【雑感】2019年J2リーグ 第15節 対ジェフ千葉~修正力、対応力~

東京ヴェルディ 1-1 ジェフ千葉

 緑に染まるスタンド、キッズパーク、ビジョン表示・・・いつもと違う光景、メインパートナーのアカツキの熱意は明るい未来を予感させるものだった。千葉の術中にはまり、苦しみながらも引き分けへ持ち込んだこの一戦がその先へ繋がる大きな勝ち点1になるかもしれない。

<スタメン>

 3連勝中のヴェルディ、前節・山口戦で負傷交代したコイッチも回復してこの日もスタメンに名を連ねて、同じ11人で4141。コパアメリカの日本代表に選出された渡辺皓太はいつもどおりIHで起用。近藤、若狭、小池にとっては古巣との一戦となった。対する千葉。前節・岐阜戦で5-1と大勝した勢いそのままに味の素スタジアムへ乗り込んできた。こちらも前節と同じスタメンで343となった。

<アンマッチのシステム>

 ここのところ4バック相手との戦いが続いており、久しぶりの3バック相手となるヴェルディは勝手が違うのか、かなり浮足立った感じで試合に入ってしまった。ST船山、堀米はアンカー井上潮音の脇(ハーフスペース)を使い、WB為田と茶島が大外に位置する。特に千葉は左サイドでヴェルディのマークが曖昧になったことを利用して再三にわたりチャンスを作る。DH矢田、WB為田、ST船山がSB若狭、CB近藤、IH渡辺皓太、SH河野広貴の間に上手く立ち位置を取る。誰が誰を見るのかがはっきりとしないままそのしわ寄せがSB若狭へ来てしまい、若狭が為田と船山に1対2の状況になってしまう場面が目立った。原因としては、中央を固めることで横スライドが遅れたこと、広貴のネガトラが遅かったこと、皓太に対して矢田がついたこと、近藤と若狭のマーク受け渡しがはっきりとしなかったことと考えられる。

案の定、10分に左サイドボールを受けたフリーの為田が余裕を持ってクロスを上げて飛び込んだクレーベのヘディングシュートがポスト直撃して跳ね返りを船山が詰めて千葉が先制する。

<ビルドアップの形とは>

 攻撃の形をつくりたいヴェルディはボール保持時はいつものように2CB+潮音もしくは優平でビルドアップを形成していく。千葉が541を敷いて守るため1トップクレーベの周囲を自由に使うことが出来たが中盤からのプレスが激しくなかなかボールを運べない。ここにGK上福元も加わり、人数をかけるものの立ち位置が平行になることもありパスに角度がつかず、パスの受け手がゴールへ向かっていく姿勢にならず効果的とは言えなかった。上福元が入るのであればCBは一列押し上げて、潮音と合わせて菱形を作るなど工夫が求められる。

 それならばと1トップのコイッチへパスを送ろうとしてもCB増嶋のマークに手を焼いてしまい良い形でボールを受けれずに脅威を与える仕事が出来なかった。

<修正をみせたヴェルディ>

 後半、ヴェルディは若狭が為田をみて、広貴がカバー、IH皓太と優平は千葉最終ラインへプレッシングと役割をはっきりとさせる。千葉のボールホルダーに対してプレスを強めていく。ボール奪取すると、エスナイデル体制を思い起こすかのようにハイライン気味に守り全体がコンパクトな陣営となる千葉最終ラインの背後を狙う攻撃をみせていく。

<明確な役割を果たすレアンドロ>

 見せ場の無かったコイッチに替えてレアンドロを投入。これによりハイボールではなくて足元へ入るボールを使うというメッセージになり、レアンドロは持ち前のボールコントール能力を発揮して、縦パスを収めてそこから展開してチャンスを生み出して千葉ゴールを迫る事で流れを引き寄せる。

61分、CB新井のパスミスを見逃さずカットした奈良輪がアーリークロスを上げて途中出場のレアンドロがヘッドでそらして右サイドから中央を入ってきた広貴が左足を振りぬき、復帰後初ゴールを挙げて、ヴェルディが同点に追いつく。

30℃を超す暑さもあり、選手たちの体力消耗も早く、次第にトランジションの強度が落ちていき間延びする。オープンな展開になり両ゴールを行ったり来たりするようになるがどちらも決勝点を奪えずにそのままタイムアップ。ヴェルディは4連勝とはならなかったものの苦しんだ前半からの修正と対応で勝ち点1を手に入れた。

<まとめ>

 アンマッチのシステムにより守備基準がはっきりとせずに苦労することになった前半。今後も3バック相手との試合が想定されるだけに立ち上がりからしっかりと対応することが課題だろう。しかしながら途中から相手の出方に合わせて上手く修正をして対応出来たことは収穫と考える。後半から出場したレアンドロは高さはないもののしっかりとボールを収めることが出来るから時間を作り陣地挽回に大きな役割を果たしてくれた。コンディションもだいぶ上がってきているように見受けられたからこれからの戦術オプションとして期待を寄せたい。