつくり、誰もがわかりやすいステートメントをつくります。ワンフレーズでその会社の意思を表現できること、また、社長の腹にストンと落ちる言葉をつくります。

このとき、コピーライターは、素晴らしい言葉を紡ぎます。プロの力の凄さを実感する瞬間です。
論理的思考力を武器にしている左脳重視型のコンサルタントには、わかりやすく、伝わりやすく、なおかつエモーショナルな文章はなかなかつくれません。餅は餅屋です。

ブランディングは、結果的には「言葉」や「映像」などで、知らしめたい人に伝わりやすくするところばかりがフューチャーされます。しかし、その大元では、会社の想いが刻まれていなければ、単なるビジュアルアイデンティティの変更です。それだけでは一過性の効果しか生みだしません。

私のお客様は、時価総額が1000億円以上の、既に有名で、放っておいても株式市場での売買が行われたり、多くの就活生がエントリーシートを送ってくるような会社ではありません。

だから、どうしても、会社の想いを含めて、多くの人に知っていただけるような方法をとらざるを得ません。

そのためには、会社の想いを語れる人、すなわち社長さんの想いを具現化するようなブランディングを行う必要があります。

会社の想いをカタチにする

会社の想いである、理念やビジョンを徹底的に理解し、万人にわかりやすく腹に落ちるブランドコンセプトをつくるところが重要になるわけです。

この部分は、コンサルタントだけではわかりやすくできませんし、クリエイターだけだと制作物重視になり、いずれにせようまくいきません。クリエイティブなコンサルタントや経営感覚に優れたクリエイターがいればよいのですが、なかなかそんな人はいません。

私は、優秀なクリエイターと組むことで、これを何とか可能にしました。文句ばかり言うコンサルタントとロン毛のクリエイターであっても、お客様の企業価値を高めたいというところで合致できれば、非常に良いブランディングプロジェクトが可能になり、長い目で見れば、良い結果を生みだすのです。

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