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言葉選びの大切さ

 プレゼンテーションを聴く機会やする機会がある人から「どうして松本さんの話ってわかりやすいんですか?」と聞かれる機会が多くあります。実はやっていることはかなりシンプルなのです。

業界に染まらない

 業界に染まった人のプレゼンテーションって凄く、凄そうに見えるんですよね。特に専門用語や独自の理論を展開されるとそういうものなのか?と。
 ただ、理解できているか。というと、それほど理解されていないケースが多いのです。私もその昔、モノづくりの現場にいて、商品の売り込みをかける仕事をしていました。当然ながら新しい製品が出てくるとそのスペックや最先端機能の名前を話すわけです。
 話している方としてはアピールポイントですので、しっかりとそれぞれの用語を使い、新しい機能を説明するのですが、新しい機能の新しい用語、聞く方としては「知らない」ということになります。知らない言葉を連呼され、難しい技術説明を聞いた人からすると、「専門家でもないのに聞いても理解出来ない」という結果になってしまいます。実際、経営層の方々向けのプレゼンテーションを行う場合は、極力この専門用語や独自の理論を使わない様にしています。

 「そんな専門用語禁止ルールを持ち込まれたら相手に話せないよ」

 と言われる人もおられますが、伝えるべき相手に伝わらなければ意味がありません。
 特に自分と同じ業界の同じ目線の同じ立場の人と話すのであれば、用語も理論も全然問題ないでしょうが、プレゼンテーションや講演などを行うと相手は全然違う人たちです。まずは業界用語は理解できない。という前提で話すことが必要です。

 もし、専門用語を使う場合は、その補足説明をしっかりと都度行うことで回避はします。ただ、専門用語を並べてカッコよく喋りたい。という思いとは反する対応なので、プレゼンテーションをスマートにしたい人からすると辛いかもしれません。(笑)

相手の状況を理解し補足する

 いくら相手にわかる言葉のみにしても、いまいち伝わらないケースがあります。そういう時に必要不可欠なのが、補足です。
 私の場合は、相手の方々にもわかるレベルで相手が想像しやすいシチュエーショントークをします。

 「こういう体験される機会、ありますよね?」
 「こういうモノ使ってますよね?」

 相手の身の回り事柄であれば認識しやすくなります。自分がこうだった。ではなく、相手の人の普段認識していることを事例に使うことで、すぅっと理解されやすくなります。プレゼンテーションにおいては「目線を合わせることが重要」ですが、「自分の目線に相手を合わせる」ということは並大抵ではありません。非常に難しいですし、プレゼンまでの間に予習などを行なって頂く必要があります。プレゼンテーションなど発表する立場、講演など聴講者向けに演じる立場としては、」自分の世界にオーディエンスが合わせてください。」はあり得ません。
 しっかりと相手がイメージしやすいシチュエーションを用意し、相手目線で話すことが必要不可欠です。

ポイントは少なめに、でもしっかりと何度でも

 講演やプレゼンテーションを行った結果、聴講者が全てを理解し、記憶し、持ち帰る。ということはほぼありません。であれば、どうすれば良いのでしょうか?
 覚えられないのであれば、全てを伝えるということをしなければ良いのです。
 つまり、「ポイントを絞って少なめにする。」ことが必要です。
 私の場合は、60分の講演であれば、覚えてもらうポイントは2〜3個です。それ以外は無駄な時間。ではなく、そのポイントを定着させるための補足ストーリーになります。
 映画などでもそうですが、多くある全ての伏線を一回見ただけで覚えている人はいません。当然人は覚えられるキャパが限られています。
 特に技術的なプレゼンテーションにおいてはスペック表などを暗記できた。なんて人もいないでしょう。
 「だから講演資料を渡して検討してもらうんです。」という人もいますが、それであれば最初からプレゼンテーションは不要でカタログを渡せば済む話になります。

 時間を貰ってプレゼンテーションをするからこそ、しっかりとポイントを認識してもらい、アクションをしてもらいたいのです。
 そのためには、ポイントを絞り、でもしっかりと脳に定着する様に何度でも、そのポイントにつながるストーリーを紡ぐのです。

言葉選びはしっかりと

 専門用語や論理は理解できないので言葉を変える、相手目線に立った話をする。ということを意識すると自分の発する言葉が気になります。
 その言葉を選ぶことが良いプレゼンを行うためには必要不可欠です。

 あえて難しい用語を使い、理解できなくても良いから凄いという印象を持たせて買わせたい。なんてセールスの手法もありますが、それ理解できないものを導入した人たちはわからないままに持て余す可能性が高くなります。

 使えないものに投資をした。というイメージを持たれるとものの溢れる現在、もう2度とお客様になってくれない可能性もあります。
 こんな時代だからこそ、誠実に、確実に、相手に納得感を与えるプレゼンが必要不可欠です。

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