【雑感】2019年J2リーグ 第14節 対レノファ山口~手応えある戦い~

レノファ山口 2-3 東京ヴェルディ

 連勝の勢いなのか、再現性有るプレーが出来始めているからなのか、先制点を許しても逆転出来る気がしていた。落ち着いて山口の選手たちの動きをよく見極めた仕掛けからの攻撃が実り、今季アウェイ初勝利を鮮やかな逆転で飾った試合を振り返りたい。

<スタメン>

2連勝中のヴェルディはU20W杯で不在の藤本寛也に替わって河野広貴が移籍後、初スタメン。前節初ゴールを挙げたコイッチも引き続きトップで起用されて今季アウェイ初勝利を目指す。対するホーム山口は前節・大宮戦と同じ11人で臨む。古巣相手に燃える高木大輔、高井がスタメン起用。

<デザインされた戦いぶりとは>

 攻撃サッカーを志向する山口が主導権を握るべく、試合開始からアグレッシブにプレーする。基本的に2CBドストンと楠本+1DH佐藤がビルドアップして、両SB前と川井が幅を取る。IH三幸、池上はヴェルディのDH井上潮音の脇を使いたく、ハーフスペースに位置する。左WG高井はサイドラインに近くまで開きボールを受けて、ドリブルを仕掛ける場面が目立った。対するヴェルディは従来のとおり451で守るが試合序盤は山口の勢いに押される展開となる。高木のシュートが平にあたりコース変わりそのままゴールインして山口が先制する。

 先制後、ヴェルディにボールを持たしても3トップが2CBへ、SB前と川井はSBへとかなりプレッシングを強めてミスを誘発していく。対するヴェルディはなかなかパスを繋げない事もあり、中盤省略してロングフィードでSH小池の単騎突破に頼ることとなった。

<ランド育ちの遊び心>

 19分ごろに両SH広貴と小池のポジションを変える。広貴、皓太、潮音が近い距離でプレーする事で次第にリズムが生まれる。時間が経つにつれて、山口MFラインが乱れ始めて、縦パスが通り、ボールロストしても広大なスペースがあることで潮音と皓太らの回収して二次攻撃へ続く。この試合終始、潮音と皓太のセカンドボールへの反応の速さやボールホルダーへのプレスバックがひときわ目立っていた。ボール保持すると、アカデミー育ち(広貴、皓太、潮音)のワンタッチでの小刻みなパスで繋ぐ場面がいくつか見られてそこからチャンスメイクしてゴールに迫るが前半は0-1で折り返す。

後半、ボール保持しながら攻めていくことを継続するヴェルディは、左サイドのスローインからボールを繋ぎ小池がドストンを交わしてPA内の深い位置へ入り、マイナスのクロスにコイッチが落ち着いて右足で合わせて同点に追いつく。ボールサイドであった左からの仕掛けにPA内にはコイッチ以外にも反対の右サイドの広貴とSB若狭も侵入しており迫力ある攻撃が出来ていた。

<覚醒しつつある小池純輝>

同点になったことで山口は再び攻撃意識が高くなる。全体的に前がかりになることで2CBと1DHの3枚で守る場面が昨年から多く見られる。山口のネガトラ時に2CBの横に膨大なスペースが生まれるから、ヴェルディはショートパスで繋ぐ攻め方に加えて、左SH小池のスピード活かしたドリブルで一気にボールを持ち運ぶ展開があった。

対する、山口はヴェルディの技術的なミスからボール奪取後に攻撃を盛り返す。一進一退の攻防のなか、勝ち越し点を挙げたのはヴェルディだった。途中出場梶川のミドルシュートから獲得したCKから71分、平が豪快にヘディングシュートを決めて2-1と逆転する。

しかし、リードする時間はそうは続かなかった。こちらも途中出場した吉濱が左サイドから鋭いクロスを挙げて岸田がダイビングヘッドを決めて同点とする。80分すぎ、ヴェルディは従来の守り方から小池と優平がカウンターに備えるかのように低い位置まで帰陣しなくなる。山口の攻撃を凌ぎ、自陣PA右サイドでボールを残した皓太から梶川へ繋ぎ、前線で張っていた小池へ大きく展開、ボールを受けた小池がドリブルを仕掛けてPA内でドストンに倒されてPK獲得。

これまで2回連続失敗しており悪い予感が頭をよぎってしまったが、レアンドロが落ち着いてしっかりと決めて3-2と勝ち越す。

途中から右SHに回った皓太が吉濱、川井に押し込まれて5バック気味になったことも受けてJデビューの安在達弥を投入。アップダウンすることで陣地回復の役割を担った。リード後はこれまでよりもボールを回す時間が増えて危なげなく逃げ切り3連勝となった。

<まとめ>

U20代表で不在の寛也に替わってスタメン起用された広貴、90分フルでの働きにはまだまだコンディションを上げていく必要があるように見えたが、時折みせたボールコントロールの精度の高さには期待が出来る内容だった。ここ最近、型にはまってきたボールサイドに人数をかけた攻撃に加えて、相手の出方をみて小池のドリブル勝負と上手く使い分けが出来ていたように感じた。先制を許す展開ではあったが、落ち着きと自信みなぎるプレーの背景には結果がついてきていることがとても大きく影響している。広貴、Jデビューの達弥と・・・チームの更なる飛躍には選手の底上げもかかせない。