【雑感】2019年J2リーグ 第31節 対レノファ山口~反撃の準備は整った!~

東京ヴェルディ 4-0 レノファ山口

 ぶっちぎるスピードとフィジカルに度肝を抜かれた。戦前の予想通りの試合展開、両者ともに前がかりで攻撃の応酬となったなかでひときわ格の違いを示したのは新加入のジャイルトンパライバだった。クレビーニョ、レアンドロとのブラジリアントリオの爆発的攻撃力により今季最多得点を奪い、山口に圧勝したこの試合を永井ワードも交えて振り返ってみたい。

スタメン

 前節・長崎に先制しながらも逆転負けを喫したヴェルディ、新加入のジャイルトンパライバがスタメンに起用、井上潮音は従来のフロントボランチでは無くてワイドストライカーに抜擢される。対する山口、高はU22日本代表に召集のため欠場して中盤に吉濱が入る。14123のシステムで古巣との一戦になる高井は左WGで起用される。

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圧倒的存在感を魅せたパライバ

 多少の失点をしてでも相手よりもたくさんゴールを奪う考え方で攻撃志向の強い両チーム、これまでの試合でも打ち合いになることが多い。まさに、予想通りの試合展開を見せた。ヴェルディはお馴染みになってきた中盤ダイヤモンド型の1442システムを敷く。ビルドアップにはGK上福元+近藤、内田+山本理仁が中心になる。対する山口の守備は、ボール保持1235⇔非保持1433と可変する。IHに入る吉濱と山下がボールホルダーへ積極的にプレッシャーをかけに最前線まで出てくる。WG田中パウロと高井はクレビーニョと奈良輪をマークする守備が主であった。ヴェルディは、相手を引き寄せて上手く『はじく』と、アンカー三幸の周囲に生まれる広大なスペースでレアンドロ、森田晃樹、梶川がパスを受けてゴールへ迫る。また、このスペースをクレビーニョが中へ絞ることでポジション取りをして梶川が大外に下りる場面もしばしば見られた。初出場のパライバは、中盤が捌くボールを受けて勢い良いドリブルで山口守備陣を振り切りシュートチャンスまでもっていく。

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 一方の山口は、カウンター時(ポジトラ)は中へ絞り攻撃するクレビーニョの裏を高井、山下が狙う。ボールを持ってセットした攻撃時は三幸が最終ラインとビルドアップを形成して、ボールサイドへ選手を引き付けて反対サイドへ大きく展開することが目立つ。ただ、ヴェルディもフラットの1442で守り、パライバがパス供給源の三幸をマークするといったこれまでよりも約束事がしっかりとされていた。

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 試合は一方的な展開になった。10分、山口CKからのカウンターへ転じる。こぼれ球を拾った梶川から晃樹へつなぎハーフウェイまで運ぶと縦へスルーパス、後方から走りだしたパライバが並走する山口守備陣をぶち抜き、GKとの1対1を落ち着いて流し込みヴェルディが先制する。

 19分、再びパライバが魅せる。クレビーニョが持ち上がり山口の選手と交錯して倒されるもプレーは流され、各選手が一瞬止まった中ですばやく反応したパライバが右サイドを駆け上がり、中へ鋭いグラウンダーのクロスを入れて潮音がしっかりと押し込みヴェルディが瞬く間に点差を2点に広げる。

左右で異なるワイドストライカーの役割

 従来は中盤の選手でありながら、これまでも途中出場で前線を務めていた潮音がスタメンからこのポジションで起用された。何度か言及しているが、ワイドストライカーには「時間」と「スペース」の確保が要求される。圧倒的な個の力を示すパライバは強靭なフィジカル、スピードを生かしたドリブル突破で相手ラインを下げさせることが出来る。対する潮音は、持ち前のキープ力を活かして、自身が仕掛けることで押し下げるのではなくて、スペースでボールを受けて相手選手を引き付けることで、さらにスペースを生んでそこへ奈良輪、晃樹などが裏抜けするという狙いがあった。ここ最近の試合で潮音やレアンドロが途中からワイドで起用される理由はこのような部分にあると考えられる。

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相手の居ない場所にボールを置く

 前半終盤の交錯で脳震盪の疑いが晃樹は大事を取りベンチへ下がる。代わってチーム得点王の小池を投入して右ワイドへ、潮音が晃樹の居たフロントボランチへ回る。後半になってもパライバの勢いは止まらない。2点ビハインドの山口は前半とかわらずアンカー三幸が下りてきて、両SB前と石田を押し上げる。山口からボール奪取すると、コントラ(ショートカウンター)で攻め上がった両SBのスペースを使う。まさに永井監督が日々、口にする『ボールを置くプレー』で小池とパライバへボールが渡ると二人は果敢にドリブル勝負を仕掛けてチャンスを生み出す。

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山口のビルドアップからのパスをカットすると素早く左サイドのパライバへ展開してドリブルを仕掛けてPA内で菊池に倒されてPK獲得する。これをレアンドロが一回は止められるが、GK吉満がゴールラインに足を残しておらず、蹴り直しになった2回目をしっかりと決めて3点目を挙げる。

 55分、右サイドで獲得したFKからの二次攻撃からPA内で理仁がトラップしてボールコントロールしたところを目の前にいたパライバが右足でコントロールシュートを丁寧に流し込み、ヴェルディが4点目を挙げて大差をつける。

反撃に出る山口

 大差をつけられた山口は最終ラインの枚数を削り、前線に人数をかけてゴールを奪いに行く。試合開始時は左から石田、楠本、菊池、前の4バックであったが3バック(菊池、楠本、前)へ変更。右WBへ回った石田と前、左WBになった田中パウロと山下などサイドで2枚と数的有利を作り、中央に宮代、池上、岸田、さらには攻撃参加する菊池と多くの選手を構えてサイドからのクロスボールでシュートチャンスを作る。

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しかし、GK上福元の再三に渡る好セーブで決定機を防ぐ。最終的には楠本ひとりを残す1バックというスクランブル体制でゴールを目指したが、最後まで上福元の牙城を崩せずにヴェルディが4-0で完封勝利を飾る。

まとめ

 2得点1アシスト1PK獲得と4得点すべてに貢献してその実力を十二分に発揮したパライバ。クレビーニョに続き、そのポテンシャルの高さはかなり期待出来るものと予感させて、超強力の個性を手に入れたと言っても過言ではない。攻撃だけではなく、守備面でのしっかりと相手要注意選手をマークするなどチームプレーも見せており一定の評価はできる。前線からしっかりと守備をすることで前節から守り方を見直したことも分かる。チームに徐々に浸透する戦術理解と具現化、そこに夏の移籍市場で獲得した「違い」を作れる選手たち、J1昇格へ喰らいつくための反撃の準備は整った!



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tad

東京ヴェルディを中心にしたサッカーメモ、雑感を記します。Twitter ( https://twitter.com/1969_tad )
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